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【編集長の目っ!】久保田利伸『THE BADDEST』という“ブランド”

 このコーナーで何度か久保田利伸を取り上げ、その度に絶賛してきたが、というか絶賛できるものしかここでは取り上げないが、また絶賛しなければいけない作品を、久保田が届けてくれた。

久保田利伸

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 “ブランド”という言葉があるが、ブランドはその会社や商品が、長年築き上げてきた“信用”“信頼”の証だ。久保田利伸は、25年間R&BとSoulにこだわり続け、第一線でいい歌を歌い続けてきたという意味で、彼そのものが日本が誇るブランドだと思う。そんな久保田のキャリアのなかにおいて、ひとつのブランドになっているのがベスト盤、“THE BADDEST”シリーズだ。このシリーズはファンから圧倒的な支持、信頼を得、久保田を語る上では欠かせないシリーズになっている。

 “THE BADDEST”シリーズは過去に4作がリリースされていて、『THE BADDEST』(1989年10月)は最高位1位、約123万枚、『THE BADDEST II』(1993年9月)は最高位1位、約79.1万枚の大ヒットになっている。その他にも『THE BADDEST〜Only for lovers in the mood〜』(2002年7月)、『THE BADDEST III』(2002年12月)があり、4作品の累計売上は約235万枚と好セールスを記録している(11/28付現在)。

 そしてデビュー25周年を迎えた今年、オールタイムベストともいえるまさにスーパーベスト(コラボ曲、US盤収録曲を除く)、シリーズ5作目となる『THE BADDEST〜Hit Parade〜』が11月23日にリリースされる。久保田の代表曲から選りすぐりの34トラックスを収録した2枚組。まさに久保田のヒストリー。その彼のヒストリー、全34曲を、なんと世界の名だたるビッグアーティストが彼の耳を頼る名エンジニア、テッド・ジェンセンの手によってリマスターが施され、名曲達が新たな空気に包まれ、生まれ変わった。といっても、元々久保田の曲が持つパワー、ボーカルの力を更に“引き出した”感じ?”個人的にはそんなふうに受け止めた。

 改めて34曲を聴いてみると、彼の声が持つパワーとそしてその“色”に魅かれる。“スウィート、ビター&セクシー”な声、これを色気というのだろうか。2002年の『THE BADDEST〜Only for lovers in the mood〜』での彼は、R&Bには必須のエロティシズムな世界を深く掘り下げ、声も本当に色気があって、非常に“ムーディー”な作品に仕上がっていた。日本でこんなアルバムを作れるアーティストがいるんだと、驚かされたのを覚えている。

 日本人離れした声とそしてリズム、そうリズムが違うんだと思う。だから1986年に彼がデビューした時に、誰もが新鮮に感じ、それまで感じたことがなかった“何か”に引き寄せられたのだと思う。その“何か”がリズムなんじゃないかと思う。それはソングライターとして彼が書く言葉とメロディーにも感じる。どこまでも心地良く、でも体の深いところまで入ってきて、熱いエネルギーを感じさせてくれる。

 それはデビューから25年経った今も変わらない。逆にキャリアを重ねその声はさらに色気を増し、メロディーもますます優しくも熱い温度を感じさせてくれる。個人的に大好きな名曲「Indigo Waltz」(1988年)も、ライブで今の久保田の声と表現力で聴くと、当時とは全く違う聴こえ方がして、新しい感動として伝わってくる。そしてそのエバーグリーンなメロディーに改めて感動する。

 そんな曲が34曲。絶対ライブで聴きたい。現在ツアー中で、来年1月は『Party aint A Party』と題して、全国のアリーナでのライブも控えている。“日本の音楽シーンの至宝”の四半世紀を感じることができるチャンスだし、まだ久保田のライブを体験したことがない人は一度観たほうがいい。日本にもこんなに素晴らしいシンガー、表現者がいるんだということに感動するはずだ。

 前にもこのコーナーで書いたけど、25年間ブレない男、R&BとSoulを追求してきた男が作り上げた“ブランド”が『THE BADDEST〜Hit Parade〜』だ。

⇒ 『編集長の目っ!!』過去記事一覧ページ

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  • 久保田利伸
  • アルバム『THE BADDEST〜Hit Parade〜』初回限定盤
  • アルバム『THE BADDEST〜Hit Parade〜』通常盤

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