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堤幸彦監督 生身の役者に最大にとんがったことをしてもらえたらおもしろい

大ヒットシリーズ『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』が『劇場版 SPEC〜結〜(クローズ)』でついに完結。現在大ヒット公開中の『漸ノ(ゼン)篇』と11月29日から公開される『爻(コウ)ノ篇』という壮大な二部構成で迎えるフィナーレに向けて、『SPEC』フィーバーはますます高まる!“SPEC祭”をより楽しむべく、ワールドの全貌を知る堤幸彦監督にお話をうかがった。 『劇場版SPEC〜結〜』インタビュー連載第3回!!

過激な(!?)制作秘話を明かす☆動画インタビュー


宇宙創世の歴史にまで辿り着いてしまった(笑)

――連ドラスタートから3年の間に、作品のキーコンセプトはどのように変化していきましたか?
最大の変化は、作品の世界観が想像を絶する広がり方をしたことです。連ドラ当時はわりと小さな“スペック”と呼ばれる超人的な能力を持つ人々が起こした事件の捜査に特化していましたが、『結』では地球や世界の成り立ちにまで話が広がりました。国家間や世代間の問題を遥かに飛び越え、46億年前に地球が誕生したとされる宇宙創世の歴史にまで辿り着いてしまった(笑)。……こんな展開になるとは、全く想像しておりませんでした。台本をもらって「げっ、こう来るか!」と。『結』の撮影中は、自分の処理能力を確実に超えた内容に何度も思考が停止し、『オズの魔法使い』のように頭がブリキ化する瞬間が多々ありました(笑)。

――堤監督のなかに『SPEC』ワールドをともに作り上げてきた、植田博樹プロデューサーとの記念すべき初タッグ作『ケイゾク』(1999年)の続編という意識は?
奇しくも『SPEC』の企画が始まる10年前の作品です。『ケイゾク』はひとつの作品として、私のなかで完全燃焼感がありました。植田さんとはその後もいろいろな作品を作りましたが、『愛なんていらねえよ、夏』(2002年)という不遇の名作がありまして。その不完全燃焼感たるやとんでもなくて、これはどこかでリベンジだなということで、ふたりで熱海の温泉へ行きました。そのとき、露天風呂で真っ裸で仁王立ちして「『ケイゾク』だ!」と叫んだ記憶があるんです。それが紆余曲折あって、この形になったと認識しております(笑)。

――『ケイゾク』と『SPEC』をつなぐ作品が、堤監督の新境地といわれた、情感豊かなラブストーリー『いら夏』とは感慨深い! エンターテインメントから社会派ドラマまで変幻自在の堤監督ですが、『SPEC』の演出で大切にされたことは何ですか?
ほかの作品とは違ったとんがり方にこだわりました。『SPEC』は決してアニメーションやフルCGものではなく、現実の重力に支配された生身の人間が作り出す世界のお話です。特殊メイクなどであまりいじらず、役者さんたちの生身の顔で、最大にとんがったことをしてもらえたら、おもしろいなと。日本語が得意ではない青池里子(栗山千明)の喋り方や、謎の白い女(大島優子)のしゃっくり、好評につき復活した、北村一輝さん扮する吉川州(※吉は旧字)とか(笑)。みんなそれぞれにヘンでしょう?

全ての謎が明らかになって迎える とても美しい結末

――多種多彩で味わい深い『SPEC』ワールドのキャラクターたち。連ドラの前日譚にあたるスペシャルドラマ『零』では、主人公・当麻紗綾(戸田恵梨香)が真っ赤なスーツ姿で野々村光太郎係長(竜雷太)にドン引きされていましたが、連ドラ以降定着した、フレッシュマンスーツに生足&ソックス&ぺたんこ革靴という、カリカチュアされたコスチュームの意図とは?
ファッションって、興味がないと維持できないし、広がらないもの。“人生の目標や好奇心はそこにはないのだ”という超ド級のインテリ女子が、他人から後ろ指をさされない程度の、最低限のラインを考えました。刑事、会社員、日常の私服としても、このアイテムならば全然おかしくない! 多少野暮ったかろうが「どこがいけないんですか?」と言い張れる。必要にして十分なスタイルです(笑)。元祖は『ケイゾク』の柴田純ですが、彼女の場合は図書館司書のイメージから発想したので、カメオが大事なアイテムになりました。『トリック』の山田奈緒子に関しては貧乏ゆえの設定ですが、一旦コスチュームを決めてしまえば、なぜこの洋服を選んだのか? という、本筋とは違った部分の意味を考えなくて済むわけです。つまりそのぶん、登場人物の感情や動きに重点を置くことができる。それは私の作品において重要なことです。瀬文焚流(加瀬亮)も然り、これ以上足せないし、引けません(笑)。

――なるほど。当麻と瀬文は、真逆のようである意味とてもよく似ています。キレ者コンビを見事に体現した、戸田恵梨香と加瀬亮については?
奇跡的なカップリングでした! 戸田さんは本当に優秀な女優さんです。編集という最終段階でも、改めて彼女の芝居のすごさに驚かされています。昨日も(※取材日は『爻ノ篇』の編集まっ最中)植田さんに「戸田さんってうまいよね」としみじみ言ったら「今さら何を言ってるの?」って顔をされましたけど(笑)。加瀬さんもおよそ役者魂に貫かれた方で。連ドラが始まる前「坊主にしてくれ」ってお願いしたら、ふたつ返事で「いいっすよ」と言ってくれた時点で、この人は信用できると(笑)。これまでに見たことのない、ヤバい感じのエッジの効いたものを出してくれる役者さんですね。『爻ノ篇』の瀬文は、もうありえない形で生きていますから! いちばんのスペックホルダーは瀬文じゃねえのか? と思ってしまうくらい(笑)。とんでもないスペックホルダーの当麻と、スペックホルダー以上に生存能力というスペックを持つ瀬文、そして刑事魂というひとつの真理に到達した野々村係長、ミショウの3人のユニットが作り出す思いこそが『SPEC』の大きなテーマです。作品世界が、現世をも飛び越えた領域に足を踏み入れようが、犯罪という域を超えた魑魅魍魎の輩や神と呼ばれる人物が登場しようが、3人が非常にきっちりとしているので、観る方にとっても彼らの存在が頼るべきところになっていると思います。私自身、彼らに依拠することで、想像を実体化するという複雑な過程を楽しむことができました。大変な苦労もありましたが、きっとおもしろい作品になるはずだと、結局は楽観的な心境でおります。まだ完成しておりませんが(苦笑)。

――最後に『漸ノ篇』と『爻ノ篇』の見どころを教えてください。
『漸ノ篇』は、野々村係長のこれまでの名言の数々を改めて確認するような回になっています。『爻ノ篇』に至っては、私でさえ「マジかよ!?」とつっこんでしまうほど、とんでもないところまでいっちゃっていますが、決してルールなきデタラメな世界ではございません。それぞれの意味や理屈をみんなで一つひとつ確認しながら、ワールドを築き上げました。スペックホルダーとは一体何なのか、当麻がなぜこの運命に巻き込まれていたのか……全ての謎が明らかになった暁には、当麻と瀬文にはとても美しい結末を用意しています。ぜひ一緒に体感していただければ。ちなみにケバい当麻が見られる『零』は、現在絶賛Blu-ray&DVDレンタル、発売中です。テレビで放送されたバージョンよりも30分ほど尺が長くなり、世界観がより詳しくわかるかと。かなりあこぎな商売ですが(笑)、けっこう気合いを入れて取り組みました。みなさんの力で“SPEC祭”を盛り上げ、大いに楽しんでください!
(文:石村加奈)


<連載インタビュー>
戸田恵梨香&加瀬亮『お互いに持っていないところを理解し合い、補い合っている』
向井理『堤幸彦監督はいつも僕を崩そうとする。だけど…』
有村架純『これまでを振り返ると うるっと来ちゃう(笑)』

映画『劇場版SPEC〜結〜(クローズ)〜』

  ニノマエとの死闘を終え、瀕死の状態で病室に担ぎ込まれた当麻と瀬文。「…お前はお前だ。俺にとってそれは絶対に変わらん」「一生…ガチで巻き込んじゃってやるからな…」2人は距離を縮めたかに思えた…。

 しかし、世界はある人物によって破滅へと進んでいた…。「ヤツらはどうしても滅びる運命にあるんだよ」。SPECホルダーたちが世界を揺るがし始め、現人類の歴史に終止符が打たれようとしている。「奴を倒すなら、私は鬼でも悪魔でもなる。人の道を踏みはずしたら、瀬文さん。あとは頼みます」当麻に宿ったスペックが今、目覚める!

 『SPEC』シリーズの終焉が描かれる『結』。新旧SPECホルダー総出演で贈る究極の結末。シンプルプラン。ファティマ第3の予言。ソロモンの鍵。全ての謎が紐解かれる!当麻と瀬文、そして人類の運命は?……それは終焉の始まり。

監督:堤幸彦
出演:戸田恵梨香 加瀬亮 北村一輝 栗山千明 向井理 大島優子 有村架純
【映画予告編】 【映画公式サイト】
2013年11月1日(金)漸ノ篇
     11月29日(金)爻ノ篇
2部作連続ロードショー
(C)2013「劇場版SPEC 〜結〜 漸ノ篇」製作委員会
(C)2013「劇場版SPEC 〜結〜 爻ノ篇」製作委員会

関連リンク

<Vol.1>有村架純インタビュー私のなかのとても大きな変化
<Vol.2> 戸田恵梨香&加瀬 亮インタビュー『SPEC』ならではの異様なテンションに…
<Vol.3> 堤 幸彦監督とても美しい結末―
<Vol.4>向井 理自分のことは考えない
映画予告編SPECホルダー総出演☆
『劇場版SPEC〜結〜』公式サイト

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