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洋楽「男性ソロシンガー」新時代、サム・スミス支持の背景

■メッセージと姿勢に関心を寄せる今どきのリスナー

 サム・スミスという22歳の英国人シンガーが、今、世界中で絶大なる賞賛を浴びている。92年にロンドンで生まれ、ナショナル・ユース・ミュージック・シアターで作曲や歌をしっかりと学び、ブルー・アイド・ソウルと一口では片付けられないほどの類稀なる表現力を身につけた。

 ボーカリストとして参加したディスクロージャーのシングル「ラッチ」(12年)のヒットを足がかりに、翌13年2月にはソロ・シンガーとしてシングル「レイ・ミー・ダウン」でデビュー。同年5月にはボーカルで参加したEDM系DJ、ノーティー・ボーイのシングル「La La La」が全英1位を獲得するなど、彼の実力は瞬く間に知れ渡っていく。

 1stアルバム『イン・ザ・ロンリー・アワー』は14年5月に本国で発売され、13年度「ブリット・アウォード」で批評家賞を受賞、英国BBCによる「BBC Sound of 2014」で1位に輝くなど、すでに評価が盤石だったこともあり全英1位を獲得した。もちろん米国でもブレイクし、テイラー・スウィフトやメアリー・J.ブライジら先輩からもラブコールが送られる、押しも押されもせぬ世界的スターとなった。

 そのテイラーらの活躍で“女性上位”が依然強い印象の洋楽メジャー・シーンだが、星光堂/販売促進部の廣田直人氏は「とにかく歌唱力が図抜けている。ブルーノ・マーズに続いてほしい」とヒーローの登場に胸を躍らせる。実際、ダニエル・パウターやジェームス・ブラント以来となる男性シンガーの新潮流を期待する声も多く、数々の来日アーティストを出演させることで洋楽マーケットをバックアップしている日本テレビ『スッキリ!!』(日本テレビ毎週月から金曜日あさ8:00〜放送)プロデューサーの福島英人氏も「エド・シーラン、ブルーノ・マーズ、ハンター・ヘイズなど様々なジャンルで男性アーティストが活躍を始めている。そうした傾向のなかでサムの登場はとても重要」と指摘。クラブ・ミュージック周辺からも信頼されるサムが頂点へと躍り出たことで、2010年代後半、洋楽の傾向地図が大きく変わる可能性も出てきた。

■リアリティーを感じさせる歌詞にリスナーが共感

「女性シンガーの人気が一周し、男性アーティストへの注目が高まっている印象。サムはライブを観たこともあるが、パフォーマンスに迫力がある。気さくなキャラクターも好感が持てる」と前述の福島氏。また、タワーレコード/商品本部販売促進統括部プロモーション企画部の高谷信夫氏は「EDMのブームが定着し、歌い上げるアーティストへの関心は高い。そして今のリスナーはアーティストの姿勢を見ているのだと思う。作られた外見よりも本人がどんなメッセージを発信しているのか。どんな姿勢で歌っているのかに関心を寄せており、そのリアリティーが共感にもつながるのではないか。もちろん、日本でブレイクできるでしょう」と分析する。

 昨年、サムは同性愛者であることを公表し、さらに同アルバムについて、実らなかった男性への思いが詰まった作品であることを米音楽雑誌『The FADER』で告白した。アメリカでは同性結婚を合法化する州が増えており、そうした時代の変化も世界規模でのサムの支持につながったと考えられそうだ。

 そんなサムは第57回グラミー賞において主要4部門含む6部門でノミネートされている。結果次第で日本でも本格的に注目を浴びるようになるだろうことはまず間違いない。(文/岡村詩野)

(ORIGINAL CONFIDENCE 15年1月19日号掲載)



関連写真

  • 洋楽シーンで期待を集めている22歳の英国人シンガー、サム・スミス。1月21日発売のアルバム『イン・ザ・ロンリー・アワー』で日本デビューする
  • Twitterのフォロワー数は約144万5000(15年1月8日時点)。プライベートの投稿も積極的に行っている
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