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映画『天気の子』新海誠×RADWIMPS野田洋次郎×三浦透子インタビュー
今の時代の気分を、今、出したいと思った(新海誠監督)
新海おっしゃるとおり、アニメーション映画の制作には時間がかかります。でも、「3年で出したい」と思ったんです。それは、今の自分の気分を、今の時代の気分を、今、世の中に出したいと思って。やってみたら想像以上にハードでしたけど、なんとか完成にこぎつけることができました。
野田たしか、『君の名は。』の公開日からちょうど1年後の2017年8月26日に監督から『天気の子』の脚本(初稿)をいただいて。1年足らずで脚本を書き上げたことにまず驚きました。
新海『君の名は。』が半年以上のロングラン上映になって、いろいろあったので、実質、半年くらいで書き上げましたかね。一日でも早く洋次郎さんに読んでもらいたくて(笑)。
――そうしたら、野田さんから主題歌の一つ「愛にできることはまだあるかい」が返ってきた。
新海脚本を送ったときは音楽オファーのつもりではなかったのですが、「愛にできることはまだあるかい」を聴いて「これは作るべき映画になる」と強く思えました。洋次郎さんに脚本を送った理由を、自分自身で深く納得してしまいました。
野田前回とは違うことをやりましょう、でも『君の名は。』の経験があるからこそ、もっと良いものを届けられるよね、というのが共通認識としてあって。さらに、今回は女性ボーカルの歌を入れたい、と提案させてもらいました。『君の名は。』との差別化もしたかったし、劇伴を全力でやってみたいという思いもありました。
新海そうなんですよ、「僕が歌う必要はないと思います」と洋次郎さんがおっしゃって。『君の名は。』とは異なる手触りの作品にしたいと思っていたので、女性ボーカルはいいアイデアだと思いました。ただ、そこから透子さんと出会うまでだいぶ時間がかかった。その間、僕はずっと洋次郎さんの歌の入ったデモを聞きながらビデオコンテの作業を進めていたので、完全に洋次郎さんモードになっていたんですけど、オーディションで透子さんの歌声を聴いたら、「そうきたか」と。さらにひと回り作品が広がる確信が持てて、うれしくなりました。「透子さんの歌声が輝く瞬間を、この映画が輝く瞬間になるようにしよう」と、RADWIMPSとも話しながら映画を組み立てていくことにしました。