『サマソニ』20周年、社長が明かすブッキングの手法 レッチリ出演は“手紙”で説得

 今年20周年を迎えた『サマーソニック2019』は、8月16日より3日間にわたって開催され、初の日本人ヘッドライナーをB'zが務めるほか、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ザ・チェインスモーカーズをはじめ、国内外のビッグネームが名を連ねる。長きにわたり『サマソニ』が愛される秘訣や今年の見どころについて、同フェスを手がけるクリエイティブマンプロダクションの代表取締役社長の清水直樹氏に話を聞いた。レッチリへの出演依頼では、社長自ら手紙を送り気持ちを伝えたエピソードも語る。

レッチリに社長自ら手紙で説得を――B’zも「光栄です」と熱意が決め手

――20周年を迎えた今年は、3日間の開催。ヘッドライナーのB'z、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ザ・チェインスモーカーズをはじめ、充実のラインナップとなっています。
清水 20周年は誰もが納得する豪華なものにしたいと、数年前から考えていました。“3日間開催”“今までにない新しいことをやる”ということを踏まえて打ち出したのが、1日は日本のアーティストをヘッドライナーにすること。B’zは、10周年のときにリンキン・パークとダブルヘッドライナーで出演しているし、日本人アーティスト初のヘッドライナーは彼らしかいないと思いました。国内での実績はもちろん、海外アーティストとの交流もあります。弊社の気持ちをお伝えしたら、「光栄です」と言っていただけました。

――“気持ちを伝える”ということでは、レッチリに出演依頼をする際、手紙を送ったそうですね。
清水 そうなんですよ。マネージャーのピーター・メンチに、「出て欲しい気持ちを手紙に書いたほうがいい」と言われ、“『サマソニ』の20周年になぜレッチリがふさわしいか”という熱いメッセージを送りました。ピーターは日本の洋楽マーケットが厳しいこと、洋楽を中心としたフェスを20年続けることが簡単ではないことをよくわかっています。レッチリも“『サマソニ』に協力したい”という気持ちがあっただろうし、B’zと並び素晴らしいヘッドライナーだと思っています。レッチリが決まったことで、日本のアーティストのブッキングもスムーズでした。RADWIMPS、BABYMETAL、MAN WITH A MISSION、マキシマム ザ ホルモンなど、“レッチリと同じ日に出たい”というバンドが続々と決まりました。

――3日目のヘッドライナーはザ・チェインスモーカーズ、ゼッドも出演しますし、この日はダンスアクト中心ですね。
清水 3日目のマリンスタジアムは、EDM系のアーティストで畳みかけようと思っています。ザ・チェインスモーカーズ、ゼッド、さらにアラン・ウォーカーもが並ぶフェスは他にないでしょうね。EDM系のフェスは世界中で行われていますが、ロックやポップスのマーケットに根差してフェスに出演することは、アーティストにとっても新鮮なんですよ。

飽和状態のフェスシーンで打ち出す独自性 他のどのフェスとも交わらない

――将来性のあるアーティストをいち早くチェックできるのもサマソニの魅力。昨年出演したビリー・アイリッシュ、トム・ミッシュも世界的ブレイクを果たしました。
清水 はい。ジョルジャ・スミス、J.バルヴィンも出てくれたし、昨年は豊作でした。今年注目してほしいのは、サム・フェンダー。イギリスのSSWですが、どこまで大きくなるか予想できないほどの才能です。トム・ミッシュとも仲がいいFKJもぜひチェックしてほしいですね。彼のオシャレなセンスは、日本のオーディエンスにぴったりだと思うので。「ASIAN CALLING」(アジアの新進アーティストをプッシュするプロジェクト)にも期待してほしいです。ダンス・ボーカル・グループはもちろん、インディー・ロック・バンド SE SO NEON(セソニョン)やSSWデュオの赤頬思春期(あかほおししゅんき)など、才能豊かなアーティストが次々と登場しているので。アジア各国からの観客も増えていますし、将来的には「ASIAN CALLING」だけでフェスを開催するのが夢なんです。日本のアーティストがアジアのマーケットを狙うきっかけにしてもらいたいという意図もありますね。
 また、今年はライブ生配信を実施する予定です。以前も配信したことがあるんですが、そのときは海外向けで国内CS放送との関係もあり、日本国内では見られなかったんです。今年はチケットが早々にソールドアウトしているので、少しでも多くの人に『サマソニ』の20周年を見てもらいたいです。

――この20年間で日本国内にも数多くのフェスが開催されるようになりました。飽和状態とも言えますが、この現状をどう捉えていますか?
清水 “他のフェスと似たようなブッキングにはしたくない”というのはどのフェス・オーガナイザーも同じだと思いますが、『サマソニ』は半数が洋楽アーティストなので、他のどのフェスとも交わらないんです。なので、他のフェスのことはそこまで気にしていません。ただ、日本のアーティストをブッキングする際、“今年はこういう出方をしてほしい”という明確なビジョンがある場合は、なるべく他のフェスには出ないでほしいと伝えています。例えば、2016年のマリンスタジアムのサカナクション、レディオヘッドの流れもそう。今年、「レッチリと同じ日にやりたい」と出演を決めてくれたバンドもそうですが、彼らにとっては夢の舞台でもあると思うんですよ。そういうラインナップを実現できるのは、我々にとっても大きなやりがいになるので。

アジアを中心とした海外展開は、今後のサマソニの目標

――2017年には『サマソニ』の上海公演も行われましたが、今後の海外展開についてはどうお考えですか?
清水 アジアを中心とした海外展開は、今後の『サマソニ』の目標です。2017年の上海公演は本当に大変で、ギリギリまで話が進まなかったり、演奏する楽曲の歌詞の検閲があり、“どうして最初に中国でやろうとしたんだろう?”と思うほどでした(笑)。今後は台湾、香港、ソウル、シンガポールなどをターゲットにして、海外での公演を目指したい。洋楽、邦楽に加えてアジアのアーティストがさらに増えてくるだろうし、30周年に向けて、さまざまな地域のアーティストが集結する複合体的なフェスになっていくのではないでしょうか。

――世界ではラテンアーティストの存在感も際立っていますし、ブッキングのセンスがさらに問われそうですね。
清水 ラテンは今後もプッシュして行きますよ。かつてヒットは業界やメディアが作るものでしたが、今はユーザー自身の動向がヒットにつながるようになっています。例えば、ビリー・アイリッシュもそうで、彼女の過激でグロい表現があれほどキッズにウケたことは、業界やメディアは予想できてなかったんじゃないかなと。ユーザーがどんなアーティストに惹かれているのかをいち早く知ることが、いいブッキングにつながると思います。海外のフェスに行って、これからブレイクするであろうアーティストを実際に見ることも大事でしょうね。

――来年はオリンピックの影響もあり、『サマソニ』は開催されませんが、2021年以降の発展も楽しみです。
清水 『サマソニ』、『フジロックフェスティバル』というアジアの2大フェスが日本にあることは、とても大きいと思っています。サマソニはアジアの観客からも憧れのフェスとして認知されているし、音楽での日本発のコンテンツが少なくなっているなか、日本の宝じゃないかなと。『サマソニ』を20年続けてきたことは私たちの誇りだし、この先も継続したいので業界も一緒に協力してもらいたいです。

(文/森朋之)

『SUMMER SONIC 2019』開催概要

開催日:8月16日(金)・17日(土)・18日(日)
東京会場:ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
大阪会場:舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
1DAYチケット:1万5000円(税込)
3DAYチケット:3万9000円(税込)
プラチナチケット:2万5000円(税込)
出演:レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ザ・チェインスモーカーズ、B'zほか

『SUMMER SONIC 2019』オフィシャルサイト(外部サイト)

提供元: コンフィデンス

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