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クリープハイプ『さまざまなI、哀、愛……思いが吹き零れた2ndアルバム』

CMタイアップ曲「憂、燦々」(ゆう、さんさん)が好評のクリープハイプが、メジャー2ndアルバム『吹き零れる程のI、哀、愛』をリリース。詞、曲とボーカルを務める、尾崎世界観の感性が溢れ出す、みずみずしい作品が完成した。

ちょっとやりすぎるくらいがちょうどいい

  • 『吹き零れる程のI、哀、愛』

    『吹き零れる程のI、哀、愛』

――メジャー2ndアルバムですが。
尾崎世界観シングルを3枚作りながら、アルバム制作に入った感じだったので、どういうアルバムにしようかとか、そういうことを考える暇はあまりなかったですね。そもそも考えて作るタイプではないけど……。シングルで1曲1曲に集中して作る感覚でアルバムの曲もやれたので、それはすごく良かったと思います。

――シングルは、どれもテイストがまったく違うものでしたよね。
尾崎そうですね。だからこそ、アルバムでもいろいろな曲がやれたと思うし。同じような曲ばかりだと聴くほうもやるほうも飽きるし、ちょっとやりすぎるくらいがちょうどいいと思うので。

――アルバムのオープニングを飾る1曲目は、夏らしく爽やかなサウンドだけど、タイトルが「ラブホテル」なんですね。
尾崎毎回こういうテイストを入れていて。<夏のせい>というフレーズを先に決めて、それをどう膨らませたらエロい歌になるか考えました。夏フェスで歌うのが楽しみです!

――「あ」という曲は歌詞カードを見ると、行頭がすべて<あ>で始まるようになっている。
尾崎前から<あ>で始まる歌詞というアイディアはあって、ハマりそうな曲ができたのでやってみました。携帯でブログを書くときとか、やる気がまったくなくてどうでもいいってとき、件名に「あ」って入れて送ったことがあって。そういう投げやりなイメージです。皮肉もありつつ、もっと冷めてる感じ。でも最後には感情が出てくるっていう。

――歌詞のなかに<実はこの話には面白い続きがあって>と出てくるんですけど。
尾崎あえて、考えてません(笑)

――跳ねたビートの「マルコ」は、昔からあった曲だそうですが。
尾崎6年以上前に原型を作った曲で、歌詞は実家で飼っている犬のマルコがテーマ。すごく大事にしていた曲で、何度かレコーディングしようとやってみたんですけど、なかなかいい形にならなくて。今回やっと納得いくものができました。曲の最後には、マルコの鳴き声も入ってて。今度実家に帰ったら、ちょっと高いドッグフードを買ってあげようと思います。

僕が曲を作るときの主な感情が“I、哀、愛”なんです

  • クリープハイプ (左から)小泉拓、尾崎世界観、長谷川カオナシ、小川幸慈

    クリープハイプ (左から)小泉拓、尾崎世界観、長谷川カオナシ、小川幸慈

――「NE-TAXI」も古く、もともと09年のインディーズ盤『When I was young, I’d listen to the radio』に収録されていた曲ですね。
尾崎ライブでもわりと定番的にやっていたんですが、いまのメンバーで録ったことがないので、入れたいとメンバーから提案があって。ベースの(長谷川)カオナシが打ち込みを入れているので、インディーズのときとはアレンジが変わっていて、新録した意味があるものになっていると思います。

――カオナシさんは「かえるの唄」という曲も作っていますね。
尾崎前もアルバムのアクセント的に1曲入れていて。でもこの曲は、本人じゃないとわからないので、いま電話しましょうか(笑)?

――いえ、大丈夫です(笑)。ラストは、シングルにも収録されていたバラードの「傷つける」。
尾崎これは、聴かせると言うか、いままでとは違った表現ができた曲だったので、バンドをやっていく上で、今後大事な曲になると思って。曲ができたとき、アルバムの最後になるだろうなと、自然とみんな思っていました。あと、初回盤の最後にボーナストラックとして収録している「自分の事ばかりで情けなくなるよ」という曲は、僕の弾き語りとカオナシのバイオリンで、2人で一発録りしました。リズムがズレたりしてるんですけど、何回か録ったなかでこれが一番良くて。いい雰囲気を感じてもらえると思います。

――アルバムタイトルですが、「吹き零れる」という表現が面白いと思いました。鍋が吹き零れるみたいな?
尾崎僕が曲を作っているときって、そういうイメージなんです。通常の意識とは違うところで何かが勝手に沸いて、吹き零れそうになって、慌てて火を止めに走るみたいな。

――吹き零れるためには、火を付けるものが必要ですよね。
尾崎それは日々、いろいろあります。腹が立ったとか、うれしかったとか悲しかったとか……。それで、僕が曲を作るときの主な感情が、“I、哀、愛”なんです。

――では最後に……3曲のシングル「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」、「社会の窓」、「憂、燦々」のミュージックビデオを元にした、映画『自分の事ばかりで情けなくなるよ』が秋に公開されるとのことで。
尾崎はい。その3曲の撮影のとき、実はもっといろいろなシーンも撮っていたんです。映画を意識して曲を作っていたわけではなかったのですが……もともと映画が好きなので、自分の曲を映像で表現してもらえるのは、すごくうれしいです。監督が僕の歌からインスパイアされて映像で表現してくれたのと同じように、アルバムを聴いてくれた人も、自分なりにイメージや映像を頭のなかで思い描いてくれたらうれしいです!
(文:榑林史章)

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