ORICON STYLE

2010年06月23日

かつての韓国グループの日本展開と現在の隆盛

日本デビューイベントで“ヒップダンス”を披露したKARA 少女時代 Zepp Tokyoでのデビューライブを大盛況のうちに終えた4Minute

 韓国のガールズグループの歴史は、1998年にさかのぼる。当時韓国では、S.E.S、Fin.K.L BABY VOXの3組のガールズグループが絶大な人気を誇っていた。そのうち、パダ、ユージン、シューからなるR&BユニットS.E.Sが日本での活動を展開し、韓国を代表する歌姫イ・ヒョリをリーダーとするFin.K.Lは、正統派アイドルとして韓国にとどまった。そして、現在女優として活躍するユン・ウネが所属したセクシー路線のBABY VOXは、中国へ進出した。

 日本では、それ以前にも4人組のアイドルグループS.O.Sがデビューしていたが、S.E.Sは本格的に日本デビューし、成功を収めた初めての韓国ガールズグループになった。彼女たちが一定の人気を得たことが、現在も日本で活躍する人気韓国人アーティストたちの日本進出につながったといえるだろう。ただ、その後も、Sugar、JEWELRYといったグループが続々と日本に進出するもブレイクにまでは至らなかった。これは、日本進出の失敗というよりも、韓国のガールズグループ全体の勢いが、サッカー日韓ワールドカップ共催の一時的な盛り上がりののちに急速に萎んだことによる。

 そんな流れを一変させたのが、2007年にデビューしたWonder Girlsだ。ピ(Rain)を育てたパク・チニョンのプロデュースによるWonder Girlsは、70〜80年代のディスコ音楽を彷彿とさせる「Tell me」でブレイク。かつてS.E.Sが在籍したS.M. ENTERTAINMENTからは少女時代が誕生。そして、Fin.K.Lを生み出したDSP mediaからはアイドルグループKARAがデビューし、ガールズグループは再び黄金時代を迎えることになった。

それぞれの特徴を持つ人気ガールズグループ

f(x) T-ara

 少女時代は9人のメンバーからなるガールズグループで、ドラマ、バラエティー番組などでかわいらしさを振りまき、「GEE」でみせたキャッチーなダンスは子供から大人まで話題となった。KARAは、Fin.K.Lの路線を受け継ぐ正統派アイドルとして「Honey」でブレイクし、「ミスター」でのヒップダンスが話題となり、ともに国民的アイドルとなった。

 Wonder Girlsの「Tell me」ダンスや、KARAのヒップダンスのような個性的なダンスパフォーマンスは、ダンスグループ中心のK-POP界におけるヒットの鉄則といえ、ダンスが話題になるとともに、振り付けをコピーしたファンの映像が動画サイトにあふれかえった。これは、90年代後半、安室奈美恵やSPEEDに憧れた少女たちがそのダンスをマネしたように、日本においても受け入れやすいものであった。

 また、2008年以降に登場したストリート系ダンスグループが韓国のガールズポップに革新をもたらした。もともと韓国語はラップとの相性がよく、ダンス曲にはラップが挿入されるのが定番だったが、ガールズグループにおいても、“カワイイ”ではなく“カッコいい”を追求するグループが生まれた。女性版BIGBANGとして結成された2NE1を筆頭に、韓国、中国、アメリカなどの多国籍メンバーで構成されデビューしたf(x)などは、高いカリスマ性とパワフルなパフォーマンスで高い評価を得た。また、Wonder Girlsの初期メンバーだったヒョナの所属する4Minuteは、ファッションリーダーとしても注目を集めている。

先輩男性グループとの共演と絆が妹分の支持に

 このように、韓国ガールズグループが全盛を迎えたのが2009年。すでに日本では、東方神起、BIGBANGの人気が定着したことで、K-POPに対する認知度は飛躍的に伸びていた。同時に、男性グループと同事務所のガールズグループの認知度も高まった。

 上下関係のしっかりした韓国では、ガールズグループは先輩グループの妹的ポジションとして、音楽番組やコンサート、ミュージックビデオなどで共演するのが当たり前になっている。2NE1はデビュー曲「Lollipop」でBIGBANGとコラボレート。少女時代のメンバーは、東方神起やSUPER JUNIORのミュージックビデオに出演し、KARAのメンバーも先輩格のSS501と頻繁に共演している。T-araは同じ事務所の超新星と男女混合ユニットTTLを結成し、プロジェクトシングル「TTL(Time To Love)」で、8つの音楽配信サイトのランキング1位を獲得した。

 インターネットやケーブルテレビで、韓国の歌番組やミュージックビデオをダイレクトに視聴できるようになった日本でも、男性グループと共演するガールズグループの存在は注目を浴び、特に男性グループファンをはじめ、同年代の女性層から圧倒的な支持を得た。かつてのガールズグループは男性をターゲットにしていたが、現在のガールズグループ人気を支えるのは圧倒的に女性が中心なのである。男性グループの妹的ポジションに自分を重ね、その上でファッション、セクシーさやかわいらしさ、ダンスパフォーマンスなど、同性だからこそマネしてみたいと思わせる魅力に溢れていることが人気の原動力といえる。

 当初の東方神起やBIGBANGがそうであったように、まだおぼつかない日本語で懸命に話す姿にも微笑ましさを覚える。こうした傾向は、男性向けアイドルが中心の日本のガールズグループ界にも新風を吹き込んだといえる。2010年、韓国ガールズグループは続々と日本への進出を果たし、アジア全体の音楽シーンを盛り上げているのだ。

(文:菊池昌彦)

Muzik【通常盤】

Muzik【通常盤】
4Minute
2010/05/05[シングル] 価格:\1,000(税込)
ファー・イースタン・トライブ・レコーズ 品番:UMCF-5055

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