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スカッシュの松井千夏、五輪種目採用への課題と胸中語る

 「東京五輪での採用に向けて、スカッシュという素晴らしいスポーツをもっと多くの人に知ってほしいです」。日本のスカッシュ界を第一線で引っ張り続けてきた松井千夏選手は、記者たちの前でこう語った。

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 今、スカッシュ界がにわかに盛り上がっている。昨年末、国際オリンピック委員会が発表した改革案では、夏季五輪の競技枠撤廃と開催都市が実施希望競技を提案できる項目が含まれていた。世界185以上の国と地域、約2000万人の競技人口を誇るスカッシュは、野球、ソフトボール、空手などの競技と共に、2020年の東京五輪での採用が有力視されている。

 松井は日体大時代にスカッシュを始めた。「158センチと身長が低かったので、バレーボールから転向しました。最初はうまく打つことができなかったけど、逆に燃えました」と、競技を始めたきっかけについて語る。運動量はテニスの2倍と言われるスカッシュだが、松井は毎日5時間以上のハードな練習で腕を磨いた。2001年に初めて日本選手権で優勝すると、その後も日本のトップ選手としてスカッシュ界をけん引し続けている。

 松井はスカッシュの魅力についてこう語る。「パワーだけでもスピードだけでも勝てません。ショットの正確性や、メンタル、先を読む力などの総合力が試されます」。四方に囲まれた壁の中でボールを打ち合うスカッシュは「空間のチェス」とも言われており、試合の中で状況に応じた戦略やメンタルが占める部分も大きい。

 2020年に向けて盛り上がるスカッシュ界だが、松井は現状の課題についてこう語る。「日本ではまだまだスカッシュをプレーできる環境が整っていません。世界と同じように、もっと子供たちが気軽に始められるようにしなければ」。自身も現役の選手としてプレーしながら、スカッシュスクールのコーチとして競技の普及に尽力している。

 松井にとって今年初参加の大会となった『ダイナムCUP SQ-CUBE OPEN 2015 inさいたま』が、8日に埼玉スカッシュスタジアム「SQ-CUBE」で行われ、男女各世代で熱戦が繰り広げられた。同大会に協賛し、日本スカッシュ協会のオフィシャルパートナーでもある株式会社ダイナムの松岡大成取締役は、「東京五輪に向けて、我々もスカッシュ業界と一緒にチャレンジしていきたいという思いを持っている」とサポートの理由について説明する。

 大会で大きな注目を集めたのが、昨年の日本選手権を制した男子の机龍之介選手だ。机はまだ17歳だが、正確なショットを武器にした冷静なゲーム運びが目立つ。2回戦では元日本チャンピオンの兄、伸之介に勝ち、決勝では海道泰喜選手をストレートで下した。
 「今年のアジアジュニアでは、17歳以下の世界チャンピオンにも勝つことができた。海外の試合でもどんどん表彰台を狙っていきたい。東京五輪に向けて僕ができることは結果を出し続けること」と既に世界を見据えて戦っている。

 一方の松井は初戦から1ゲームも落とさずに危なげなく決勝へ勝ち進むと、決勝では同世代の鬼澤こずえ選手との対戦となった。序盤から多彩なショットで相手を翻弄し続ける松井だが、第3ゲームでは相手にペースをつかまれて、9―6と追い上げられる場面もあった。しかし、「3手、4手先を考えてプレーしている」という試合運びのうまさを見せて、松井はここから再び鬼澤を圧倒して勝利を手繰り寄せた。

「大先輩の伊達さんが現役でがんばっているのに、私もまだまだこれからです」と、37歳の松井は44歳で現役を続けるテニス界のレジェンド、クルム伊達公子選手について語る。しかし、彼女は必ずしも自分が東京五輪でプレーすることだけにこだわってはいない。「もちろん、自分が五輪の舞台でプレーできるのは素晴らしいことですが、スカッシュという競技の魅力をたくさんの人に知ってもらうことが一番大事なことです」と話す。

「低い姿勢でボールを打つことが多いので、女性にとってはヒップアップにもなるんですよ!」と、松井はスカッシュの健康増進効果についても笑顔で説明していたが、このスポーツは老若男女の誰もが楽しめることも大きな特徴だ。松井が最近うれしかったことは、60代の女性がスカッシュを始めて、毎週楽しそうにスクールに通ってくれていることだと言う。

 2020年の東京五輪に向けて、スカッシュという競技と松井千夏という女性アスリートは、これから目を離せない存在になっていくだろう。

関連写真

  • 松井千夏
  • 『ダイナムCUP女子決勝』松井千夏vs鬼澤こずえ
  • 『ダイナムCUP女子決勝』松井千夏vs鬼澤こずえ
  • 『ダイナムCUP女子準決勝』松井千夏vs野口祐可
  • (左から)株式会社ダイナム取締役 松岡大成、机龍之介、松井千夏、モーリーズ モリスケ

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