日本には四季があり、自然が描き出す色彩とともに人々は季節の移ろいを実感してきた。そのなかでも多くの人が待ち焦がれるのが、桜の開花である。考えてみれば、ニュースをはじめとする報道番組がこぞって“開花までのカウントダウン”を逐一報告するような花なんて世界中捜しても他には例がない。この花が日本人にとって、いかに特別なものかを教えてくれる“証拠”と言っていいだろう。それだからこそ、桜にまつわる歌に対しても人々の思い入れは深く強いものがある。いうなれば、ここに掲載された作品たちは日本人の心が選んだ10曲でもあるのだ。
トップはコブクロの「桜」。でも、この曲の中の「桜」は、春に咲く、満開の「桜」ではなく、“その時”のために土の中で準備している冬の「桜」です。「桜」の儚さ、切なさを重ねて描写した鮮やかすぎる表現力は、これが“原点”というコブクロの類まれな才能を改めて感じさせもする。「今までに数え切れないくらいこの曲を聴いたし、何度聴いても飽きない名曲だと思うから」(群馬県/10代/男性)「私が卒業する時に全校生徒で歌った曲でもあり、思い出が詰まった曲です」(埼玉県/10代/女性)。桜が繰り返し花を咲かせるように、春が来るたびにその人の心の中でこの曲が流れ、人生の糧となっていく。スケールの大きな曲に人気が集まった。
このランキングにはいずれも2000年以降、すなわちここ10年以内のヒット曲が並んでいるのだが、そんな桜ソング躍進のきっかけとなった作品といえば、森山直太朗の「さくら(独唱)」だろう。「桜ソングといったらこの曲が火付け役じゃない
でしょうか」(東京都/20代/女性)「桜ソングは売れる、というのを先駆けた曲だと思うので」(兵庫県/10代/女性)という評価は、J-POPに桜の美しさをもたらしてくれたナンバーとして、これからも生き続けていくはずだ。
上位2曲が“卒業”のイメージを色濃く宿しているのに対し、桜をモチーフに男女の出会いと別れを鮮やかに描いたのがケツメイシの「さくら」だ。ドラマを観ているようなPVも話題となったが、「桜の時期に、この曲で出会い、別れをともに経験したから」(東京都/20代/男性)など、自身の恋の思い出をダブらせている人も少なくない。情景と心理が絶妙にシンクロした傑作と言えるだろう。
福山雅治の「桜坂」は、実在の場所を扱った歌であり、厳密には桜ソングという部類には入らないのかもしれないが、「春を代表する大ヒット曲だから」(京都府/10代/男性)と、そこに描かれた恋愛模様や作品の発売時期が4月だったこともあって、多くの人に桜ソングとして認知されている。
「SAKURA」に続いて「花は桜 君は美し」もランクインしたいきものがかりにも注目したい。「SAKURA」の鮮烈な印象を乗り越えて、2曲目の桜ソングを築き上げた実力は本物。今後も桜ソング発信バンドとして期待大だ。