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元大関・琴欧洲親方、相撲界の過去のしきたりに喝!!

 類まれな身体能力と甘いマスクで人気を博した、元大関・琴欧洲親方。度重なる怪我で今年3月に惜しまれつつ引退届を提出し、10月4日に断髪式を行う親方に、改めて新弟子時代から現在に至る軌跡、さらに親方として後進を育てる現在の立場から、自身が味わった理不尽な過去のしきたりについても言及した。

角界の古いしきたりについて言及する琴欧洲親方

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■人間扱いされなかった新弟子時代

 2002年に佐渡ヶ嶽部屋に入門するや、その身体能力で入門からわずか19場所での大関昇進という史上最速記録を成し遂げた琴欧洲親方。元々はブルガリアの国立大学でアマチュアレスリングの有望選手として期待されていたが、母国での同競技重量級が消滅、さらに父親が病に倒れたことから日本で相撲取りになることを決意。

 「日本といえば、先進国のイメージがあったけど、相撲部屋に入門して、まるで時代劇の世界に入ったような感覚でしたね。『何時代だよ!?』って(笑)。 誰も何もしてくれない。練習の方法や、しきたり、食事、睡眠など全て何も教えてくれないですから。自分で理解して直ぐに実行する。じゃないと怒られるからね」(琴欧洲親方)。

 元々、アマレスで母国を代表する選手だっただけに体力的な辛さはそれほどでもなかった。問題は日本での生活、特に相撲部屋での共同生活や上下関係など、角界独特のしきたりには何度も心が折れそうになった。当時は日本語を話すどころか、理解することすらままならない状況だけに尚更だろう。

 「人間扱いされなかったですね(笑)。『とにかく耐えるしかない!』って自分に言い聞かせてました。段階ごとに色々な自由が与えられるので、『ここを我慢すれば、次に行ける!!』っていうことの繰り返しでね。もう本当に細かいことですよ。『これを耐えたら、自転車に乗れる』とか(笑)」(琴欧洲親方)。

 当時の相撲界では、一番下の新弟子は移動する際すべて徒歩。先輩のお使いなども、例えどんなに離れていても徒歩での移動が義務付けられていた。「絶対に横綱になる!!」という大きな夢を掲げてまい進する以前に、新弟子時代は目の前にあるクリアすべき問題が山積みだった。

 「『なんで!?』っていうことが沢山あって(笑)。兄弟子から買い物を頼まれて、どんなに場所が遠くても徒歩とか。『ここを頑張れば、自転車に乗れるんだ!』っていう、訳の分からないモチベーションが生まれて(笑)。でも、当時の自分にとっては、結構重要な問題でしたねぇ(しみじみ)。だって、自転車乗っちゃいけないなんてバカみたいでしょ(笑)」(琴欧洲親方)。

■強さと関係ない“しきたり”はいらない!

 勝ち進めば雑用からも解放され、自分の好きな食事も出来る。史上最速の大関昇進は、いかに現状を打開するか?という切実な思いで強さを磨いていった結果だった。親方となった今、新弟子時代に疑問に感じていた、不条理なしきたりは無くすよう努力している。

 「余りにも強さと関係ない決まり事は変えたかったですね。ただ、全てを変えてしまうのもいけないと思う。昔から伝わる、苦しい稽古を経験して乗り切ることで“自分に勝つ”ことができるから。自分に勝てない人は、絶対に相手に勝てないから」(琴欧洲)。
 
 現在は伝統的な精神論と、科学的根拠に基づいたトレーニングや食事法を融合させた指導で、未来の横綱を育てるために日々模索している。

 「根性論も必要です。だから、難しいところ(笑)。悔しい思いをさせることは絶対に必要だし、そこから自分に何が足りないのかが分かるから。でも、それが“いじめ”にまでなってしまうと、何も意味のない稽古になってしまうので」(琴欧洲)。

 親方としての立場よりも、ひたむきに稽古に明け暮れていた現役時代の方がはるかに楽だと苦笑する親方。現在は暗中模索の段階と言いながらも、その目からは“指導者”としての自信と勝算がうかがえ知れる。「色々記録を作ることは出来たけど、やっぱり横綱にはなれなかったので。今度は僕自身が育てた力士が横綱になるところが見たいですね。やり甲斐はありますよ!」。

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