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人気観光地・石垣島が“猫捨て島”に? 5年で500匹超が遺棄「島人として恥ずかしい」

 青い空と海、自然豊かな沖縄県・石垣島は、日本でも有数の観光地だ。そんな美しい島に、去年1年で176匹、5年で500匹超もの猫が捨てられた緑地公園はある。観光で訪れる人は「猫がいっぱいいる公園」「触れ合えてカワイイ」と好意的に受け止めているが、その実情を知ってほしいと現地ボランティアは嘆く。かつては大規模な保護活動も行われたこの場所で、一体なにが起こっているのか。

去年1年で176匹超、台風の土砂降りの中に捨てられる猫たち

 「去年だけで、176匹もの猫が公園に捨てられました。私が活動し始めた5年前から数えると、500匹は超えます」

 そう訴えるのは、石垣島の保護団体『Cat nursery Larimar』(以下ラリマー)でボランティア活動を行う、平地敦子さんだ。現在、4〜5人のボランティアたちでTNR(飼い主のいない猫を捕獲し、不妊・去勢手術を行い、元の場所に戻す)を実施している。当の緑地公園の猫たちの手術は済んだが、次は近隣地区でも活動しているそうだ。

 「この公園はとくに去年はひどい状態で、5月には30匹もの猫が捨てられました。飼い猫に不妊・去勢術を施さず、でも子猫は育てられないと、親子で捨てられてしまいます。しかも、夜中や台風の時など、人目に付かない時を狙って。ただ、公園には監視カメラがないので、誰も検挙されない状況です。ケガをして、妊娠した母猫を土砂降りの中に捨てる…こんなひどい話はありません」

 この公園に遺棄される猫の数は、年間で100匹前後。最も多かった年が2022年の1年間で176匹、2番目に多かった年は2018年で108匹。コロナ禍で公園の一般立ち入りが規制されていた2021年は少なく、50匹以下だったそうだ。

“猫島”として楽しむ観光客、「猫の最後はどうなってしまうのか、真実を知ってほしい」

 こうして公園に捨てられた猫たちは、ボランティアがエサや薬をあげて世話しているものの、すべてに手が回るわけではない。人前に出てこない猫もいれば、ケガが化膿してしまう猫もいる。口内炎や猫エイズを患う猫も多いという。

 今年1月にもある1匹の猫が捨てられたが、その猫が生きられたのは2ヵ月と10日。飼い主からしてみれば、「ボランティアがエサをやっているから大丈夫だろう」と捨てていったのかもしれないが、猫は病気を発症し、病院で処置を受けるものの手遅れ。あっという間にこの世を去ってしまった。

 「そうして亡くなる猫があまりにも多く、墓地すら作れない状況です。観光客向けのブログなどでは、『猫島』として紹介されることもありますが、猫がカワイイとかキレイな場所だとか、それはあくまで断片的な部分です。猫たちの生活がどれだけ過酷か、最後はどうなってしまうのか、真実を知ってほしい」

ボランティアと市が協力した大規模な保護活動、10余年が経って振り出しに…

 だが、このような状況を行政側も放ってきたわけではない。2012年、石垣市は「南の島猫アイランド事業」として、公益財団法人『どうぶつ基金』、地元ボランティア協力のもと、大規模な一斉TNRを行った。これにより、公園その他の171匹の猫たちが不妊・去勢手術を受け、ワクチンや虫の駆除などの処置がなされた。

 「この大規模TNRも、石垣市長とボランティア団体により、実現したものです。ただ、10年少し経った今、また状況は戻りつつあると言えます。今も市長さんがいろいろと動いてくださって、この公園を保護指定区域内にも認めていただきました。でも、なかなか猫にまで手が回らない部分はあるし、私たちがどんなにTNRを行っても、また捨てに来る人が後を絶たないのです。大規模TNRは新聞にも載り、多くの人の目に入ったと思うのですが…」

 石垣市は、ふるさと納税の支援金を犬猫の不妊・去勢手術補助の助成金にしている、全国でも珍しい地域であるという。ただ、このように動物に優しい自治体で、猫を捨てにくるのはおそらく島民と思われるそうだ。平地さんは、「私も島人(しまんちゅ)ですが、島の意識の低さが恥ずかしい」と嘆く。

 「島には外飼いの文化が残っていて、多くの人は気にしていません。ただ、外は危険がいっぱいであることは確か。内地と比べて、動物愛護の意識は30年は遅れているのではないでしょうか」

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