• ホーム
  • 音楽
  • 最近よく聞く“2.5次元”、その定義とは?

最近よく聞く“2.5次元”、その定義とは?

 SEKAI NO OWARIの楽曲にちなんだ「ドラゲナイ」を筆頭に、「オワコン」、「激おこぷんぷん丸」など、ネット発で様々な言葉が生まれ、その認知は一般にも浸透。ユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされる言葉も少なくない。ここ1年ほど、ネットなどを中心に頻繁に目にする「2.5次元」という言葉がある。ネットユーザーの間では、日常的に使用される言葉ではあるが、「2次元でもなく3次元でもない“2.5次元”? よくわからない……」という人も多いのではないだろうか? 最近流行りの『ラブライブ!』なども「2.5次元」と言われるが、その定義とはいったいどういったものなのか?

【特集】今さら聞けない『ラブライブ!』入門

“3次元よりの2.5次元”と“2次元よりの2.5次元”が存在する

  • ミュージカル『テニスの王子様 青学VS立海』の公開リハーサルを行った(左から)神永圭佑、小笠原健、小越勇輝、和田琢磨 [2012年7月13日撮影](C)ORICON DD inc.

    ミュージカル『テニスの王子様 青学VS立海』の公開リハーサルを行った(左から)神永圭佑、小笠原健、小越勇輝、和田琢磨 [2012年7月13日撮影](C)ORICON DD inc.

 2次元とは一般的に「平面の広がり」を指し、マンガ・アニメ・ゲームの世界などがこれに含まれる。一方、3次元とは2次元に「立体的要素」が加わることで生み出される空間を意味する。近年だと「3D」という表現で用いられることも多い。では「2.5次元」とは? 読んで字のごとく、2次元と3次元の間にある世界。2次元でもなく3次元でもない。平面でもなく、立体でもない……わかるような、わからないような。もともとはネットユーザーの間で広がっていった言葉で、「イラスト・アニメ風2次元の世界と実際の人間・実写による3次元の世界の、何らかの狭間を指す単語。2次元的なイメージの3次元への投影か、またはイメージ自体の錯覚的・部分的な3次元化に適用される。ただし、一般には人物または人格が存在するイメージにしか適用されない」(「ニコニコ大百科」より引用)とある。すなわち、マンガやアニメなどの世界を人間が演じることで形成される空間を指すことが多いようだ。そういった意味でまず浮かぶのは、アニメなどの「2次元」のイメージを声で割り当てる声優だ。「2次元」と「3次元」ともに存在する彼らは、「2.5次元」の代表的な存在なのだろう。

 では、「3次元寄りの2.5次元」で考えてみると、今年3rdシーズンがスタートするミュージカル『テニスの王子様』が代表的な例なのだろう。通称「テニミュ」として人気を博しているが、誰もが知るように、このミュージカルの元となっているのは、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されていたマンガ『テニスの王子様』だ(現在続編が『ジャンプSQ.』で連載中)。3rdシーズンとはいうものの、初演は2003年4月。10年以上の歴史を持ち、城田優や斎藤工といった実力派俳優を送り出すなど、「若手俳優の登竜門」として注目を集めてきた。

 「テニミュ」の初演から遡ることさらに10年。1993年8月に初演が行われたのが、ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』(通称セラミュー)である。こちらはテレビアニメ『美少女戦士セーラームーンR』(テレビ朝日系)の放送中に「外伝」というポジションで開幕したプロジェクトだったが、舞台設定を変えながら2005年まで続くロングランを記録した。2013年の復活後も人気は衰えず、この1月には初の海外公演が上海で催された。

元祖“2.5次元”ミュージカルは“宝塚”! その歴史は意外に古い

 ミュージカルではないが、舞台『弱虫ペダル』(原作は、『週刊少年チャンピオン』に連載中のマンガ)も12年の初演以降、次々と新エピソードが上演される人気演目となっている。このほかにも『黒執事』がミュージカル化されたり、同じくミュージカルとして今夏『DEATH NOTE』が韓国進出を果たすなど、主にミュージカルを中心に「2.5次元」の世界が拡散していっている。昨年3月には2.5次元ミュージカル協会が設立、今年3月には渋谷・アイアシアタートーキョーが2.5次元ミュージカル専用劇場として新たな一歩を踏み出すなど、国内はもちろん世界へ向けて「2.5次元」を大きく打ち出していく準備が着々と進んでいる。

 このように書くと、この「2.5次元」的な動きは極めて近年、平成に入ってからのことのように思えるが、もちろんそんなことはない。現在も上演され続けているのでおそらく誰もの記憶に深く根ざしているだろうが、宝塚歌劇団による『ベルサイユのばら』は2.5次元ミュージカルの先駆者的存在と言っていいだろう。1974年の初演から40年以上、500万人超の動員を誇り、現在宝塚OGとして芸能界で確固たるポジションを築いている錚々たる顔触れがこの舞台に立ってきた。まさに、日本が世界に誇る一大ミュージカルこそ、元祖「2.5次元ミュージカル」なのだ。

 では、このところ続々封切られているコミック原作の実写化映画も「2.5次元」なの? という疑問も出てくるだろう。概念的には適合しているともいえるが、“実写化”という時点で、再び「2次元」化されているため、個人的には「2.5次元」とは言い難いようにも思う(先に引用した「ニコニコ大百科」の見解とは異なってくるが)。とはいえ、この例を「2.5次元」に加えるとなると、その数や歴史もまた大きく広がってくる。古くは、『赤胴鈴之助』や『月光仮面』といった人気マンガの実写化が行われており、あの『サザエさん』も時代時代に俳優によって演じられてきた実績がある。もはや、「2.5次元」の世界は限りなく広いとさえ言えよう。

近年は“2.5次元”を取り巻く環境に変化も

 観客が“生身”の演者を観ることを捉えて「2.5次元」の条件とするなら、形式こそ全く異質ではあるものの、1981年に新日本プロレスのリングに登場したタイガーマスクもまた「2.5次元」を体現させた存在と言えるだろう。『電撃G’s magazine』をはじめ様々なメディアをミックスして展開されているプロジェクト『ラブライブ!』に登場するスクール・アイドルグループ「μ’s」の声優陣によるライブイベントもまた進化した「2.5次元」として受け止めていい。

 とはいえ、上記の例は、観客が“生身”の演者を観ることを捉えて「2.5次元」とした、いわば「3次元寄りの2.5次元」ということになる。ならば、当然その逆も存在するわけで、アニメやゲームの2次元キャラクターを3次元化するフィギュア、ポリゴンなどの3DCG技術とモーフィングを用いて本来「2次元」のものを「3次元」に映し出した「初音ミク」のようなケースや着ぐるみ(ドーラー)系のコスプレなどは「2次元寄りの2.5次元」というカテゴリーで捉えることも可能だ。3Dプリンターの普及やデジタル処理が容易になった現代においては、あらゆる場所に「2.5次元」が転がっていると言ってもいいだろう。

 2月10日、11日に東京・国立代々木第一体育館でライブを行ったでんぱ組.incのリーダー・相沢梨紗は、自身のキャッチフレーズを「2.5次元伝説」と謳っている。さらに、同じく2月18日には、「2.5次元ダンスチーム」を名乗るアルスマグナというユニットもデビューするなど、「2.5次元」を取り巻く環境はめまぐるしい変化と進化を遂げている。言葉の響きこそ目新しく面白いが、その歴史は70年代から脈々と受け継がれてきている、日本ならではの「伝統」に満ちあふれたものだ。宝塚から続く2.5次元は、一過性のものではなく、これからも継続していく。

(文:田井裕規)
タグ

オリコンニュース公式SNS

Facebook、Twitterからもオリコンニュースの最新情報を受け取ることができます!