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“音楽版テラスハウス”Goose houseとは〜アーティストがシェアハウスに住むワケ

 男女7人組シンガー・ソングライター・ユニットのGoose house(グースハウス)の最新アルバム『Milk』(2月25日発売)が3月9日付付オリコン週間アルバムランキングで1.7万枚を売り上げ、初登場8位を獲得し、12位にもアルバム『Bitter』(同発)がランクインした。5億回近いYouTubeでの総再生回数を記録している人気急上昇の彼らだが、知らない人も多いだろう。SEKAI NO OWARIもそうだが、『テラスハウス』のような“シェアハウス”に住み音楽制作をしているGoose houseとは、いったいどんなユニットなのか? 彼らの人となりとアーティストが“シェアハウス”に住む利点についても改めて考えてみた。

カバーの多彩さが話題となり、YouTubeチャンネル登録者数は100万人超え

  • アルバム『Milk』

    アルバム『Milk』

 Goose houseは、竹渕慶(Vo)、竹澤汀(Vo&Dr)、工藤秀平(Vo&G)、齋藤ジョニー(Vo&G)、マナミ(Vo&G)、沙夜香(Vo&P)、ワタナベシュウヘイ(Vo&B)という女性4人と男性3人による7人組ユニット。個々でソロのシンガー・ソングライターとしても活動し、全員が作詞作曲とボーカルを務める。ポップでキラキラとしたアコースティックサウンドを基盤に、背中を押す歌詞もあれば、切ない気持ちを託した歌詞もあり、10代〜20代の若い世代を中心に人気だ。順にメロディを歌い繋ぎながら、全員でサビを歌い上げるスタイルは、全員がボーカルで男女混合の大人数バンドならではのスケール感とダイナミズムがある。現在までに自主制作で7枚のアルバムを発売しているほか、フジテレビ“ノイタミナ”枠のアニメテーマを2作、資生堂「TSUBAKI」のCMソング「君と踊ろう」をソニー・ミュージックレコーズより発売。ライブ活動も定期的に行い、昨年は全国ツアーを開催。また、昨年9月に竹渕はソロデビューを果たしている。

 Goose house最大の特徴は、男女メンバーが一軒家で一緒に住みながら音楽を作るユニットであること。全員が、今流行りの“シェアハウス”で暮らす、平たく言えば音楽版の“テラスハウス”といったところだ。放送終了後も映画化されるなど、人気のテレビ番組『テラスハウス』(フジテレビ系)だが、放送が始まったのは2012年10月から。しかしGoose houseは、『テラスハウス』が放送されるよりもずっと前から、シェアハウスに住んでいる。

 原点となったのは、2010年6月にスタートしたSONYウォークマンのキャンペーンプロジェクト「Play You. House」。若いアーティストを「Play You. House」と呼ばれるシェアハウスに集め、共同生活を送りながら音楽を制作し、毎週土曜日の夜にシェアハウスからUstreamでライブ放送を実施。翌年3月に同企画が終了した後は、シェアハウスの場所を変え、名称も渡り鳥の群れにたとえてGoose houseに変更し活動を継続。新メンバーも加わり現在のメンバー構成になった。UstreamやYouTubeでの活動は現在も行っており、オリジナル曲のほかに数多くのカバー曲を披露。福山雅治やBUMP OF CHICKEN、AKB48など、カバーの多彩さも話題となって5億近いYouTubeでの総再生回数を記録し、YouTubeのチャンネル登録者数は100万人を超えた。

いつでも気軽に音楽制作ができるシェアハウスは、互いの心理・体調も把握し合える

  • アルバム『Bitter』

    アルバム『Bitter』

 シェアハウスと言えば、アマチュア時代に家賃などの経費節約で、共同生活を送った経験のあるバンドマンは非常に多い。しかし、デビューしてからも共同生活を送るバンドはそう多くなく、SEKAI NO OWARIが有名なくらいだろう。では、デビューして以降もシェアハウス=メンバー同士で共同生活を続けることには、どんなメリットがあるのだろうか?

 一番は、いつでも音楽制作が気軽にできる点だ。誰かがメロディや曲のアイディアを思いついたとき、極端なことを言えば夜中でもメンバーをたたき起こして、曲を仕上げることができる。時間を置くことなく制作できるので、テンションや創作意欲をなえさせることがない。また、メンバー同士の気持ちの齟齬がなく、意思の統一が容易だ。互いの心理状態や体調まで把握し合えるわけだから、歌詞を説明する余計な手間や、気持ちのすれ違いによるムダな衝突もなくなる。また、個性の違った人間が集まることでアイディアも豊富になり、ひとりで作るよりも楽曲の幅が広がることも大きいだろう。

 実際にGoose houseのメンバーは、全員で話し合いながら楽曲を制作している。当初は戸惑いもあったそうだが、「時間を守る」や「人のものを食べない」など、ごく基本的な共同生活のルールを決めることから始まり、お互いの良さを認め切磋琢磨し、メンバーシップを深めながら少しずつやり方を学びユニットとして成長していった。Goose houseの音楽には、人の温もりや優しさなど、“あたたかいもの”が感じられるのは、きっとコミュニティの中で育まれる相手への思いやりや気づかいが、活かされているからだろう。ネットにおける、顔と顔を合わさない文字のみのコミュニケーションによる軋轢(あつれき)が日々ニュースになる世の中。今求められるコミュニケーションのひとつのあり方が、Goose houseの音楽にはある。

(文:榑林史章)
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