誰が名づけたか イゾルデと
冬のミュートでサキソフォン
むせび泣く聖夜に踊る二人
どちらが告げたか イゾルデと

誰が名付けたか 自由の人魚
春の宮廷のヴァージナル
奏でる調べは 海の百合
イゾルデの愛は海の地へ

あの木造のアパートの
埃っぽい陽だまりの匂いが懐かしい
あの部屋だった
そんなアールデコの
インテリアディテールを見た夜の
不安な夢のワンシーンだった
僕は緑色の航空服を来ていて
君は桃色のドレス
そこだけが妙に直接的で、
大理石の上に大きな丸鏡の中に
お化粧する君の肌がやけに大きく映っていた

カルデラ湖を抜け
赤に白い横線2本の
ケーブルカーを横目に眺め
ドライヴインを過ぎ去った
スケートリンクも貸ボートもなかった
桃色や黄色の湖畔旅行
ヒュッテヴァイオレットファウンテンは、
やがて見えてきて、扉を開く時、
その匂いも埃にまみれた
デコラ荘のアパートであった
君は紺碧の湖を瞳に映し、
その色が僕の行動を誹謗し、
感傷主義的な逆上をうながした
事件が発生した
湖畔旅行の終りのような
未来観光都市の
あわれな旅行者の
旅の終りのようだった