大石昌良、10周年記念ライブで18曲熱唱「日本一が見えてきたんちゃうか」

 シンガーソングライター・大石昌良のソロ活動10周年記念ライブ『大石昌良の弾き語りラボ〜10th Anniversary “One Man” Show〜』が1日東京国際フォーラムで行われた。アルバム『大石昌良の弾き語りラボ』より歴代の弾き語り曲をはじめ、自身が手掛けたヒット曲『けものフレンズ』主題歌の「ようこそジャパリパークへ」や『SSSS.グリッドマン』主題歌の「UNION」などセルフカバーも飛び出し会場を沸かせた。

序盤から多彩な音楽性で“歌の世界”に観客を引き込む

 アニメソングの名義「オーイシマサヨシ」、Tom-H@ckによる日本のデジタルロックユニット・「OxT(オクト)」など、多彩な活動でファンを拡大している大石昌良の、本人名義でのソロ活動10周年を記念したホールワンマンライブが、29日に大阪と1日に東京国際フォーラムホールCで開催された。

 1日のライブは「ピエロ」からスタート。観客に合いの手(That's COOL!)をあおりながら、曲の合間に“メンバー紹介”をはさむ。「オン・スキャット 俺〜!」「オン・ザ・ギター 俺〜!」とツアータイトルの“One Man Show”らしいメンバー紹介で笑いを取り賑やかにスタートしたと思いきや、間髪いれずに「幻想アンダーグラウンド」「うしろのしょうめん」とエモーショナルに聴かせる2曲を熱唱。最前列ではすでに涙する観客も見受けられるほど、一気に観客を歌の世界に引き込んだ。

 続くMCで、「今回のライブは国際フォーラムが3秒でソールド・アウトしたそうです!ギター1本でどこまでいけるのか、6年前くらいかから実験的に始めた『弾き語りラボ』。いよいよ日本一が見えてきたんとちゃうか〜!」と勢いづく。続けて「パラレルワールド」と最新曲「ボーダーライン」、2018年のシングル2曲を続けて披露。リズムとアルペジオが複雑に絡み合うテクニカルな楽曲は、弾き語りへの想いが凝縮し、洗練されつつも円熟味も感じる2曲だった。

終盤はセルフカバー曲で最高潮に 「アニソンをやっている僕も認めてほしい」

 ライブ中盤では、大石昌良本人いわく、“ライブ定番の茶番劇”が。「眼鏡ダーリン」では、メガネをかけた観客をステージに上げてメガネを借りるというお約束の演出。今回は足立区のヨシキが大石から指名され檀上に上がった。大石も客いじりをしながら「眼鏡ダーリンの客が面白すぎてサクラ説あるけれど、仕込みちゃうからな!」と笑いを誘う。

 観客の3層のコーラスとともに「おはよう」で再開。「ユートピア」「キウイ畑の宇宙船」と続くMCでは、弾き語りラボ(研究所)として大石の独特な弾き語りスタイルを解説。アルペジオ、ベース音、ボディタッピングやスラップ奏法など、独自の演奏スタイルを解説しつつ、「ギターは本当に色々な音を出せる楽器なんです」とギター愛を明かす。そしてその想いを怒涛の歌唱で“実演”。「ファイヤー!」演奏後に「弾き語りの限界を超えるぞ!」と「トライアングル」に突入。テクニカルなキラーチューンで大いに会場を沸かせた。

 終盤は、自身が手掛けたアニソンヒット曲のセルフカバータイムも。大石のブレイクのきっかけになった『けものフレンズ』主題歌「ようこそジャパリパークへ」、『月刊少女野崎くん』主題歌「君じゃなきゃダメみたい」のオーイシマサヨシ名義曲、OxT名義でヒット中の『SSSS.グリッドマン』主題歌「UNION」を弾き語りバージョンで歌唱し、会場の盛り上がりは最高潮に。

 終盤では10年間の活動の想いも吐露する。「この10年は、天才になりたかった10年でした。でも、出会う人たちの才能に打ちのめされ続けて、それでもなんとかやってきました」。大石は、2018年は1月から毎クールアニメの主題歌・ED曲を手掛けてアニソン界で頭角を現している。ヒット曲「ようこそジャパリパークへ」について、「音楽家として、音楽の教科書に自分の曲が載ることが一つの夢だった。学校で僕の曲が吹奏楽部で演奏されたり、その夢に近いところまでやってこれている。昔から応援してくれている方達、どうか、アニソンをやっている僕も認めてほしい」と、ミュージシャンとしての葛藤や想いも告白。

 ラストは自身のソロ活動のきっかけになったという、天国の祖父を想い作曲した「ほのかてらす」でフィナーレを迎えた。

「売れないミュージシャンほどみじめなものはない」秘話を明かすも、武道館ライブを見据える

 アンコールで再び登場した大石。アンコール2曲目の「東京ループ」はミュージシャンとして悩んでいた時に作った大石の思い入れのある一曲だ。「電車のように同じところをぐるぐると走って抜け出せない感覚だった。正直辞めようと思った。仲間と保険料の話や将来の話に不安を感じていた。売れないミュージシャンほど悲惨な仕事はない。でも、同じ場所を走り続けていたのではなかった。見える景色も乗ってくる人たちも変わっていた。このままいけば、きっと九段下あたりで僕は下りることになるのではないでしょうか」と、東京武道館でのライブを想起させるコメントに会場が湧いた。
ギター、歌、そしてMC、巧みなパフォーマンスを披露した笑いあり泣きありの2時間。18曲を1人で完走し、まさに10周年の集大成といえる時間だった。
2018年12月1日 東京国際フォーラム ホールC
■『大石昌良の弾き語りラボ〜10th Anniversary “One Man” Show〜』セットリスト

1 ピエロ
2 幻想アンダーグラウンド
3 うしろのしょうめん
4 パラレルワールド
5 ボーダーライン
6 眼鏡ダーリン
7 おはよう
8 ユートピア
9 キウイ畑の宇宙船
10 ファイヤー!
11 トライアングル
12 ようこそジャパリパークへ
13 君じゃなきゃダメみたい
14 UNION
15 ほのかてらす
-アンコール-
アンコール1 ミスター
アンコール2 東京ループ
アンコール3ストーリー

提供元: コンフィデンス

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