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USAGI『脱サラ・ストリートシンガー&売れっ子作曲家!異色の2人に迫る』

ストリートシンガーと売れっ子作曲家、直観派と分析派、自由人と超多忙人……と、すべてが違う上田和寛・杉山勝彦によるバンド・USAGIがデビューしたのは今年の1月。2人がいつ、どこで出会い、どのように結びついたのか。そのドラマチックなUSAGIストーリーをじっくりインタビュー。さらに新曲「ここから」に込めた想いを通して彼らが音楽に託したかったこと、辿り着きたい場所についても語ってもらった。

売れっ子作曲家とストリートシンガー、異色の2人が出会ったのは……

 USAGIは異色な男性バンドだ。上田和寛は地元大阪を中心に活動していたストリートシンガー、一方の杉山勝彦は数々のヒット曲を生み出してきた売れっ子作曲家。それぞれ独自の世界観を持った2人がなぜあえてユニットを組んだのか。そのいきさつと、それまでの歩みを聞いてみた。
「僕は20代の頃はサラリーマンをやりながらバンドをやっていまして。それが活動休止になり、そこで初めて音楽1本でやっていこうってことで仕事をやめてソロから改めてスタートしたんです。そのときすでに30歳だったので遅い決断ではあるけど、好きなことを本気でやるためには今しかないなと。周りからは大反対されたけど、失敗したらどうしようとか、年齢のことは全然気にしなかった。そこを考えたら何もできないし、楽しくないでしょ?」(上田)

 そんな天衣無縫な上田の歌声を杉山が新宿の雑踏の中で初めて聴いたのは3年前。そのとき杉山は作曲家として成功しながらも、アーティストになる道を探っている最中だった。
「作曲家をやってはいたけど僕が10代の頃から憧れていたのは、作家ではなくアーティストで。“いつか見てろよ”って気持ちでオリジナル曲を書き溜めていたんです。そんなときにたまたま歩いてた新宿の路上で上田君の歌声が聴こえてきて。歌のうまさはもちろん、感動しながら歌っていた姿にすごく惹かれて、とりあえず名刺を渡したんですよ」(杉山)

 そして後日渡したデモ曲こそ、デビュー曲の「イマジン」。この1曲がまったく別の道を歩んできた2人を結びつけた。
「それまで人の曲を歌うことに抵抗があって、カバーすらイヤだったんだけど、『イマジン』を聴いた瞬間、すごいビジョンが見えたというか。音楽へのハンパない情熱を感じたし、これを歌ったときに誰が書いた曲だろうと関係ない。本当にいいと思う曲を自分は届けたいって考え方がガラッと変わったんです。で、その可能性を生み出してくれるのは杉山勝彦しかいない、一緒にやればすごく大きな夢が見られると直感で感じて、何が何でも落とそうって強引に説得したっていう(笑)。杉(山)君は壮絶な葛藤があったみたいですけどね」(上田)
「その時点では僕は自分の曲を上田君に歌ってもらいたいと思っていただけだし、(作曲の)仕事も忙しかったし…。そもそも、それまで自力でやってきたいい年の2人が、突然一緒にやるなんてビビるでしょ? フツーは(笑)」(杉山)

 そんな“ビビる”杉山を決断させたのはその歌声同様、直球で打ち込んでくる上田の情熱。そして、2人で音楽をやる“ワクワク感”だったという。
「当時、そのまま作家を続けて成功する道と、上田君の誘いを受けて挑戦する道と、2つの道があったわけですよ。で、音楽に目覚めた中高生の頃の僕がどっちを支持するかなって思ったら、後者だろうなと。男の子がボロボロの地図を持って宝探しに出るみたいな、そんなワクワク感が決め手になった気がします。あと上田君は音楽で人と繋がりたいタイプだけど、僕は分析タイプというか。元々大好きなアーティストがライブで死ぬぐらいの剣幕で歌っているのを見て、その渇きや衝動って何だろう?それを知るために自分も同じ場所に行きたいって思ったのが音楽を始めるきっかけで。上田君とならそこに近づける気がしたんですよね」(杉山)

目標は武道館ライブ!いい曲を生み出し届けていきたい

 直感タイプと分析タイプ。音楽をやる動機も環境も違う2人を最終的に繋いだのは“2人なら夢を叶えられる”というシンプルで根源的な欲求。ちなみにバンド結成が決まる前の2月14日、スタジオで作業する杉山のところへ上田がチョコを“差し入れ”たのも決め手のひとつになったとか。
「ちょっと気持ち悪いけど(笑)、そうやって人を喜ばせようとする気持ちや、それを本能でやっちゃうところが上田君の良さ。そこも一緒にやりたいってワクワクしたんです。ただ、そんな彼も上京した頃はかなりつらかったみたいで」(杉山)
「僕はそれまで大阪の地元・枚方が世界の中心だと思っていたので(笑)、東京は異国ぐらい遠い場所だったんです。だから上京して一カ月は東京の波にのまれそうでナイーブになっていて。そのときに書いたのが『ここから』なんですよ」(上田)

 3rdシングル「ここから」は都会の雑踏のなかで、ひとり“自分”だけが立ち止まり途方にくれる。そんな既視感を呼び覚ます曲。
そこには上田自身が感じた焦燥感と、さらにそれを客観的に見つめる温かなまなざしがある。
「僕、空を見るのが好きなんだけど、上京してから全然見てなくて。危ない危ないって思ったときに、この曲で力を抜くことの大切さを歌いたくなったんです」(上田)
「僕はこの曲の<忙しくしないで>って言葉がすごく新鮮に聴こえた。世の中的に“忙しくがんばることがいい”っていう流れがある中でそこを訴えるのは新しいし、僕には思いつかない。いい意味で普遍的であり、自然な曲だと思いましたね」(杉山)

 そんな2人の言葉を聞くと、あ・うんの呼吸で互いの音楽性が一致しているように聞こえるが、バンドをやっていく上で必要な地固めは今もやっており「真剣にぶつかることもよくある」という。
「僕らは“自分たちは何者なのか”っていう、コアな部分を確立する前にデビューしてしまったし、やっぱり“作曲家”と“アーティスト”って違う部分があるんですよ。だから今はその壁を超えることと、本来デビュー前にやる地固めを必死にやっている状態」(杉山)
「そのためにはケンカしても正直に言いあって修正していくしかない。でもそれがこの2人の面白さだし、USAGIをやる楽しさなんですよね」(上田)

 ちなみにバンド名USAGIは“月のウサギのように地球全体を見守り、心に響く音楽を届けていける存在になりたい”という想いからつけられたもの。
「ただ歌うのではなく、本当に届ける気持ちで歌わないと人は聴いてくれない。それはストリートで学んだことで、どれだけうまく歌っても気持ちがこもっていないと届かないんですね。そういう意味では僕らはスケールの大きい“月のウサギ”にはまだまだ届いてないけど、いつかそこに辿り着きたいなと」(上田)
「そのために結成したときから決めている目標は日本武道館ライブ。そこに行き着けるよう、いい曲を生み出し届けていきたいですね」(杉山)

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