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クリエーターに“直接報酬”を…Ustream新企画に坂本龍一が名乗り

 ミュージシャンの坂本龍一が、動画配信サイト「Ustream」が新たに展開するおひねり機能「Ustreamチップ」(※後述)を利用した無料インターネットライブを8月18日に行うことがわかった。無料視聴した後、視聴者が“お金を払いたい”と思えば電子マネーやクレジットカードでレーベル等を介さず直接アーティストへ入金できる仕組で、これからの音楽産業の見据える上でも注目の試みとなりそうだ。

動画配信サイト「Ustream」で無料インターネットライブを行う坂本龍一

動画配信サイト「Ustream」で無料インターネットライブを行う坂本龍一

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 坂本は数年前よりネットでの無料中継を行っており、時には本番前のステージ設営の様子からリハーサル風景、さらにはライブ終了後の打ち上げ現場まで全て配信したこともあるほど。今回、自らの呼びかけにより、自身のレーベル「commmons(コモンズ)」を共同運営するエイベックス・エンタテインメントと、Ustream Asia、デジタルステージの3社によるプロジェクト「Oh!en(オーエン)」が発足。無料ネットライブの画面上で、ユーザー自身が自由に“おひねり”のように金額を支払えるシステムで、その第1弾として発足者である坂本が自らライブを行う。

 その背景には、違法ダウンロードやCD不況などによる環境の変化でマネタイズが難しくなっている現状がある。エイベックスでは今回の試みを「アーティストの未来、音楽産業の未来、ソーシャルメディアが開く新しい経済、音楽のカタチを模索するための新たな試み」と位置づけており、今後もデビューを目指す新人のライブなどを積極的に展開していくという。

 プロジェクト関係者は「この時代に音楽を聴いてもらう手段が広がってる一方で、アーティストはあすが見えない。AKB人気でアイドルを目指す子は増えているが、実際にミュージシャンや音楽クリエーターを志望する若者が減っている」といい、「才能ある人を引き上げる仕組みが必要。ネットでは何かをプロテクトするよりも有効利用して裾野を広げ、次の才能が世の中に出るきっかけを作りたい」とその意義を唱える。

 実際、今回の企画も「要は路上ライブをやっているミュージシャンの卵にお金をチャリンとあげるあの感覚」(同)と捉えており、視聴者もレーベルや事務所サイドというよりアーティスト自身への対価として“寄付”ができる。坂本自身も公式サイトの動画コメントで同様に呼びかけており、まずは今回の試み『Oh!en project presents“Ryuichi Sakamoto おひねり Live #1 081812”』が注目される。今後は音楽業界だけでなく映像コンテンツなどでも同様の試みが出てきそうだ。

※「Ustreamチップ」
動画を通してプロジェクト立案者(配信者)が視聴者から資金を集めることができるUstream Asiaの新サービス。視聴者はUstreamで無料配信されている映像を見ながら、配信者が別途用意した特典映像を視聴するための支払いをすることで、配信者の活動を支援可能。支払額は、配信者が1口100円から最高100万円まで1円単位で設定することができ、視聴者は1回につき1口から最大200口まで、クレジットカードまたは電子マネーで支払う。視聴者は支払額の大小に関係なく、配信者が別途用意した特典映像をUstreamで視聴可能となる。

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