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じん、ブレイクの背景にセルフプロデュース

 音楽家・小説家としてマルチな活動を行うクリエイター・じん(自然の敵P)の最新小説『カゲロウデイズIII -the children reason-』が、初動14.8万部を売り上げ、文庫部門首位(6/10付)を獲得した。じんは、同日付アルバムランキングでも首位を獲得(『メカクシティレコーズ』初動7.6万枚)しており、アルバムと文庫部門で同週首位獲得となった。

13年6/10付アルバムランキングで首位を獲得したじん(自然の敵P)のアルバム『メカクシティレコーズ』通常盤(MHCL-2281)3045円(税込)5月29日発売

13年6/10付アルバムランキングで首位を獲得したじん(自然の敵P)のアルバム『メカクシティレコーズ』通常盤(MHCL-2281)3045円(税込)5月29日発売

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 じんは、11年からニコニコ動画で動画投稿を始め、12年3月にメディアミックス展開を行う「カゲロウプロジェクト」を発表。同年5月にアルバム・文庫を同時発表すると、ライトノベル好きにもリーチするようになり、10代を中心にファンを拡大。さらにコミック版の連載が始まると、ファンの年齢層が広がり、小学生からも支持を集めるようになった。

「もともとはニコニコ動画で人気を集めたクリエイターでしたが、今では、コミック誌の連載を読んだ方が、小説や音楽のファンになっていくという流れも生んでいます」(ソニー・ミュージックダイレクト ストラテジック企画グループ 企画制作部 課長 プロデューサー 田中康博氏)

 原盤制作とマネジメントを担当する1st PLACE 代表取締役 IA PROJECT プロデューサー 村山久美子氏は「音楽家としても、小説家としても、素晴らしい才能を持ち合わせるクリエイター」と評し、「我々の役割は、彼の生み出すクリエイティブをプロダクトとして最大限にアウトプットすることだった」と話す。また、そのために心がけたのは、担当制ではなくスタッフ全員が制作から宣伝までを横断するマネジメント体制にすることで、「常に総合的な判断ができるよう徹底し、加えて若手組はユーザー視点で、熟練組はエンタメ的な展開を担い、双方をブレンドすること」だったという。

 小説と楽曲の世界観をリンクさせるマルチクリエイターとしての実力はもちろん、23万人のフォロワーを獲得しているTwitterなどで、自らが発信していることも人気を支えていると村山氏は話す。例えば、新曲を発表する時には、必ずTwitterで告知を行っており、それが瞬く間にリツイートされ、新規ファンを巻き込みながら広がっていくという。

「最新アルバムに収録された「ロスタイムメモリー」をニコニコ動画に投稿する時に、告知した時間から数時間遅れてしまうようなトラブルが発生しました。そこで、じんは、待ってくれているファンに向けて、急きょニコニコ生放送を開始し、配信までの間、語り続けました」

 この放送はファンの間で話題となり、当日は9万人が視聴した。また、じんはインターネット上の活動だけでなく、リアルな表現の場としてライブも行っている。音楽・小説執筆・コミック・ライブと、複数のフィールドで、表現活動を行うことで相乗的に、作品に深みが増していくと村山氏は説明する。

 音楽に関しては、2ndアルバムで「カゲロウプロジェクト」は終了となるが、今後、アニメの放送も控えており、同プロジェクトは息の長いものになっていきそうだ。(『ORIGINAL CONFIDENCE』13年6月24日号掲載)

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  • 文庫『カゲロウデイズ』シリーズ売上動向
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