80年代後半に大人気を博したドラマ『スケバン刑事III　少女忍法帖伝奇』。主人公の風間三姉妹を演じた浅香唯、大西結花、中村由真が勢揃いする『三姉妹コンサート』が、この8月に4年ぶりに開催される。今回はトークショーとファンと直接触れ合うハイタッチ会も行うとのこと。浅香と大西にこのステージに向けた想いや当時のアイドル事情を語ってもらった。

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――『三姉妹コンサート』を4年ぶりに行うことになったのは、どんな経緯からだったんですか？
浅香　本当は前回が「最後だろうね」というつもりだったんです。
大西　由真がアメリカに住んでいて、なかなか集まれないので。
浅香　でも、やったらファンの人たちの反響が大きくて、私たちも楽しすぎて、完全燃焼しつつ「あんなこともやりたかった」と欲も出てきて……。
大西　3人で会うたびに「またやりたいね」と話してました。
浅香　言うだけで、実現するとは思ってなかったんですけど。
大西　由真がいつ日本に来られるか、なかなかわからないし、去年だと唯が舞台をやっていたり、いろいろな兼ね合いで結局「無理、無理」となっちゃう。
浅香　でも、やりたい気持ちは常にあって、今回はうまくタイミングが合ったのかな。ちょっとした奇跡だと思っています。

――4年の間に、3人で会うことはあったわけですね？
大西　1年に1回は必ず会ってました。
浅香　由真が帰ってくると、みんなで会います。

――1年ぶりで会うと、どんな話になるんですか？
大西　特に何も(笑)。1年くらいだと変わらないし、LINEもしてるし。
浅香　元気が確認できれば、まあいっか……という(笑)。

――『スケバン刑事III』が放送されたのは1986年からでした。もう33年前になりますが、初めて3人で会ったときのことは覚えてますか？
浅香　覚えてます。東映で、由真が可愛い麦わら帽子をかぶってました。
大西　コットンか何かの白いワンピースを着て、フリルが付いていて。あれは可愛かったね。
浅香　か弱い印象だった。
大西　目もほとんど上げないで、「あっ、はい……。よろしくお願いします」って感じで。
浅香　その後とのギャップがすごかった(笑)。
大西　唯はインタビューで「こんなおとなしい子がスケバン役をできるのかと思った」と言ってたよね。
浅香　私と結花はもうデビューしていて、由真は私たちが相当怖かったらしいです(笑)。
大西　しかも2人は同期だったから、由真は「絶対いじめられる」と思っていたそうです(笑)。でも撮影が始まったら、すごい変わりようでした。

――唯さんと結花さんの初対面はどんな感じだったんですか？
浅香　何人かいる中で、ヌルッと会っていたからね。
大西　あの頃はデビュー同期がたくさんいて、テレビ番組や地方のイベントでワッと一緒になる仕事が多かったんですよ。だから何度となく顔を合わせていて、いつ初対面だったかは忘れましたけど、唯は元気で可愛かったのはよく覚えてる(笑)。
浅香　やめて(笑)。
大西　よく（片岡）鶴太郎さんの番組で一緒になって、たくさんアイドルがいる中で、なぜかイジられるのが私か唯ということが多かったんですよ(笑)。よくムチャブリとかされてました。
浅香　イジっていいアイドルという感じで。結花は映画の『台風クラブ』が衝撃的だったので、アイドルとしては同期でも立ち位置が違う女優さんとして、一目置かれてました。
大西　知らなかった。確かに女優デビューが先でしたけど。

――『スケバン刑事III』の撮影は週4くらいでしたっけ？
大西　週4どころではないです。
浅香　週8くらいありました(笑)。

――そんな中で歌手活動もして、学校にも通っていたんですよね。
浅香　私はお仕事をやりながらでも夜だったら……と夜間の学校に通っていたんですけど、『スケバン刑事III』は忍者のお話だから夜のシーンが必要で、全然学校に行けませんでした(笑)。
大西　2時間くらい学校に行って撮影に来たりで、みんな代わる代わる倒れてました(笑)。風邪とかで体調を崩して病院に連れて行かれて、点滴を打ったり。
浅香　撮影の順番を入れ替えてもらって、自分が出ないシーンを先に撮ってもらったりしてました。

――当時のアイドルは歌も演技もやるのが普通でしたが、お2人はもともと何をやりたかったんですか？
浅香　私は歌手でデビューして、とにかく訛っていたので(笑)、ドラマのオーディションは全部落とされてました。月曜ドラマランドの『一休さん』で初めて出たときも、声だけの録り直しをたくさんしたんです。だから女優は縁遠いものだと思っていたら、『スケバン刑事』で初めて「その訛りがいい」と言ってもらえました。
大西　唯の訛りが抜けないから、それを設定にしてもらったんだよね。
浅香　そう。実際の私の地元と同じ九州の宮崎から出てくるところから始まりました。
大西　私はもともと松田聖子さんに憧れて、フリフリの衣装を着たアイドルになりかったんですけど、お芝居にも興味はあって、ドラマデビューが先になっても楽しかったです。でも2年目に歌でデビューしたときは、やっぱり「アイドルになれた」ってうれしかったです。

――今のアイドルを見ていて、当時との違いは感じますか？
浅香　私たちの時代のアイドルは見えてるようで本当のところが見えなくて、ファンの人たちが想像する部分がたくさんありましたけど、今は100％知ってもらう感じで、その違いは大きいと思います。私たちはある程度、作ってもらっていたところもあったし。
大西　それが良いか悪いかは別にして。
浅香　そこに乗っかって“THEアイドル”を演じる面白さもありました。「夜は何を着て寝てますか？」と聞かれて「ヒ・ミ・ツ」で通っていたんですよ(笑)。今だったら怒られますよね。
大西　唯は珍しかったんです。「好きな食べ物は？」と聞かれたら、みんな「イチゴです」とか答えていたのに、「タン塩」と言ってましたから(笑)。
浅香　タン塩は事務所の人に止められて、「チョコレートパフェ」と言うようにしましたけど、途中であまり好きでないことに気づきました(笑)。
大西　今はみんな普通に「焼肉が大好き」とか言ってますけど。
浅香　昔はアイドルはお休みの日はケーキ作りをしたり、小物集めが趣味だったりするのが理想だったのかな？

――恋愛に関しては、当時のアイドルも厳しかったですか？
大西　今以上だと思います。「恋愛は絶対に禁止」と言われましたから。友だちの彼氏でも一緒の場にいたらダメという。
浅香　へーっ。私は何も言われなかったけど、自分で勝手に「ダメなんだろうな」と頑なに思っていたから、ちょっとでも声を掛けられたらバーッと逃げました(笑)。でも、恋愛は『スケバン刑事』をやっていたら、まず無理。
大西　だって、寝る時間すらないから(笑)。
浅香　好きな人もいませんでした。

――でも、声を掛けられることはあったと。
浅香　うん。まあ……。
大西　私はなかった。
浅香　ウソだよ〜(笑)。気づかなかっただけじゃない？
大西　本当に1回もなかった。電話番号の交換とか「みんな、どこでやってたの？」と思ってます。

――よく歌番組のひな壇で……とか聞きます。
大西　そうですね。私の背中で、みんなヒュンヒュンやり合っていたのかな(笑)？
浅香　「私じゃなくて、あっち？」みたいな渡し役をやらされたことはあります(笑)。
大西　私はそれすらなかった。

――今回の『三姉妹コンサート』の2日目のトークショーでは、ファンの方との触れ合いもあるそうですね。
浅香　イマドキな感じで(笑)、ハイタッチ会をします。
大西　ファンの方とお会いするのも久しぶりだし、そんな近くまで来てもらえるのはすごく楽しみ。
浅香　トークショーも、私たちは言ったらいけないことを平気で言っちゃうほうなので(笑)、止められない限りは話します。
大西　『スケバン刑事』の話をメインに。
浅香　いちおう言っていいことを話しますけど、その場限りだから何でもアリかな(笑)。

――コンサートではまたセーラー服を着るんですか？
大西　前回も私たちは着るつもりはまったくなかったのを、「着ないんですか？」とすごく言われたから着てみたんですけど、散々な書かれ方をしました(笑)。
浅香　ハハハ(笑)。一夜限りの思い出ですから。
大西　来てくれた人が楽しんでくれればいいんです。
浅香　半分懐かしんでもらって、半分笑ってもらえたら(笑)。
大西　ネタなので。でも今回はまだ、そこら辺も何も決まってません。
浅香　ひと悶着ありそうだよね(笑)。

（取材・文／斉藤貴志）

『唯・結花・由真 三姉妹コンサート〜Remember2019〜』は8月10日、11日に東京・ニューピアホールで開催。チケットは5月26日から一般発売される。

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