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つんく♂、20周年のモーニング娘。を語る グループは「強運の持ち主」

 モーニング娘。がアイドルグループとして“成人”を迎えた。今では当たり前となったメンバーの加入や卒業といったサイクルの礎を築くなど、この20年でアイドルシーンにもたらした影響はあまりに大きい。ORICON NEWSではプロデューサーを務めてきたつんく♂(49)に文字を打ち込む形式でインタビューを敢行。前編の今回は何がモーニング娘。を国民的アイドルグループたらしめたのか、転機となった瞬間などを聞いた。

「モーニング娘。」の20年について語ったプロデューサーのつんく♂ (C)ORICON NewS inc.

「モーニング娘。」の20年について語ったプロデューサーのつんく♂ (C)ORICON NewS inc.

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■強運を持ち合わせるグループ 本音は「長く続ける気はなかった」

 2018年1月18日。この日はモーニング娘。(現・モーニング娘。'18)のメジャーデビュー20年目の記念日だった。名古屋で行われたハロー!プロジェクトのメンバー総出演のコンサートで1期メンバー5人(中澤裕子飯田圭織安倍なつみ石黒彩福田明日香)が集合し、大きな話題を集めた。つんく♂は「よく頑張ったなと。運があったと思う。ハロー!プロジェクト、もしくはモーニング娘。っていう存在自体がラッキーを持っているグループだなという気がしますね」と20年という月日の感想を語った。

 強運を持ち合わせている理由をこう説明した。「20年続いているアイドルグループはない。続けたかった人たちもいっぱいいると思うのに続けられなかった。これが当たり前。でも、何の因果か続けられているっていうのは強運の持ち主ですよね」。一方、つんく♂の思い描く構想は全く違ったという。「僕は続ける気がなかったんです。僕の頭の中ではシャ乱Qがベースにあると考えて、モーニング娘。は副産物的なもの。バーンと弾けたら、しぼんでいく前に解散というのが美学だと思っていた。キャンディーズにしかり、(山口)百恵ちゃんにしかり、BOΦWYしかり、なんで今っていうときに辞めている。それも美学ですね。その方がのちのちに伝説が残っていく気がしたんで。なので一番良い時に解散!って思ってた」。

 それが伝説になりながら、今も継続している。理由を聞くと「売れちゃったからじゃないですか(笑)。大人たちの思惑に勝てなかった(笑)」と笑顔を見せつつも「曲に救われた。曲が時代をしっかり築き上げていった。それもラッキー。僕自身もアイデアが尽きることなく、あの子たちが七変化していった。メンバーチェンジを繰り返して常にかたちを変えてきてくれたから曲も書き続けられた。そういう意味ではメンバーそれぞれの個性にいつも感謝している。でこぼこいろんなやつがいたけど、それぞれがいたから今がある」。絶えず刺激を与えてくれたメンバーに感謝した。

■ターニングポイントは3つ 今や当たり前のメンバー“加入”“卒業”の礎も築く

 『モーニング娘。』の流れがつかめたのは、いつなのか。つんく♂は3つのポイントを挙げた。「最初のターニングポイントは(2ndシングルの)『サマーナイトタウン』。その次が(7thシングルの)『LOVEマシーン』。その次が(50thシングルの)『One・Two・Three』。ここが3つの大きなポイントじゃないかな」。「サマーナイトタウン」は2期メンバーの市井紗耶香、矢口真里、保田圭が加入したシングルとなる。「5人組で始まったモーニング娘。に対して、3人加えることが当時は超不自然だった。けど、そうやって人数が増えたり、減ったりした。今のアイドル界隈では当たり前。その礎というか、当たり前にしたのが『サマーナイトタウン』ですね。この意思決定を一つでも間違えていたら、今のモーニング娘。はない。アイドルシーンも変わっていたんじゃないかな」。

 「LOVEマシーン」は後藤真希がセンターを務め、その人気は社会現象と呼べるまでに。「楽曲があそこまで世間を引っ張った。モーニング娘。やハロー!プロジェクトを含め、一つの時代を作る力を持つんだなと実感できた。自分の作った曲が、そうやって現象を巻き起こすっていうミラクルゾーンを体験できたことに感銘を覚えた」。記念すべき50枚目のシングル「One・Two・Three」については「そこまではダンスミュージックのようなものを作るけど、実際に踊れるメンバーがいなかった。みんな、努力して頑張っていたけど、『One・Two・Three』のところで鞘師(里保)がいて、あの曲と出会えた。そして新しい形ができあがった。ここから、まだまだ作品を作っていかなきゃいけないんだなと新しい使命感みたいなものを自分で感じられた」と振り返った。

■プロデューサーとして20年目「作った曲は古びていない」

 波乱万丈なグループに思えるが、つんく♂は「ヤバいなって思った危機は実際にはないかな」ときっぱり。プロデュース業も20周年となるが「自分で言うのも何だけど、作った曲自体は古びてないかな」と自信も見せる。「20年って思えば長い。9期が入ってから7〜8年経つと思うと、そこの方があっという間。前半戦は長かったような気もする」と感慨。「『LOVEマシーン』のヒット以降は知名度があるけどCDも不況になっていった。そこを、どう乗り切っていくのかは非常に問題だった」と回想した。

 加入や卒業を繰り返し、今のメンバーは「LOVEマシーン」が発売されたときには生まれていなかった。代替わりについて「最初のメンバーチェンジが始まったころから深く考えないようになった。『LOVEマシーン』のヒットがあって、その次に入ってきた4期は非常に注目もされた。精神的なプレッシャーもデカかっただろうなと思う。さらに、その次の5期、6期は『LOVEマシーン』の後藤真希を見て入ってきた辻(希美)ちゃん、加護(亜依)ちゃんも見た上で入った。希望や自分たちも行けるという夢もあった。そのへんが結果的に一番、長く滞在しているメンバーに。道重(さゆみ)、田中れいなのいた6期は違う意味のターニングポイント。藤本(美貴)も亀井(絵里)も含めて水準が高かった」と懐かしんだ。

 プロデューサーとして20年を迎えたということは『娘。』が成人したことにもなる。「みんな紆余曲折あった。少々のスキャンダルとかもあったけど、モーニング娘。が活動停止するような事件に巻き込まれたやつはいなかった」と笑顔。「初期のメンバーは、そんなに年も離れていなかったけど影で反発したりするのも、あんまり聞いたこともない。横にいろんな人がいても『うちはうち、つんく♂さんが決めたことが、それ』と、みんなやってくれた。自分たちの運命をしっかり分かっていた。それは、ありがたかった」と感謝の言葉を紡いでいた。

 あす25日配信の後編はつんく♂が秋元康氏企画の番組「ラストアイドル」の話から“アイドルに必要なもの”などを語る。

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  • つんく♂=つんく♂インタビュー (C)ORICON NewS inc.
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