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抜群の美声を響かせるヒゲのオネエ、コンチータって何者?

 セリーヌ・ディオンABBAなどを輩出したヨーロッパの由緒ある音楽コンテスト『ユーロビジョン・ソング・コンテスト』で昨年優勝したオーストリア出身のコンチータ。その衝撃的なビジュアルと圧倒的な歌声で、世界中で注目を集めている彼女(彼?)が、初来日し、ORICON STYLEのインタビューに応じた。『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)や『スッキリ!!』(日本テレビ系)など、様々なメディアに登場し話題を呼んでいるが、いったい何者なのか?

ヒゲのオネエ(美女)コンチータ(写真:鈴木かずなり)

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◆毎日髭を剃ってステージにあがるのが面倒くさくて今のビジュアルに

──まず、なぜ「髭」をたくわえて歌をうたうことになったのですか?
【コンチータ】 実は14歳くらいから女装はしていたの。2010年に友人から何日かドラァグクイーン(女装)でパーティの司会をしてほしいと言われたの。でも、毎日髭を剃ってステージにあがるのが面倒くさくなってね。そこで、ある日髭のままメイクしたら「意外といける! このほうが美しいわ!」と思って、ステージに出たのがきっかけね。

──以前あなたは、ボーイズグループに所属していましたよね?
【コンチータ】 ええ。17歳の頃に地元オーストリアのオーディション番組に出演して、準優勝を獲得したの。そうしたら、「ボーイズグループの一員にならない?」って声をかけていただいて。当時は、とにかくレコードデビューをすることが大切! って思っていたから飛びついたの。たった8ヶ月の活動だったけどね。とても素晴らしい経験ができたわ。自分が本当に好きなことをしなくちゃ成功は掴めない!って学ぶことができたから。

──グループの活動を経て「コンチータ」として活動を始める訳ですが、なぜこの名前に?
【コンチータ】 私ってラテン系の友人が多いの。北部生まれの私にとって、南部の彼らのエネルギッシュで情熱的な性格って、とっても輝いて見えるから。なかでも、ウィーンでバーをやっているキューバ人と仲が良くて、ある日「自分がドラァグクイーンとしてソロ活動するために、どういう名前を付けたらいい?」って尋ねたところ「コンチータはどう?」って。すぐに気に入ったわ。意味なんて知らずにね。後にこれって「貝」という意味の他に「女性のプライベートスペース」をさす言葉だって知るんだけど、それも自分らしくっていいって思ったわ(笑)。

◆アンチは、ぶっちゃけどうでもいいって感じ(笑)

──そして昨年『ユーロビジョン・ソング・コンテスト』で優勝したことをきっかけに、一躍時の人になりました。発表の瞬間のことは覚えていますか?
【コンチータ】 このコンテストの期間中、2週間ずーっとメディアの取材を受けたり、パフォーマンスをしてハードスケジュールだったの。でもグランプリを穫った瞬間、記憶がすべて飛んでしまったの。だから発表の瞬間って何も覚えていないのよね。後に動画サイトで「私、こんなことやってたんだ!」って気づいたほど(笑)。激流のような時間だったわ。

──優勝して以降で、最も幸せだった瞬間は?
【コンチータ】 グランプリになったんだ! と認識した瞬間に勝るものはないわよ。発表されるまでは、私の存在がタブー視されていたところがあって、自分が獲得するなんて思ってなかったから。これはコンテストの期間、地道に自分の信念を訴えかけた結果だと思っている。優勝して以降は、もうバラ色の毎日! 世界中の人々に自分のパフォーマンスや思いを届けられるようになったんだから。

──コンテスト時期には、否定的な意見もありました。それらをどうとらえていましたか?
【コンチータ】 ぶっちゃけどうでもいいって感じ(笑)。そんなことに一喜一憂している時間があったら、他にやりたいことがあるし。美しい花の画像を見ていたほうがマシよ(笑)。もちろん、自分の存在を通じて社会に対する問題提起をしているような意見には耳や目を傾けるけど、ただの誹謗中傷は人生において何の得にもならない。逆に、私のこと気にしてくれてサンキューって感じよ(笑)。

◆尊重しあえることの大切さを、音楽などの活動を通じて世界に広めていきたい

──また、来日中には日本で初めて同性パートナーシップ条例が可決された渋谷区の区役所を訪問されたそうですね。
【コンチータ】 ええ。同性愛者も異性愛者と同様の権利を持つことって当たり前だと思っているから、日本も正しい世界へ向かっている第一歩が踏み出せたんだと、喜んでいるの。また、アメリカでも同性婚が裁判で認められて、世界中が私事のように盛り上がっているけど、そういう状況になっているのはほんの一部分。まだ同性愛者が差別を受けたり、殺されてしまう場所もあるわ。人間って、本来国籍、宗教、性的嗜好などで、差別されるべきではないの。もっと個人を見つめなくてはいけないのに……。私の国でも、同性カップルが養子を持つことに対して議論が起こっているんだけど、同性カップルでも異性カップルでも子どもをちゃんと育てられる人はいるし、そうでない人もいる。ちゃんと個人を判断しなくてはいけないのに、出身や嗜好だけで物差しを計ろうとするの。そういうところは是正していかないとね。

──今後は、どういう活動をしていきたいですか?
【コンチータ】 世界中には、様々な考え方があり、それらを頭ごなしに否定するのでなく、リスペクト(尊重)しあえることの大切さを、音楽などの活動を通じて世界に広めていきたい。確かに、私にだってどうしても受け入れられない考えもあるわ。でも、そう考える人には、彼らなりの正義・美学があってのことだから。常に相手の立場になる気持ちがあれば、諍いなんて起きない気がする。両親からも、人を尊重し、傷つけてはいけないって言われて育っていて、今もそれを守り続けているし、これからもそうするつもり。

(文:松永尚久)

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