ファンの間では幻の未発表曲として知られ、同時に再現不能とされてきたhideの「子 ギャル」が、ヤマハの最新VOCALOID技術と、長年にわたり、hideとともに楽曲制作してきたI.N.A.氏のプロデュースワークで完成し、話題となっている。
■I.N.A.氏のプロデュースワークとの融合
hideの新曲が完成したというニュースが伝えられ、話題となっている。そもそもこの新曲「子 ギャル」はhideの3rdアルバム『Ja,Zoo』への収録が予定されていたもので、ラフなボーカルデモ音源と歌詞は残されていた。そして、アルバム制作途中にhideが他界したことで、その「子ギャル」が「幻の楽曲」となったこともファンの間ではよく知られていた。16年の時を経てこの楽曲が完成した背景には、ヤマハの音声合成技術「VOCALOID」と、hideの共同制作者であったI.N.A.氏のプロデュースワークの融合があった。プロジェクトが立ち上がったのは2年ほど前だ。
「故人の声を再現する試みは、実は今回が初めてではなく、11年に植木等さんのVOCALOID(植木ロイド)を制作したことがあります。ただ、その際は、もともとの植木さんの歌唱法が比較的フラットなものだったことで、当時の技術でもなんとか完成させられたというものでした」(ヤマハ・木村義一氏)
プロジェクト開始から半年ほどで、試作音源はいったん完成した。ところがI.N.A.氏はこれを、「hideの作品としては世に出せない」と却下したという。
「hideの声を再現するという意味でのクオリティは充分でした。しかし、それは“hideロイド”ではあっても、hideではなかった。このままでファンに届けるわけにはいかないと判断したんです」(I.N.A.氏)
木村氏によると、VOCALOIDの弱点は、シャウトやこぶしといった、いわば人間臭い歌唱を苦手としていることだという。
「ライブラリの制作中、これ以上は難しいと諦めかけたこともありました。しかし当社の技術者が温めていた新技術を用いるなどして、ようやく完成に漕ぎ着けられました」(木村氏)
プロジェクト開始から1年、ついにI.N.A.氏が首を縦に振ることができるボーカルトラックが完成。それを骨組みに、I.N.A.氏がhideの歌い回しや息づかいなどを肉付けして、「子 ギャル」が再現された。奇しくも12月下旬には、ヤマハからVOCALOIDの新バージョンがリリースされる。その『VOCALOID4』には喉を震わせる歌唱表現を再現する機能等が新たに搭載されているが、この技術はhideの新曲プロジェクトで先行して使われ、その効果が発揮された。間接的にではあれ、VOCALOIDの発展にも貢献したと言えるだろう。
完成した新曲は生誕50周年アルバム『子 ギャル』に収録される。hideの代表曲15曲も「ボーナストラック」として、リリースの軌跡をさかのぼるように並んだ。「リアルタイムでhideを知る世代以外にも、色褪せない彼のサウンドを体感してもらいたい」(I.N.A.氏)という思いが曲順にも込められているという。
VOCALOIDの技術革新と、何よりも新曲「子 ギャル」の実現で、故人の未発表曲を再現するケースは、この他にも登場しそうだ。しかし、木村氏は「技術だけでは限界があります」とし、「hideさんの歌を熟知したI.N.A.さんのような方が関わらなければ」と語る。それだけの完成度を持つ新曲が、10日、世に送り出されたのだ。
(ORIGINAL CONFIDENCE 14年12月15日号掲載)
■I.N.A.氏のプロデュースワークとの融合
hideの新曲が完成したというニュースが伝えられ、話題となっている。そもそもこの新曲「子 ギャル」はhideの3rdアルバム『Ja,Zoo』への収録が予定されていたもので、ラフなボーカルデモ音源と歌詞は残されていた。そして、アルバム制作途中にhideが他界したことで、その「子ギャル」が「幻の楽曲」となったこともファンの間ではよく知られていた。16年の時を経てこの楽曲が完成した背景には、ヤマハの音声合成技術「VOCALOID」と、hideの共同制作者であったI.N.A.氏のプロデュースワークの融合があった。プロジェクトが立ち上がったのは2年ほど前だ。
「故人の声を再現する試みは、実は今回が初めてではなく、11年に植木等さんのVOCALOID(植木ロイド)を制作したことがあります。ただ、その際は、もともとの植木さんの歌唱法が比較的フラットなものだったことで、当時の技術でもなんとか完成させられたというものでした」(ヤマハ・木村義一氏)
プロジェクト開始から半年ほどで、試作音源はいったん完成した。ところがI.N.A.氏はこれを、「hideの作品としては世に出せない」と却下したという。
「hideの声を再現するという意味でのクオリティは充分でした。しかし、それは“hideロイド”ではあっても、hideではなかった。このままでファンに届けるわけにはいかないと判断したんです」(I.N.A.氏)
木村氏によると、VOCALOIDの弱点は、シャウトやこぶしといった、いわば人間臭い歌唱を苦手としていることだという。
「ライブラリの制作中、これ以上は難しいと諦めかけたこともありました。しかし当社の技術者が温めていた新技術を用いるなどして、ようやく完成に漕ぎ着けられました」(木村氏)
プロジェクト開始から1年、ついにI.N.A.氏が首を縦に振ることができるボーカルトラックが完成。それを骨組みに、I.N.A.氏がhideの歌い回しや息づかいなどを肉付けして、「子 ギャル」が再現された。奇しくも12月下旬には、ヤマハからVOCALOIDの新バージョンがリリースされる。その『VOCALOID4』には喉を震わせる歌唱表現を再現する機能等が新たに搭載されているが、この技術はhideの新曲プロジェクトで先行して使われ、その効果が発揮された。間接的にではあれ、VOCALOIDの発展にも貢献したと言えるだろう。
完成した新曲は生誕50周年アルバム『子 ギャル』に収録される。hideの代表曲15曲も「ボーナストラック」として、リリースの軌跡をさかのぼるように並んだ。「リアルタイムでhideを知る世代以外にも、色褪せない彼のサウンドを体感してもらいたい」(I.N.A.氏)という思いが曲順にも込められているという。
VOCALOIDの技術革新と、何よりも新曲「子 ギャル」の実現で、故人の未発表曲を再現するケースは、この他にも登場しそうだ。しかし、木村氏は「技術だけでは限界があります」とし、「hideさんの歌を熟知したI.N.A.さんのような方が関わらなければ」と語る。それだけの完成度を持つ新曲が、10日、世に送り出されたのだ。
(ORIGINAL CONFIDENCE 14年12月15日号掲載)
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2014/12/13