ORICON NEWS

【編集長の目っ!】郷ひろみ、40年間愛され続ける秘密

■郷ひろみ、40年の輝き

 『ウルトラマン』も『仮面ライダー』も『ドラえもん』も、親子二代、三代で楽しむことができる、親しみのあるキャラクターだ。時代を超越した、エバーグリーンな日本を代表するキャラクターたちだ。30年、40年、50年愛され続け、時代は変わっても受け継がれていく強さ、まさに老舗の底力だ。でも老舗になればなるほど、たゆまぬ努力こそが進化につながる唯一の手段なんだと思う。さらに老舗になればなるほど、プライド、自信という“圧倒的な存在”が、何をするにも当たり前のようについてくる。この“圧倒的存在”が時には盾になり、また時には矛にもなる。だからこそ、ぶれない強い心と共に、柔軟な頭を持ち続けるために、努力を続けるしかないのではないだろうか?

【写真】その他の写真を見る


 今年デビュー40周年を迎える郷ひろみは、まさにそんな存在だと思う。コンサートに行けば母娘で来ているファンが多いし、声、歌を聴けばその声量や、歌の力強さに、またスリムな体にタイトなジャケットを着こなしているスタイルを見れば、徹底的に体を鍛え、ボイストレーニングも欠かしてないのはわかるし、それらのこと全てが、お客さんを喜ばせることにつながっている。お客さんを喜ばせることに命をかけているのが伝わってくる。そんなスターの凄みというか、40年支持され続けている理由は、やはりコンサートに行くとよくわかる。

 披露する曲は、基本的に原曲のアレンジに忠実。72年にデビューし、当時最高の作家陣、アレンジャー陣が創り上げたメロディーとアレンジは、今聴いても斬新だし新鮮さを失っていない。それをオリジナルアレンジで聴けるのがファンは一番嬉しいし、楽しみにコンサートに来ている。アレンジを変えたとしても“意味のある変化”で、オリジナルを楽しみしてきたファンを決してがっかりさせないアレンジに仕上げている。そしてキレのある激しいダンスを踊りながら、しっかり歌いきるプロの仕事。とても56歳とは思えない体力も、エンターテイナーとしての誇りからくるものだと思う。

 コンサートの内容もそう。新しいアルバムを出したからといって、そこからの曲を8〜9割、昔のシングル=みんなが聴きたい曲1〜2割、という構成では決してない。新しい作品をアピールしながらも、やはり一番盛り上がるところ、肝の部分では、最強のセットリストを用意してくれている。とにかくお客さんが何を求めているか、それを一番に考えている。

 一昨年の9月、T.M.Revolutionの西川貴教主催する滋賀県・琵琶湖湖畔で行われるロックフェス『イナズマロック フェス』に郷が参戦した。ロック系アーティストがラインナップされているなかで、郷はまさに異色。初めて郷のステージを観るというお客さんが大半だったと思う。でもそんな心配をよそに、頭からすごいノリだった。しっかりコンサート用のバンドを従え、もちろんホーンセクションも入っていて、迫力ある音に乗せて、誰もが知っている曲ばかりを披露。キレのあるダンスで客席を沸かし、ステージの端から端までも何度も全力ダッシュして、お客さんの近くまで行き、さらにトークで笑わせ、30分程のステージだったが、完全に“もっていった”。一切手抜きなし。

 一緒に観ていた某TV局の音楽番組のプロデューサーと「エンターテイナーという言葉は軽々しく使っちゃいけない。郷さんのためにある言葉だ」と話したのを、今でも覚えている。それぐらい圧巻のステージだった。このステージを観て、郷のコンサートに行ってみよう、CDを買ってみようと思った人は少なくないはずだ。

 10分であろうと、30分であろうと、2時間でも3時間でも、そしてどんなお客さんでもきっちりと満足させることができるのが、真のエンターテイナーだ。それが郷ひろみだ。だから40年間常に第一線を走り続ける“スター”なんだと思う。

 そんなスターの40周年を記念した豪華4枚組BOX『LINK』(完全生産限定盤)が3月14日にリリースされ、¥14,000という高価格商品ながら、売れている。CD収録曲は年代別に分けて3枚に収録されており、CD1は70年代〜80年代までの曲の中から本人がセレクトし、全曲歌い直し、当時のオリジナル音源を生かした全曲リニューアルバージョンというこだわり。筒美京平、都倉俊一、井上大輔といった、希代のメロディーメーカーたちが作り上げた色褪せないメロディーと、そして郷の歌が素晴らしい。

 また、昨年10月23日にたった1日だけ行われた、ブルーノート東京でのライブが全曲収録されたDVDも付いていて、いつもとは違う雰囲気のライブを楽しむことができる。どんなスタイルのステージでも、120%お客さんを楽しませることができる、そのエンターテイナーぶりを堪能できる。

 プロ中のプロ、郷ひろみの40年は1日してならず。努力の結晶が40年間第一線という素晴らしい結果をもたらせてくれているに違いない。ぜひ“55年”にこだわって、あと15年たってもその輝きを見せて欲しい。

⇒ 『編集長の目っ!!』過去記事一覧ページ

関連写真

  • 郷ひろみ
  • 40周年を記念した豪華4枚組BOX『LINK』
  • シングル「デンジャラー☆」【初回生産限定盤】(4月25日発売)

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索