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200万人を動員、自虐もできるアイドル・キスマイの強み

 人気グループ・Kis-My-Ft2が4日、東京ドーム公演を開催。同公演でデビュー後のツアー動員200万人を突破することとなった。彼らが所属するジャニーズ事務所でも最速というこの記録。ステージでは、まさに200万人を満足させてきたグループにふさわしいパフォーマンスを見せた。バラエティ等でも活躍するキスマイだが、ライブで見せたその真の魅力とは?

8月4日の公演でツアー動員数200万人を突破したKis-My-Ft2、最終日は8月14日福岡公演

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◆スピード感と“自虐力”、男もハマるキスマイのライブ

 エンタテインメントなのに、“試練”のような厳しさ。最新鋭マシンによるウォーター演出は、“滝行”のような激しさだった。場面が変わるたびに、驚嘆の叫び声が東京ドームにこだまする――。2011年のデビューから5年、ツアー200万人動員を達成したKis-My-Ft2の東京ドーム公演『Kis-My-Ft2 CONCERT TOUR 2016 ISCREAM』は、胸のすくような疾走感に溢れていた。

 キスマイのライブは、“男も惚れる”ライブだ。バラエティ番組『キスマイBUSAIKU??』(フジテレビ系)でしか彼らを知らない男性が、7人が真剣に歌い踊っている姿を見たら、まずそのカッコ良さに度肝を抜かれ、そして彼らのバラバラの個性が生み出すハーモニーにどハマりすることだろう。彼らのライブには、ローラースケートという武器を最大限活用して生まれたスピート感と、“自虐力”とでも呼ぶべき自分を落として笑いを取りに行くパワーという、男子の大好物が二つも備わっている。しかも、7人が疾走することで生まれる風のスピードは、年々速度を増しているように見える。メンバー各々の個性もチームワークも、年々磨きがかかっているように見えるのだ。

◆テレビでの不安定感と、主戦場であるライブの安定感のギャップ

 冒頭、シルバーの変形風船を身にまとい、仮面をつけた7人がステージ外周から登場し、一斉にローラースケートでメインステージに向かった。ジャニーズJr.が華麗なアクロバットを披露している間、7人の姿は消え、気づけばメインステージ上空に、彼らはいた。「YES! I SCREAM」の間奏で、一斉に20メートルの高さを鳥のように舞い降りる。このイリュージョンのようでいて肉体の躍動感もしっかり感じさせる演出は、でもまだ“驚嘆”の入り口で、その先にある興奮とスリルとを十二分に予感させた。

 派生ユニット“舞祭組”のメンバーを筆頭に、歌番組やバラエティではいい意味での“不安定感”が視聴者の興味と関心を誘っているキスマイだが、主戦場たるライブのパフォーマンスは、超がつくほどに安定している。北山宏光、藤ヶ谷太輔、玉森裕太のいわゆる“前の3人”は当然として、“アイドルオーラのなさ”が売りの千賀健永、宮田俊哉、横尾渉、二階堂高嗣の“舞祭組”の4人も、歌い踊っているときのキラキラ感は、一瞬で5万5000人を魅了できるアイドルのそれだ。

◆デビュー5周年、強いキャラクターで並び立つ7人

 緩急のつけ方も巧みで、舞祭組による「棚からぼたもち」では、東京ドームが宴会状態に。かと思えば、初挑戦した和太鼓のパフォーマンスではあくまでパワフルに、日本男児っぽい熱さを漲らせる。火柱の中で歌い踊った「Black & White」も、セクシーさとワイルドさが交錯していた。キャッチーで、パワフルで、カッコ良くて、派手で、スピーディで、チームワーク抜群。でも自虐もできて面白い。キスマイはデビュー5年目にして、7人が7人とも強いキャラクターをもって並び立つグループになった。

 アンコールでは、日本初上陸だという観覧車型のウォーターマシンから2トンもの水が放出され、7人はEDM曲「I Scream Night」を歌い踊った。通称「キスマイジェット」と呼ばれるマシンの繰り出す水と光のシンフォニーも美しいが、その前でずぶ濡れになりながらもはっちゃける彼らの無邪気なこと。ステージいっぱいに降り注いだ愛のシャワーを全身に浴びる彼らの姿は、それを見守る5万5000人のファンの心にしっかりと刻まれた。
(文/菊地陽子)

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