アニメ&ゲーム カテゴリ
ORICON NEWS

“婚活”や“サバゲー女子”も……オタク市場で存在感を増すサバゲー

 先ごろ矢野経済研究所が『「オタク」市場に関する調査結果』を発表した。報告によると、2014年のオタク市場で一番伸びた市場はアイドル市場で、前年比37.4%増の1186億円。いまだに衰えないAKB48の人気などを思えば納得できる結果だが、市場が落ち込むジャンルもあるなかで、「トイガン(エアソフトガン及びモデルガン)・サバイバルゲーム市場」が10.8%増(144億円)とアイドル市場に次いで好調だったことは特筆すべき話題だ。10年前はオタクの中でもかなりマニアックな分野であり、一般的にも何かと煙たがれる存在だった“サバゲー”(サバイバルゲームの略称)が、なぜここまで成長しているのか。その背景も含め検証してみた。

ミリタリー×美少女アニメのヒットも人気を後押し。写真は興収10億突破の『ガールズ&パンツァー 劇場版』

ミリタリー×美少女アニメのヒットも人気を後押し。写真は興収10億突破の『ガールズ&パンツァー 劇場版』

写真ページを見る

■ミリタリーテーマのエンタメコンテンツ増加も後押し

 2000年代に入ってから “オタク”という言葉が市民権を獲得するようになり、かつてのオタク=「女子にモテない」「恥ずかしい」という認識は今ではほとんどなくなっている。むしろ自分の趣味や個性を「○○オタクなんです」と公言したり、あるいは自分の嗜好をブレずに維持・追及している人物を“カッコいい”と評する状況にさえなっているようだ。そんな中、それでもかつては“危険”かつ“マニアック”とされ、極めてコアなファンによってのみ支持されていた特殊分野のサバゲーが一般層にまで広がりはじめたのはなぜなのだろうか?

 「ミリタリー系書籍=部数は少ないが手堅く売れる、というのが業界の常識で、サバゲーブーム自体も本当は20年以上も前からジワジワと続いていました。それが『バイオハザード』などのガンシューティング系ゲームを入口にして、“自分も銃を撃ってみたい”とサバゲーの世界に入ってくる初心者が増えてきたんです。最近はアニメの『ガールズ&パンツァー』(通称ガルパン)やソーシャルゲーム『艦隊これくしょん -艦これ-』などのヒットもあって、趣味としてのミリタリー自体へのハードルも相当低くなった。今では『特例措置団体ステラ女学院中等科C3部』なんて、女子中学生たちが主役のサバゲー題材のマンガがあるぐらいですから」(ミリタリー誌編集者)

 こうしたアニメ作品には、アニメオタクとミリタリーオタク、双方への訴求力が求められており、両者のハイブリッドに成功すれば、大きな反響を生む。どちらのジャンルもひとつの事象を徹底的に追求するという“オタク気質”が高く、ある程度経済的にも余裕が出てきた年代のファンが多いと思われるため、「萌え」「ミリタリー」を入り口に互いのジャンルに好影響を与えているというわけだ。事実、『艦これ』のヒット以降、ミリタリー関連の雑誌が品薄になったり、グッズの売上が伸びたりしており、アニメを入り口にサバゲーにも手を出すファンがいることが多いことが窺える。

■都市型フィールドが増えよりカジュアルに楽しめるように

 しかしトイガン(玩具の銃)業界は、銃を使った犯罪が起こるたびにトイガンの性能や威力を抑えるように規制を受ける。当然、世間からの銃に対するイメージも悪くなるため、業界は何度も危機も迎えた。だからこそ逆に、トイガン商品のイメージを“安全”にすることによって、以前からの危ないイメージを希釈することもできるようになったのである。かつては山林などに勝手に入り込み、サバゲーを楽しむオタクと山林所有者との間でトラブルになることも多発していたが、今では秋葉原などの都市部に近場で楽しめる“都市型サバゲーフィールド”も増えてきている。本格的に楽しめるサバゲーフィールドも、千葉県を中心に開場ラッシュが続いており、特に印西市などはサバゲーフィールドが密集する“聖地”とまで言われている。もはやこのままブームが続けば、千葉の休耕地の大部分はソーラーパネルが並ぶかサバゲーフィールドになる、といっても過言ではないのだ。

 そしてサバゲー自体も日本で流行し始めてから年月を経ており、ルールも成熟し、単純に“ゲーム”としての面白さや醍醐味に気づいて参入してくる人たちが増えているという。「特に最近は、サバゲーを楽しむ女性たちが増えてきました。サバゲーの“制服”とも言える迷彩柄にしても、ミリタリーファッションの流行もあって“オシャレ”ですからね。でも実際は、それでもサバゲーは男性が中心なんです。そこに女性が入ってくると何かとちやほやされてアイドル扱いされる…というのも大きいとは思います(笑)。一部では、同好の士として婚活まがいのこともあると聞きます」(前出・編集者)

 サバゲー人気の背景としては、災害派遣における自衛隊の活躍ぶりがメディアで紹介されることによって、よりオタク色が薄れることも影響しているかもしれない。さらに先の編集者の言葉にあるように、サバゲーで婚活するとまでなると、サバゲー初心者やサバゲー女子を取り込んで、今後もサバゲー市場はますます成長していく可能性がありそうだ。ここはひとつ食わず嫌いをしてないで、思い切ってサバゲーに挑戦してみるのも楽しいかもしれない。

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

 を検索