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アナログレコードブーム 定着のカギは“家族体験”

 中核事業としてアナログレコードを中心とする日本最大級の音楽専門ショッピングサイト『サウンドファインダー』を10年以上運営するマッチファインダーの新川宰久氏。アナログをめぐるシーンやユーザーの遷移を見続けてきた氏に、現在の状況はどう映っているのか。

 「昨年は約70万人がサイトに訪れて、購入者はおよそ5%。ひと昔前のレコードユーザーはDJが中心でしたが、今はユーザー層が変化していて、歌謡曲やジャズ、ロックなどで評価がある程度定まっている盤が、人気がありますね。最近の特徴としては、女性の割合が30%くらいにまで高まっています。若い人に限らず可処分所得が減ってきているなか、とくに女性はどうしてもメイクやファッションに使うべきお金を優先する印象があり、意外な割合です」(新川氏/以下同)

 女性の初心者レコードユーザーが増えているということなのだろうか。

 「そういう層も確実にいるのでしょう。ただ個人的に、このブームを文化として定着させるためには、家族で楽しむコンテンツとしてのレコード体験を提案していきたい。パパから娘へ、娘から母へ、あるいは祖母へ。家という空間でレコードを聴く体験を共有することによって、生活に溶け込んだ音楽という切り口からアナログの魅力を伝えていきたいのです」

 まずはレコードを体験してもらうことを重視するなかで、年1回ペースで東洋化成の工場見学ツアー「レコー道」を行っており、これまでに4回実施した。

 「近畿日本ツーリストさんの地域振興事業部とのコラボ企画として行っています。ナビゲーターとして、著名なレコード好きの方に同行してもらうのですが、その形を作った初回イベントでのRhymesterのDJ JINさんの貢献が大きいですね。単なる工場見学ではつまらない。どうやったら日本全国から集まる参加者に、楽しい体験を提供できるか、ということを真剣に考えてくださいました。実際に音源を持ち込んでプレスする様子を見てもらったり、そのレコードをお土産に配ったり。東洋化成さん側にも、リスナーの反応をダイレクトに感じられて職業人としてのモチベーションが高まるということで、喜んでもらえているようです」

 不定期に開催する「record people meeting(rpm)」という参加型イベントでは、“タッチ&トライ”を重視している。

 「バーでもカフェでもいいんです。そこに行けば良い音で良い音楽が聴けるという場が、もっともっと増えていけば、状況はより安定していくと思います。いきなり“どうやったら買ってくれるか”を考えるのではなく、まずは“みんなで楽しもう”という視点から、どうすれば音楽を楽しんでもらえるかを考えたい。じっくりとアナログカルチャーを育てていきたいですね」

 rpmは4月17日に、アナログレコードと食育を組み合わせた新たなイベントを実施する。新川氏は、「ご家族で会場にお越しいただいて、お父さんはレコードを聴きながらクラフトビールを楽しんでいただく。お母さんと子供は“7インチの”ピザを作って、出来上がったピザをみんなで頬張る。そんな休日のイメージを作れた」と、新たなレコード体験に意欲を燃やす。(文/及川望)

(コンフィデンス 16年3月21日号掲載)



関連写真

  • アナログレコードのセールス(金額)動向。※オリコン・リサーチでデータベース登録されている作品が対象。「15年」の集計期間は15年1/12付〜16年1/4付(14年12月29日〜15年12月27日)
  • マッチファインダーが近畿日本ツーリストとコラボして年1回ペースで実施する東洋化成の工場見学ツアー「レコー道」の様子。これまでに、DJ JIN(Rhymester)、松岡‘matzz’高廣、沖野修也、ピーター・バラカン親子がナビゲーターとして参加した

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