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「ニコ超」で『テクノ法要』が話題 固定概念を覆す“フリースタイル”な僧侶

 28日と29日の2日間に渡り、“みんなで作る日本最大級の文化祭”をテーマにした『ニコニコ超会議2018(以下、ニコ超)』が幕張メッセで開催された。ニコニコ動画の人気コンテンツ、歌ってみた、踊ってみた、演奏してみた、ゲーム実況などの他、今年は、テクノ音楽を仏教に掛け合わせて生まれた『テクノ法要』が披露され話題に。会場で『テクノ法要』を実演した浄土真宗の僧侶・朝倉行宣さんに話を聞いた。

「ニコ超」で『テクノ法要』を実演した浄土真宗の僧侶・朝倉行宣さん(C)oricon ME inc.

「ニコ超」で『テクノ法要』を実演した浄土真宗の僧侶・朝倉行宣さん(C)oricon ME inc.

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■総本山・本願寺のメディアに『テクノ法要』が取材され、晴れて“公認”に!?

 そもそも『テクノ法要』とは、“若者のお寺離れ”を食い止めるべく、福井県にある照恩寺の住職が生み出した新しい法要スタイル。具体的には、お寺の本堂にテクノ音楽を流し、極彩色の光や映像を、会場内の仏像やスクリーンに投影させたもの。このように、照恩寺の宗派である浄土真宗の世界観をプロジェクションマッピングと融合させたところ、お寺とは縁の薄い若者たちはもちろん、高齢者にも受けいられるようになったようだ。

 朝倉さんは日頃から、仏教と若い人が接する機会が減っていることに危機感を抱いていたという。そこで目を付けたのが、話題になりつつあった『テクノ法要』。自身も音楽が好きで、ポップス、テクノ、民族音楽までなんでも聞くタイプだったため、すぐにチャレンジしたそう。

 そして、朝倉さんは2016年に『テクノ法要』をはじめることになる。ちなみに、こうした取り組みを行う際、浄土真宗の許可は必要なのかと聞くと、「必要ない」とのこと。とはいえ、歴史のある宗派。保守的な人もいるのでは? との問いには、「それが意外と大丈夫だった」と笑う朝倉さん。むしろ、総本山である「本願寺」のメディアが取材に来たりもするそう。「あ、これで公認だなと思った」と率直な気持ちを話してくれた。

■仏教界で増加する“フリースタイル僧侶”とは?「それぞれのお寺が“メディア”になる」

 自身を律して修業をする、ちょっとお堅いイメージが強い仏教界。ところが今、僧侶たちによる“フリースタイル”の輪が広がっている。「『テクノ法要』はそのひとつでしかない」と朝倉さんは説明する。

 実際、他のお寺でどんなイベントがあるかというと、「アラサー僧侶とゆるーく話す会」、「仏教版讃美歌を唄って学んでみよう」、「ジャズと仏教音楽のコラボ」などと、お堅いイメージとは正反対の内容だ。また、『フリースタイルな僧侶たち』というフリーペーパーも出ており、ここでは現代の僧侶の“新しい取り組み”が紹介されている。その中身を見てみると、「仏教的視点で映画を見てみる。」、「出家者・ダース・ベイダー」「しりとり法話バトル」といった、思わず読みたくなるキャッチ―な記事が目に飛び込んでくる。

 こうした“フリースタイルな僧侶”が増えた要因について朝倉さんは、「今の時代、それぞれのお寺が“メディア”になる必要があります」と強調する。

 「というのも、私は最近の若者は“仏教に関心がない”と思っていたんです」と目を細める朝倉さん。だが実際は、昔の人より今の若者の方が宗教について知識があるのだという。しかし、関心や知識はあるのに、お寺とどう付き合っていいか方法を知らないのだという。「お寺に若者が来ない理由はそこなんです」と朝倉さんは語る。

 「宗教やお寺のことを“知識”として知っていても、これまで“腑に落ちる”ということがなかった。我々は、そのお手伝いをするのが仕事。だから、まずはお寺に行きたくなるきっかけ作りをして、来てくれた人に対して正しい情報を発信しようというのが、『テクノ法要』の目的のひとつです」(朝倉さん)

■ 実は戒律が無い宗派も存在「お坊さんも“差別”で苦しんでいる」

 第7回目となった『ニコ超』で始めて実演された『テクノ法要』。多くのギャラリーが詰めかけただけではなく、SNSでも「テクノ法要すげーぞ エモい」「テクノ法要最高だった」「テクノ法要が固定観念をブチ壊した」といった多様な意見が見られた。また、本ブースに様々な宗派が集っていた点にも注目したい。朝倉さんによれば「天台宗、日蓮宗、キリスト教の牧師さんもブース内で一緒に活動をしていました」とのこと。宗教と言えば交わらないイメージもあるが、“音楽は垣根を超えて人の心を繋ぐ”という実例にもなったのではないだろうか。

 朝倉さんは今回のイベントについて、「自分のお寺に人を集めるのが目的ではない」ということを再三に渡って強調していた。また、「私は、間違った仏教知識を持った人を、“メディア”として正すお手伝いをしたい」とも。「今は様々なカラーを持った僧侶がいます。自分にあった僧侶を身近な場所で見つけて欲しい」と語った。

 最後に、僧侶の悩みについても言及してくれた。「僧に対してステレオタイプの捉え方をしている方が多いと感じます。たとえば、ボウズでなければいけない。肉や魚を食べてはいけない。結婚してはいけない…などです。でも、実は浄土真宗ってそうした戒律がないんです」と解説する。

 朝倉さんも、なんでボウズじゃないのか?なんで結婚しているのか?と言われることも多いそう。だが、仏教には様々な宗派があって、僧侶の役割もそれぞれ違う。なのに、ステレオタイプな偏見で批判されることに苦しんでいる僧侶もいるのだという。「無理解による批判もあります。それもある意味では差別と言えるかもしれません。だからこそ、『テクノ法要』をやることで関心を持ってもらい、少しでも仏教に対しての理解を深めてもらえたらと思います」(朝倉さん)

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