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flumpool、「大切なものは何か」たどり着いた新曲

 今年も残すことろあとわずか。2011年という年を、日本人は決して忘れないと思う。誰もが今まで経験したことがない大きな恐怖と、そして喪失感に包まれた。言葉としては理解できるし、小さな恐怖や喪失感はこれまでも経験したことはあるかもしれないけれど、まるですべてがリセットされてしまうかのような計り知れない大きさの喪失感には、誰もが言葉を失った。

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 そう、言葉が出てこない、という状況を突きつけられた。

 そんな状況の中で、特に言葉を発信することを生業としている人たちは、ショックのあまり、本当に言葉を失ったのではないだろうか・・・。表現のしようがない現実、表現したくない時間の流れ、でも伝えなければいけない、今の気持ちを残さなければいけない、と立ち上がることができるまでには、時間がかかったはずだ。

 音楽という手段で、人々に気持ちを伝え、いつも、その人たちが少しでも幸せな気持ちになってくれたら、と考えているアーティストもそうだ。食べるものも住む場所すら失った人たちが多い中で、一体音楽って何の役に立つのだろう?歌うことに何の意味があるのだろう?そんな中で音楽を奏でて、歌ってていいのだろうか?そう思ったアーティストが大半だと思う。

 でもそんな、自分たちの役割、自分たちができることという、ある意味根本的な部分を“考える時間”の中に身を置いたからこそ、それまでよりもより深い、伝わる言葉と、本当に心に染みるメロディを創出できるのではないだろうか・・・。

 9月にここで取り上げたflumpoolもそんな1組だと思う。その時は彼らの作品は“伝えたい、そして背中を押したい”という気持ちが1曲1曲にはっきりと表れ、伝わってくると書いた。12月7日発売のニューシングル「Present」は、“伝える”ということはどういうことなのか?ということを、バンドとしてもう一度見つめ直し、そうして出てきた言葉とメロディとサウンド――そう思わせてくれる1枚だ。

 順調に大きくなっている彼らが、12月10日、11日にさいたまスーパーアリーナ2daysという、バンド史上最大規模のライブに臨む。「Present」という曲は、そんなライブのテーマソングのような立ち位置の曲であるとともに、詞を手がけるボーカル・山村隆太が、今年という特別な時間の中で悩み、考え、そして本当に大切なものは何か、ということにたどり着いて書いた1曲なんだと思う。もちろんこれ1曲では収まらない“想い”が溢れているとは思うけれど、色々考えさせられた2011年の最後に、それこそバンドが今まで経験したことがない規模の大きなライブに挑むということで、そこに足を運んでくれた人たちにメッセージをきちんと伝えなければ、という想いで書いた作品なのではないだろうか。

 彼の想いが詰まった言葉と、ポップで切ないメロディーと、高揚感タップリの演奏と、美しくも力強いストリングスの音が、全体を高く、遠くへ拡げてくれているようだ。

 カップリングの「『ありがとう』くらいじゃ伝えきれない気持ちを」も、クリスマスの雰囲気を存分に感じさせてくれるポップなナンバーで、感謝の気持ちと溢れる愛を歌っている。そしてもう1曲、ジョン・レノンの名曲でこの時期の定番「Happy Xmas(War Is Over)」も、感動的に歌い上げている。そういう意味で、この3曲で「Present」、3曲がflumpoolからの“Present”だ。

 この「Present」という曲と、さいたまスーパーアリーナ2daysのライブが、“flumpoolのこのタイミング”では絶対欠かせなかったんだ――来年、再来年、何年後かに、大きくなった彼らを語るときに、きっとそんな話をしている気がする。

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