“競合なしアイドル”miracle2、女児をターゲットにする新戦略
“子ども向け”の意識を一切排除した音楽的な戦略が吉と出た
「この対象年齢をターゲットにしたプロジェクトを手掛けるのは初めてだったので、手探りなところも多々ありました。そうした中で、キッズ向けアニソンや童謡ではなくJ−POPを作ってほしいという製作委員会からのオーダー、そしてEXPGさんのダンス監修が決まっていたことをヒントに、自分の中でイメージしたのはジャクソン5やSPEEDの系譜に連なる“現代版キッズソウル、ダンスポップ”。声変わり前のハツラツとした歌声が、幅広い世代を魅了する楽曲やアーティスト性を目指しました」
歌詞に関しては「幼い子が理解できない単語は極力入れない」「恋愛要素よりも友情要素を重視」「サビの繰り返しは多め」等のルール設定をしつつも、クリエイティブのクオリティについては“子ども向け”の意識を一切排除したという。
同作「Catch Me!」(17年6月発売)の発売イベント第1弾は、タカラトミーのおもちゃ販促イベントとの協業で約1000人が集合した。ところがその後に行ったmiracle2単体イベントは「ぱったりと客足が途絶えた」と宣伝・イベントを担当する同社スタッフは振り返る。
「地方によっては50人ほどしか集まらなかった会場もありました。そこでタカラトミーさんとの協業イベントを見直したところ、イベントの告知をテレビスポットでしていたことに気づいたのです。miracle2もCMで告知したところ、1stシングルイベントの最終戦には約3000人を集客しました」
女児を熱狂させる要素は、競合アイドルがいないから
「来場した親子にヒアリングしたところ、『CMを観て子どもが行きたがったので』という声がほとんどでした。たしかに、いくらネットで告知しても子どもにはリーチしないですよね。同様に現場はこれほど盛り上がっても、SNSのフォロワーは意外と少ないんです。子どもはSNSを利用しないですから」
一方で母親世代による関連インスタ投稿は多く、木下優樹菜もファンを公言。娘につられて観始めたところ、自らが「どハマり」したことを明かしている。
「イベントではお子さんと同じくらいの声援を送っているお母さんも多いですね。『ダンスに夢中だった子どもの頃を思い出して感動した』とおっしゃる方もいて、現代のママ世代らしさを感じました。CDの購入特典をチェキからスマホ撮影可にしたところ、インスタ投稿も飛躍的に伸びました」
楽曲もダンスも大人も満足させるクオリティだが、やはりファンの95%以上は女児。いわゆる大人の男性アイドルファンは少ない。
「当初は我々も大人ファンがもっと多く集まるのでは? と想定していたのですが──。理由はわかりませんが、女児たちのパワーのすごさに気圧されてしまってるのかな? と思うことはあります」
それほどまでに女児を熱狂させる要素を尋ねると、「競合がいないからでは」と推察する。
「miracle2のメンバーは小6から中2。ターゲットの女児たちにとっては、この年齢がリアルに憧れるマックスなのかもしれません。それ以上の年齢になると、大人にしか見えない。『私たちのアイドル』と思える唯一の存在がmiracle2なのだと思います」
2月14日にはアルバム『MIRACLE☆BEST』を発売。こちらもイベント会場を中心としたフィジカルの売上が期待できそうだ。また、両氏は今年4月から放送予定のガールズ×ヒロインシリーズ第2弾『魔法×戦士 マジマジョピュアーズ!』にも携わるとのことで、女児たちにとっての次なる「私たちのアイドル」にも注目したい。
(文:児玉澄子)