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水曜日のカンパネラ・コムアイ「ゴリ押しは通じない、音楽はフェアな世界」

 人気ユニット・水曜日のカンパネラが、メジャー初のフルアルバム『SUPERMAN』を発表。これまでにない独特の音楽性やパフォーマンスが話題の彼ら。バラエティ番組などでも活躍する“主演・歌唱”のコムアイが音楽業界について思う、“きれいごと”ではない本音とは?

◆閉塞感のある時代に、スーパーマンに出現してほしい

――メジャー初となるフルアルバム『SUPERMAN』が発売されます。坂本龍馬、チンギス・ハン、一休さんなど、歴史上の人物を取り上げた歌詞と、ループ感のあるメロディ、コムアイさんの独特の声質などが合わさって、一度聴いただけで耳に残ります。
【コムアイ】今回のアルバムは、やりたいことがあったので、アルバムを作ると決まった時、「こういうコンセプトで、こういうジャケにしたい」って、(サウンドプロデューサーで共同制作者の)ケンモチ(ヒデフミ)さんやワーナーのスタッフに、集めていた資料を見せて。「UMA」(メジャー第1弾EP。2016年6月22日発売)の時は、そういうタイミングがなくて、タイトルが決まって曲が出来てきて、最後に作品の役割がわかった感じだったんです。『ジパング』(インディーズ5thアルバム。2015年11月11日発売)と、今回の『SUPERMAN』では逆に、全体の像から逆算して点を作っていく手順でした。

――作品によって、制作への関わり方が違うんですか?
【コムアイ】単純に、私の準備が間に合えばなんですが。音源を送りあって、「こういうのがいい」と言ったり、曲によってはどこが歌になるかというところから話したりします。節目節目に、「こんな曲をやりたい」と話して種をまいておくのが一番の仕事です。ただ、普段から、“自分は世の中に対してこんなことを考えている”っていう話はするけれど、音楽の内容に思想とかが入ってくるのは好きじゃない。歌いづらかったり、重たくて歌う気にならなかったりする気がして……。とはいえ、今回のアルバムでは、私が真面目に考えていたことをコンセプトに絡ませたいなと思って。

――真面目に考えていたこと?
【コムアイ】このアルバムは、“2017年にスーパーマンがいない!”ということが前提になっているんです。誰もが閉塞感を覚える時代に、世の中をガッと変えてくれる人物に現れてほしい。その出現を待つイメージで作ったんです。だから、スーパーマンの出現を想像して、その人を応援するような気持ちで歌っている。スーパーマンの出現を心待ちにしているその目線と、あとは未来を見据えているという意味で、ジャケットも、敢えて“目”にフォーカスしたんです。

◆魅力的でなければゴリ押しは通じない、音楽はフェアな世界

――コムアイさんが考える“面白さ”って、単純にユニークってだけではないような気がするんですが。ユニークさとかオリジナリティとか、そういうわかりやすい“面白さ”のほかに、いい/悪い、好き/嫌いをジャッジする基準は、どんなところに持っていますか?
【コムアイ】あぁ……(少し考えて)“希望を感じるかどうか”っていうのは大きいかもしれない。あとは、“元気”であるかどうか。ときどき、自分が歌ったものを聴いて、行ききってないというか、元気が足りないと思う時もあります。……もうひとつは、“新しさ”かな。「こういう曲、もうあるじゃん」っていうものなら、出す意味がない。タイミングも大事だから、「今出してどうすんの?」って思うこともある。今の時代って、掘り起こせばいくらでも昔の曲が聴けるじゃないですか。だから、何かで突出してないとっていうのは、ケンモチさんも私もいつも考えてますね。

――新しいもの、突出したものを発表していくためには、常にアンテナを張り巡らしているんですか?
【コムアイ】そうですね。時間がある日は、いろんなものに触れます。体力はそんなにないし、寝るのは好きだけど、実はゆっくり休んでもあんまり元気にならないんです。「あ、これすごいな」って思うものを見た方がよっぽど元気になる。そこに希望があるかどうかで、私の元気は格段に変わる。面白いMVを見つけた時も元気になるし、ケンモチさんからいい曲が送られてきて最初に聴けるのも楽しいし、誰かが言ったことで、「それ面白いね!」というのがあったらすぐに実践してみたり。私の場合、頑張れる動機は希望との出会いの中にあるのかもしれないです。

――傑作アルバムが生まれたばかりなのに、さらにこの先の展開も楽しみです。3月8日に武道館ワンマンも控えていますが、音楽的に、今後の展望として何か考えていることは?
【コムアイ】音楽業界に足を踏み入れて思ったのは、音楽はフェアな世界だなっていうこと。結局は、私たちが魅力的なものを生み出さなかったら、いくらお金を使って広告でゴリ押しされたって、広く世間に受け入れてはもらえない。だから目標も、売れたいというより、常に自分が納得できるものを出したい。それだけです。きれいごとじゃなく、本当にそう思ってます。
(文:菊地陽子)



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