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ORICON NEWS
CMでも多数起用、専門番組も人気…国内で本格的な“ラップ”人気再燃のワケ
90年代にはラップとJ-POPが融合した“J-RAP”も、2000年代中盤以降はその勢いにも陰り
「当時の“渋谷系”と呼ばれるジャンルがHIP HOPと融合した『今夜はブギー・バック』は、ハイセンスでおしゃれ系の若者たちの間で大人気となり、HIP HOPを一般層にまで浸透させました。それにトドメを刺したのが『DA.YO.NE』です。この曲は日本のHIP HOP初のミリオンセラーとなって、全国各地で『DA.YO.NE』の“ご当地版”が出されるまでになり、地方の隅々にまでラップが行き届いたのです」(エンタメ誌編集者)
以後、90年代はヒットチャートに数多くのラップ曲がランクインするようになり、本格派ラップミュージシャンと言えるRHYMESTERやBUDDHA BRAND、キングギドラなどのシーンを代表する面々が多数活躍する。その一方で、安室奈美恵やDA PUMPといったポップ系にもラップが普通に取り入れられ、m.c.A・Tなどが“J-RAP”などを提唱するまでとなったのだ。そして2000年代になるとDragon ASHがZEEBRAとコラボした曲が大ヒット、KICK THE CAN CREWやRIP SLIMEといったゆるくておしゃれなラップが大人気となると、もはやラップはJ-POPの枠に取り込まれたと言ってもいいだろう。
だが、2000年代を頂点に、ジャンルとしてのラップは徐々に衰退の一途を辿ることに。それは音楽シーン全体の売上低下に伴うものであったが、それだけが理由でもない。「こうなるとダボダボの服にベースボールキャップ、たいがいがポッチャリ体型……というギャングスタ系というか、ストリート系というか、いかにも悪そうな、わかりやすいラッパーは“ダサい”存在となり、2000年代中盤以降、ラップの勢いは衰えてしまいます」(前出の編集者)
テレビ番組だけでなくCMでもラップを多様、18歳選挙権もラップバトルを起用
最新の『トヨタ自動車 実写版・ドラえもんCM』でも、のび太(妻夫木聡)が「オレ、確かにいっつもドラ頼み でもお前は一生ドラ息子」とスネ夫(山下智久)をディスれば、スネ夫も「は? ドラ息子でナニが悪い のび太はいっつもカッコ悪い」と返し、最後はジャイ子(前田敦子)が登場して、「てか、のび太とスネ夫の分際でイキがってんじゃねえぞ」と一喝して終り……というラップバトルが繰り広げられるが、これと同じノリで高校生が休み時間中にラップバトルをしているという。さらに先述のように、『ファンタ』の菅田将暉、『ケンタッキー』の桐谷健太、『氷結』のNON STYLE・井上裕介とトレンディエンジェル・斎藤司、『東京サマーランド』のスチャダラパーなど、最近では俳優からお笑い芸人、本物のラッパーまでが出演し、CMでラップを披露しているのである。
「何のジャンルでもそうですが、ブームが高校生にまで広がれば、それは本物と言えるし、経済効果も期待できます。実際、東京都選挙管理委員会が行なった18歳選挙権の周知キャンペーン『TOHYO都』では、『フリースタイルダンジョン』で人気となった般若さんらが登場するMCバトルが行なわれてましたから」(前出の編集者)
いとうせいこうは以前ORICON STYLEのインタビューで、日本のHIP HOPの始まりは「アマチュアがセンスだけでプロより上に行っちゃうっていう時代の始まりだった」と語っていたが、今のラップがまさにその状態。最近では、男女7人組ダンスボーカルグループ・AAAの日高光啓のソロ名義・SKY‐HI(スカイ・ハイ)の“超高速ラップ”が話題になっているが、ラップが本格的に日本音楽シーンのメインストリームにのし上がってくる日も近いのかもしれない。