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【編集長の目っ!】絢香がみつけた“幸せ”とは?

 2年間の活動休止は、病気の療養はもちろん、文字通りエネルギー充電の時間だったようだ。

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 「幸せってなんだっけ?」――誰もがいつも思い感じることを、絢香はこの2年間立ち止まって考え、そして気づいたようだ―――。

 音楽活動を離れて、色々な思いを巡らせ、前を向いて進みつつも、過去も十分振り返り、そうすると、すっと前が開け、未来(幸せ)が見えてきたのではないだろうか?だから、それを、その想いを伝えるべく、彼女は動き出した。いや、表現者として、多くの人に伝えなければという、動かずにはいられないという衝動に駆られたのではないだろうか。

 そしてくしくもデビュー日からちょうど6年後の2月1日に、『The beginning』という想いが詰まった、想いを込めた作品を届けてくれた。

 初期衝動――歌を歌うことが楽しいと思ったあの頃、あの想いを今また感じているような、そう思わせてくれる1曲1曲がこのアルバムには詰まっている。すごく新鮮だし、言葉を愛おしそうに、ひと言ひと言かみしめながら歌ってる感じは、まさに少女のようだ。でも、この機会にこれまでの作品を聴き直してみたが、それらを聴いてから今回の作品を聴くと、明らかに違うのが“説得力”だ。言葉に対しての気持ちの入り方が、これまで以上に強く、それが自分を見つめ直した時間の中で得た感情と相まって、“説得力”につながっているのだろか。

 デビュー当時からその表現力は高い評価を得ていたが、この作品ではそれがさらに上のステージに上がった感じ。少女のような瑞々しさと、芳醇で、柔らかく優しい気持ちと、哀しくも決して下を向いていないような力強さを、同時に感じさせてくれる。同時に彼女の純粋さや、真っ直ぐであろうその性格を感じることができる。それがゆえに決して器用ではなく、人によっては誤解されてしまう、友達の中に必ず一人はいるような不器用なタイプの匂いを、彼女には感じてしまう(笑)。

 “純度”が高いことをやり続けよう=想いをきちんと届けよう、という想いは、今回の作品のアートワークにも表れている。CDジャケットの傘の外側には、実は“空好き”の彼女が2年間撮り溜めていた空の写真を中心としたものが、隙間なく貼られている。そして内側には同じく日常の中の気になったシーンを切り取った写真が貼られている。また、このアルバムに収録されている「はじまりのとき」のMVには、自身の幼い頃の映像を使い、その世界観や、2年間の彼女の想いを混じり気なしに、伝えようとしている。

 ブックレット(初回盤に付属)もそうだ。空の様々な表情を捉えた写真と言葉が集められていて、その言葉は、どれも非常にシンプルだけど、彼女の2年間の想いが詰まっている。その中で個人的に一番グッときた言葉―――「小さなことにでも 感動できる それが一番 幸せなんだと思う いつでも そんな自分でいたい」――2006年にデビューして、10枚のシングルと2枚のオリジナルアルバム、1枚のベストアルバムをリリースし、全力で疾走し続けてきた彼女が、ふと立ち止まった時に見つけた幸せのカタチ。

 『The beginning』は、過去も全て受け止め、未来へ一歩踏み出したばかりの、等身大のいきいきとした絢香の想いが13篇。きっと聴いた人全ての背中をそっと押してくれるはずだ。

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  • 絢香
  • 絢香の復帰アルバム『The beginning』(1日発売)初回盤
  • 『The beginning』(1日発売)通常盤

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