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YOSHIKIも開催、もはや高齢層向けではない「ディナーショー」の多様化
ロックスターYOSHIKIのディナーショーが絶好調、ディナーショーが再評価
チケット料金は、「5万円を超えるのは超大物クラス」とされるディナーショー界の常識をはるかに凌駕する「8万6400円(税込)」。だがその内容は、料理はすべてYOSHIKIプロデュース、キティちゃんとコラボしたYOSHIKITYが登場し、YOSHIKIMONOのファッションショーも行なわれ、極めつけはYOSHIKI自作のワインがお土産につくなど、まさにYOSHIKIずくめ。
ショーの内容はピアノ演奏だけではなく、ドラムソロも披露。ラストのカーテンコールでは超至近近距離でファンたちが囲む…となれば、ファンにとってはこの値段でも“お買い得”なのかもしれない。ちなみにこのディナーショーには、元メジャーリーグのスター選手であるバリー・ボンズや、元FCバルセロナでスペイン代表サッカー選手、ジェラール・ピケもゲストとして来場し、セレブ感満載のショーだったようだ。
高額のディナーショー、今も昔も、そのお値段はタレントの“格”で千差万別
そして、その“格”もディナーショーのチケット料金に反映され、五木ひろしや松田聖子などのトップクラスは4〜5万円レベルで“高値安定”、2016年に7年ぶりにディナーショーを開催した中森明菜もプラチナチケットとなり、最高5万円のチケットは即完売した。年末ともなると、その年のもっとも高額なディナーショーがメディアで話題に上がることが今や年末の“風物詩”ともなっているのである。
しかし、若い世代にとっては、ディナーショーはあくまで年配が参加するものというイメージがあり、実際、チケット代も若者が気軽に参加できる額ではない。YOSHIKIの8万6400円にしても現時点では今年の最高額であり、仮に1公演300席とすると、7月の7公演で1億7000万を売り上げたことになる。それでいてハコ(会場)は小規模、コストがかる大がかりなステージセットも物理的に設置できず(ホテルの宴会場ではスペース的に限界がある)、あくまでもタレントと客の“距離が近い”ことを最大のウリにするという、制作側やタレントにとってディナーショーとは、大切な“稼げるコンテンツ”でもあるのだ。
タレントの本気が見られる“プレミアムライブ”化
一方、タレント側もライブやコンサートとは異なり、やりたいことをやれる小回りのきく場でもあるため、普段よりいっそう“タレント色”の強いステージを披露することができる。それだけに、人気ものまねタレントのコロッケが「25年間、ディナーショーをやっているけれど、いまだにプレッシャーを感じる」と告白しているように、タレントにしてみれば客との距離が近いぶん、いつもとは違う意味で“全力”のパフォーマンスが求められる。ディナーショーを“プレミアムライブ”と言えば納得の金額、クオリティーと言えるだろう。
近年、CDが売れないといわれる音楽業界においては、ディナーショーは野外やホールに次ぐ“第三のライブイベント”として、本格的に見直されつつある。ディナーショー限定と銘打てば、多少高額でもグッズが売れるだろうし、CD販売の収益も見込まれる。会場を提供するホテル側にしても、空いている会場は埋められるし、宿泊につながる宣伝効果も期待できる。ディナーショーは、ファン側、タレント側、会場側が三者三様に“おいしい”コンテンツなのである。
“若返り”の兆候も…ディナーショー多様化による更なる可能性
もちろん音楽の分野でも、2012年に松任谷由実、2013年に矢沢永吉と大物アーティスト勢も新たに参戦。また、及川光博やL’Arc〜en〜CielのTETSUYA、つるの剛士、中川翔子、平原綾香等々、ディナーショーの出演者がしだいに若返っていることもあり、ひと昔前までの“渋い”ディナーショーはどんどん“スタイリッシュ”になっているのだ。
このままいけば、K-POPアーティストやアイドルのみならずモデル、さらには若者向けのYouTuberまでが参加する可能性も十分考えられる。また、ライブよりは豪華だが価格を抑えた“ぷちディナーショー”や“カジュアルディナーショー”が登場し、十代の女性が列をなす…なんて光景も見られるかもしれない。そろそろディナーショーの最盛期である年末に向けた情報が出てくるころ。今後のディナーショーの展開と多様化に注目していきたい。