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【編集長の目っ!】日本発、ニコニコ動画という新しい“文化”

■クオリティが高いシンガー、ダンサー、ミュージシャン。

 5月22日に台湾・台北で行なわれた『ニコニコ動画大会議in台湾』を観て来た。『ニコニコ動画大会議』とはニコ動のHPによると「ニコニコ動画のサービス&新機能の紹介に加え、ニコニコ動画で活躍するユーザーが一堂に会し、歌や演奏、ダンスやパフォーマンスを披露するニコニコ動画ユーザーの為の一大ライブイベント」だ。過去3年間にC.C.Lemonホール、JCBホール(現TOKYO DOME CITY HALL)やshibuya-AXで開催し、大盛況だった。そしてこのイベントの最終回を、ニコ動のID登録者が約26万人(韓国・アメリカ8万、香港7万、中国5万)もいる、“ニコ動大国”台湾で行うことになり、これは観なければと思い・・・。ちなみに国内での“大会議”には一度も参加したことがないから、何もわからずその雰囲気をとにかく肌で感じてみようと・・・そう思って参加を決めた。

『ニコニコ動画大会議in台湾』の模様 

『ニコニコ動画大会議in台湾』の模様 

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 会場はLegacy台北というキャパは約1,000人規模のライブハウス。なんでも日本円で約5,800円するチケットは、発売1分でソールドアウトしたんだとか。台湾の物価を考えれば、高額だと思うけど、それが即完とは・・・。しかもライブをやる人気ユーザー(動画投稿者)が空港に到着した際は、50人を超えるファンが出迎えたという。会場にも長蛇の列ができ、手作りの団扇やグッズを手に持った人が目立った。そのほとんどが若い女性で、コスプレをしている人も多く、最前列のファンは、なんと1週間前から並んでいるそうだ。8人ほどのグループで毎日2〜3人で交代しながら1週間並んだとか。そのグループの中の何人かはGLAYの台湾公演にも行ったと言っていて、でもこのニコ動ユーザーのライブにも1週間も並び、アーティストも、そうではない“普通の”人気ユーザーのライブも関係なく楽しみに来ている。

 台湾の人たちの日本贔屓は有名だ。日本発のファッションや音楽、ゲームTVドラマ、電化製品などなど、その文化自体に憧れ、自分の生活に取り入れる人のことを“哈日族”と呼ぶほどだ。先日の東日本大震災の際には、台湾でチャリティ番組が放送され、募金を呼びかけたところ、番組終了までになんと21億円もの募金が、台湾全土から集まったという。そういう親日派という国民性もあると思うが、それにしても今回のイベントへの熱狂ぶりは、予想を遥かに超えていた。

 イベントは2部制になっていて、1部の新サービスの説明はニワンゴ社長杉本誠司氏が登場し、六本木ベルファーレ跡地に「ニコファーレ」という新施設を建設することが発表された。ライブ形式の生放送を中心に、様々なイベントをネット中継し、ホール内は壁面4面と天井にLEDモニターが設置され、来場者を360度囲むように、ニコ動の特長であるユーザーコメントが流れる。これにより、来場者・ネット視聴者・出演者の相互コミュニケーションにより、リアルとネットで感動を共有できるという、画期的なライブハウスになる。そのほか様々な新サービスの発表の後、いよいよ第2部、ライブのスタートだ。

 出演者が登場するたび、楽曲のイントロが流れるたびに大歓声が響き渡り、人気アイドルのライブかと思ってしまうほどだ。大合唱も起こり、MCのやまだひさし氏が、客席に向け「日本語がわかる人〜」と呼びかけるとお客さんほぼ全員が手を挙げていた。

 登場するユーザー(歌い手)の歌の上手さ、曲のクオリティの高さにもビックリした。特に人気が高いユーザー、ダンサー、そしてバンドが集結しただけあって、素晴らしいパフォーマンスの数々。特に感心したのが、バンドの上手さ。大会議ではおなじみの2つの人気バンド『[Mint]』と『王族BAND』が合体し、『王族ミント』というバンドを結成し、ハコバンとして台湾ライブに臨んだ。一人ひとりのミュージシャンがあまりに上手くて、歌い手だけではなくミュージシャンにも見入って、聴き入ってしまった。

 日本のモノを海外に持って行って展開する場合は、ある程度ローカライズすることが必要だが、台湾のユーザーは日本のニコニコ動画をそのまま受け入れているから全くその必要がなく、オリジナルのままを見せることができる。日本の“新しい文化”が完全に根付いているという感じがした。

 それとライブを観て感じたのは、シンガーがストリートでライブをするのと、ニコ動上に投稿するのとでは、場が違うだけで、ノリは同じなんだということ。そしてどちらもお客さんの反応がすぐにわかるという点でも似ている。またニコ動アーティストにはユーザーが“自分が応援し、育てている感覚”を感じているのだと思う。投稿した動画に視聴者からのコメントが寄せられ、それを参考に改良→ブラッシュアップし、何よりコメントをもらう事によって、投稿者のモチベーションもあがる。これは例えばAKB48ぱすぽ☆といった、ファンがプロデュースや育成に参加している感覚になるのと同じだと思う。

 こんなレベルが高い“スター予備軍”が揃っているこのニコ動が、新しい新人発掘の場として、メジャーレコード会社が注目しているのもうなずける。supercellをはじめとしてニコ動出身のアーティストが、ネットからメジャーのフィールドに出てきても、ヒットを飛ばしている。

 ちなみにこのイベントのインターネットでの視聴者数は、台湾で4万人、日本では14万人、コメント数も台湾9千500件、日本74万件と、驚くべき注目度の高さだった。

 最後の最後に、今回の台湾で最後を迎える『ニコニコ大会議』は、新たに『ニコニコ超会議』に生まれ変わるという告知が流れると、客席からひと際大きな歓声が上がった。

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