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家入レオ『“純情”という言葉に込められた未来への決意とは?』

今年12月に20歳を迎える家入レオ。10代最後の夏に届けられた7thシングル「純情」(7月30日発売)には、子どもから大人へと変わっていく不安、葛藤、決意といった様々な想いが込められている。17歳の時にメジャーデビューしてから約2年半、家入の変化とは?

自分の中の“真っ白”を守るための決意の歌

――「純情」ってインパクトのあるタイトルですね。すごく潔い。
家入レオ今はあまり使われない言葉ですよね。「あなた、純情だよね」とかあまり言わないですし。でも純文学を読むのが好きなので、私的には自然な言葉で。歌詞がつく前にこの曲のデモ音源をデタラメにラララとかで歌詞を乗せてレコーディングしたとき、気付いたら“純情”って歌っていたんですよ。無意識に出てきた言葉ってそのときの自分が一番歌うべきことだったりするので、そのまま純情をテーマに歌詞を書こうと思ったんです。

――タイトルありきの作詞だったわけですね。
家入でもいざ書こうと思ったとき、「純情」を漠然と捉えてしまうと絶対につまずくなと。特に物語の核心に迫る2コーラス目の最初の部分はすごく難しくて、“純情って何だろう?”って改めて深く考えたんです。それで思ったのは、子どもは意識しなくても真っ白なまま純粋でいられるけど、ある日を境に意識しないとそれを失くしてしまう。ピュアでいるためには葛藤する必要があって、「純粋」は無意識な状態、「純情」はその真逆の“真っ黒”を知った上でつかみ取る「大人寄り」の言葉だなと思ったんです。だからこの曲は、“真っ白”を守るために日々葛藤する、私自身の決意の歌なんですよ。

――まさに“純情宣言”ですね。その核心部分が2コーラス目冒頭の<限界点を超えたくて 孤独と手を結んだ 友情の意味知りたくて 僕の痛みさらした>だと。ここは聴いた瞬間、鮮烈に入ってきました。
家入『ゼバスチアンからの電話』という好きな小説があって、これは主人公が大好きなバイオリンのために愛する女性と別れるっていう話なんですけど、その選択が自分にすごくしっくりきたんです。やっぱり見たい景色をちゃんと見るためには、ひとつに絞るしかないっていうか…。

――<孤独と手を結ぶ>必要があると。
家入そう。私も音楽に集中すると他のことができない性格なので、高校生活とかいろんなものを急いで置いてきちゃったんですね。“家入レオ”としてはそれで良かったけど、もう1人の自分はそうやって人生を削ってきて、果たして幸せなんだろうか? って考えるときもあるんです。その気持ちが<友情の意味〜>ってとこに繋がるんだけど、私のなかでは孤独の痛みや弱さをさらけ出し、それを受け入れてもらったときに初めて人との関係が成立すると思うんです。逆にそこを受け入れてもらえないと、他者と深く繋がることはできない。そういう意味で音楽は自分の弱みでもあるんだけど、それでも私は音楽が一番。そこを貫いて生きていきますっていう想い=「純情」をこの2行で言いたかったんですね。


――歌うときにこだわったことは?
家入この曲は自分の歌の中で一番リズムが早いんです。でもそれに乗ってリズムをジャストで取ると、すごくセカセカした感じになっちゃうから、髪の毛1本分、後ろでリズムを刻むように意識しています。

――髪の毛1本分! すごく細かいですね。
家入それ以上ずらすと単にリズムが合っていない歌になっちゃうんです。でも髪の毛1本分ずらせばノリが生まれて、ビート感もしっかり出せる。同時に余裕も生まれるので、静かな決意をしている歌詞の世界観もちゃんと伝えられるかなって。

昔からカッコ悪い部分を人に見せることが苦手

――ガツガツ前のめりではなく、どっしり構えた“揺るがない意志”を感じさせたかったということですね。
家入前はあえてガツガツ出すようにしていたんですけどね。高校生でデビューしてものすごい早さでここまできちゃったから、得体の知れない何かに巻き込まれるのが怖くて、「変わりたくない!」って焦りを常に外に発信していたというか。だから、歌以外でも自分を大きく見せるために誰かと言い争ったり、摩擦を起こすことが自分らしさだと思いこもうとしていた部分があるんです。でも、3rdツアーで純粋に私の音楽を求めてくれるファンの皆さんの笑顔や涙を見たときに、そんな自分がすごく恥ずかしくなったんです。決意とか宣言ってムリに外へ出すものではなく、もっと静かで厳しくて優しいものなんだなって。それに、日々生きていくなかで変化は当たり前のこと。そのなかで絶対変らないもの――「純情」な気持ちを持っていればいい。人間関係がうまくいかないこともあるけど、苦しくてもキツくても、純情な気持ちを持っていたいと自分に課題を課す意味もこの曲にはあるんですよ。

――その“純情”を守るために日々心がけてることはありますか?
家入なんだろ、ゴミが落ちていたら絶対拾うとか(笑)。あと今まではメッセージをダイレクトに書くことが多かったけど、それだと聴いてくれる方の地層の一番下までは届かないこともあると気づきました。だから「ガンバレ!」って言葉で伝えるんじゃなく、頑張っている自分を見せることで、何か感じてもらえたらって思うんです。カッコつけず、生きざまをひとつひとつさらけ出すことが大事だなって。私、弱さを見せることにはまったく抵抗がないんですけど、カッコ悪いとこを見せるのが昔からすごく苦手なんですよ。最近はちょっとずつそれが取れてきたんですけど。

――カッコ悪い=恥ずかしい自分を見せたくないっていう感情は、老若男女誰でも持っていると思いますよ。
家入いや、私は恥のボルテージが人一倍大きくて、最近やっと人並みになりました。おかげでちょっと気が楽になったけど、そのぶん精神年齢は下がった気がします。例えばデビューした頃は初対面の相手でも、その人の中に“家入レオ”ってイメージが育っていると、そこを崩したくないっていう気持ちがあったんです。だから、そのイメージに無理に合わせて頑張ってたんですね。でもそれで自分を見失ってしまったら、本末転倒じゃないですか。だったらイメージと多少違ってもいいのかなって開き直って。そういうとこはある意味、幼くなったかもって思います。

――よりナチュラルになったってことですね。
家入そうかもしれない。でもまだまだカッコつけてしまう自分がいるので、そこをどうさらけ出していくか。その挑戦は続きますね。
(文・若松正子)

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