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ディズニー・アニメーションの求心力(3)『モアナ』の音楽づくり

 ディズニー・アニメーションが世界中で愛される理由のひとつが、劇中に流れる音楽だ。ディズニーのトーキー(せりふ・音楽などを伴う映画)第1作となる『蒸気船ウイリー』(1928年)で映像と音楽をシンクロさせてから、長編第1作『白雪姫』(37年)でアニメーションとミュージカルを融合させてから、ずっと。長編第3作『ファンタジア』(40年)でウォルト・ディズニーがこだわった「目で見る音楽・耳で聴く映像」が継承されている。今回は、ディズニー及びディズニー/ピクサー作品の長編・短編すべての音楽を統括するトム・マクドウーガル氏(エグゼクティブ・ミュージック・プロデューサー)にディズニーの音楽づくりについて聞いた。

 日本で興行収入255億円の大ヒットを記録した『アナと雪の女王』(2013年)では、主題歌「Let It Go〜ありのままで〜」をはじめ、劇中歌も注目され、社会現象となった。公開中の『モアナと伝説の海』も、主題歌「どこまでも〜How Far I’ll Go〜」が話題だ。一度聴いたら忘れられないメロディーが印象的で、「Let It Go」以来、3年ぶりに米アカデミー賞「主題歌賞」にもノミネートされた。

 『モアナ』は、『リトル・マーメイド』(89年)や『アラジン』(92年)で、音楽を使いみごとにストーリーを語ってみせたジョン・マスカー&ロン・クレメンツ監督の最新作。主題歌「どこまでも〜How Far I’ll Go〜」は、16年間島の外に出ることを禁じられていたモアナが、海の先に何が待っているのか不安を感じながらも、島の外に出ることを自分で決断する、心模様を歌ったもの。手掛けたのは、ブロードウェイ・ミュージカル『ハミルトン』で2016年トニー賞11部門受賞という偉業を達成したリン=マニュエル・ミランダだ。

 マクドウーガル氏によれば、リン=マニュエルが『ハミルトン』で成功する以前に、『モアナ』のオファーをしていたという。「先見の明がありますね」と感心すると、マクドウーガル氏は「そうだね」といたずらっぽく笑い、「トニー賞受賞はリンにとってハッピーなことだし、『モアナ』も注目を集めることができて僕らもハッピーだよ」と余裕しゃくしゃく。その笑顔のまま、諭すように「いま、人気があるかどうかは、僕らにとってまったく重要じゃないんだ」と続けた。

 「僕らが目指しているのは永遠に残る作品を作ることにある。考えてみてよ、人々はいまも1937年に公開された『白雪姫』をビデオグラムなどで観ているんだよ。『ダンボ』(41年)や『シンデレラ』(50年)、『ピーターパン』(53年)なども。すごく昔に公開された映画なのに、いまも人々が観て楽しめるのは、これらの映画に時代を超越したところがあるからだ。そういう作品を作るために、僕らが考えるのはどうしたら映画をより良くできるか、ということだけ。その唯一の目的のために、僕らは常にアーティストを探しているんです。リンの歌詞のスタイルや能力は『モアナ』にぴったりだと感じられたし、彼にはこのプロジェクトに関わる情熱がありました」。

 ちなみに、『モアナと伝説の海』では、ほかに2人もトップクラスの音楽家を起用している。2人目は、『ライオン・キング』(1994年)、『ターザン』(99年)、『ブラザー・ベア』(2003年)といったディズニー作品に携わってきた映画音楽家でありミュージカル『ライオン・キング』(舞台版)の音楽プロデューサーとしても知られているマーク・マンシーナ。3人目は、バンドを率いて20年以上にわたって世界各地をツアーしながら、南太平洋の文化のすばらしさを伝えてきたサモア出身の音楽家、オペタイア・フォアイ。

 そして、この3人のアーティストたちも、太平洋の島々をめぐるリサーチの旅に同行している。

*1937年に公開されたディズニーの長編映画第1作『白雪姫』(世界初の長編、しかもカラーアニメーション映画でもある)から80年。今なお進化し続けるディズニー・アニメーションの求心力を、つくり手たちの話からひもといていく。



関連写真

  • 『モアナと伝説の海 オリジナル・サウンドトラック<日本語版>』(発売中)
  • ディズニー及びディズニー/ピクサー作品の長編・短編すべての音楽を統括するトム・マクドウーガル氏(エグゼクティブ・ミュージック・プロデューサー) (C)ORICON NewS inc.

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