ORICON STYLE

2006年05月24日
 2006年の福山が始動した。5月24日、ニュー・シングル「milk tea/美しき花」をリリース。TVのテーマ曲やCMソングで埋めつくされた豪華な1枚。しかし、それは表向きの華やかさにすぎない。このシングルの本当のすごさは4曲を聴き終わった後のカタルシスが教えてくれる。柔らかく、激しく、優しく変化する福山サウンドの真髄が、ここにある。
“スタンダードの魅力”に満ちている“スタンダードな存在”
 福山雅治の手から新たなカードが切り出された。待ちに待った1枚の切り札、そこには4つの楽曲が並んでいた。「milk tea」「美しき花」「LOVE TRAIN」「あの夏も 海も 空も」、いずれの曲からも耳になじみきったあのフレーズとフレーバーが蘇ってくる。

 近年の福山のディスコグラフィを見て驚いた。2001年3月の「Gang★」以降のリリースは2003年8月の「虹/ひまわり/それがすべてさ」、2004年12月の「泣いたりしないで/RED×BLUE」、2005年8月の「東京」、そして今回の「milk tea/美しい花」。5年間で5枚のシングル、つまり1年1作のペースということになる。それだけならけっして驚くべきことではない。年に1枚のアーティストなんて必ずしも珍しいことではないからだ。アルバムに目を移す。最新のオリジナル・アルバムは2001年4月25日発売の『f』。今から5年前の作品ということになる(2002年にテレビ番組発のカバー・アルバム『The Golden Oldies』をリリース)。充電期間としては十分すぎるインターバルだ。しかし、これも取り立てて“驚いた”と表現するほどのことではない。じっくりと腰をすえて制作を行う“サウンド志向”のアーティストもまた少なくないからだ。
 では、何に驚いたのか。それは彼の作品が放つ“存在感”だ。1年前のことなのに今も「東京」のやわらかな包み込むサウンドが鮮明に脳裏を駆け巡るし、「泣いたりしない」のつぶやくような歌声も、「それがすべてさ」の心弾むグルーヴ感もまったく鮮度を失っていない。いずれもが“福山の音”として強烈な光を放ち続けている。それを“スタンダード”と呼ぶのなら、まさしく、福山雅治の音楽は“スタンダードの魅力”に満ちているし、福山雅治自身もまた“スタンダードな存在”となりつつあると言える。
30代の代表作になる自信があります
 かつて山下達郎や桑田佳佑が30代後半に作った『アルチザン』『孤独の太陽』を例に挙げ、「30代後半は、ああいうアルバムを作る年代なんだと思ったんです」と福山は語っている。そして、「僕が達郎さんのアルバムを聴いて受けた衝撃と同じようなものを、このシングルが、僕の音楽なんかにぜんぜん興味のない少年に与えることができるだろうか、と思うんですよ」と自身の音楽に対する危機感を吐露してもいる。「桜坂」を200万枚売った男が、だ。1年前、このコーナーで福山雅治の妥協のない曲作りへの姿勢を取り上げた。そして今改めて思う。彼の中に“こんなもんかな”という考えのないことを。
 いずれもテレビから流れてきたおなじみのメロディが4曲。これを1枚のCDにしてしまおうとする行為こそが、すでに“こんなもんかな”からは大きく離れている。通常ならば、2曲ずつのカップリングで2枚にするか、“そこそこ”の曲との組み合わせで、4枚のシングルを1年にわたってリリースし続けることだって十分可能だ。彼の“カリスマ性”ならそれでも誰もが黙ってうなずくはず。しかし、彼は“僕の音楽なんかにぜんぜん興味のない少年に衝撃を与える”ために、存在感のある4曲のフルスペックで、若い世代に自分の音楽を問う。それが福山雅治の“音楽への取り組み方”なのである。

 今回の切り札について、彼はこう言っている。「これは次のアルバムへのプロローグ。そしてそれは30代の代表作になる自信があります」と。福山雅治。この男のポテンシャルは底を見せることがない。
(文:田井裕規)
シングル売上データ 2006年5月22日付
タイトル
発売日
推定累積
売上枚数
最高順位
東京
2005/08/17
171,804
2
泣いたりしないで/RED×BLUE
2004/12/01
196,667
1
FUKUYAMA PRESENTS 虹〜もうひとつの夏〜
(虹〜もうひとつの夏〜)
2004/07/28
116,036
4
虹(虹/ひまわり/それがすべてさ)
2003/08/27
958,859
1
Gang★
2001/03/28
219,930
3
HEY!
2000/10/12
352,930
1
桜 坂
2000/04/26
2,299,320
1
HEAVEN/Squall
1999/11/17
903,640
1
Peach!!/Heart of Xmas
1998/11/05
262,850
4
Heart/you
1998/04/30
569,990
3
Message/今このひとときが遠い夢のように
1995/10/02
939,240
1
HELLO
1995/02/06
1,870,930
1
IT'S ONLY LOVE/SORRY BABY
1994/03/24
1175570
1
All My Loving/恋人
1993/09/29
577350
2
MELODY
1993/06/02
593390
5
約束の丘
1992/10/28
92,210
15
Good night
1992/05/21
311,560
9
WOH WOW
1991/10/21
3,500
89
PROFILE
1969年2月6日、長崎県に生まれる。
1990年3月、シングル「追憶の雨の中」でデビュー。
1991年、ドラマ『あしたがあるから』で役者デビュー。
1993年、フジテレビ系TVドラマ『ひとつ屋根の下』で全国的な認知を得る。
1993年10月21日、アルバム『Calling』で自身初の首位獲得。以降、『ON AND ON』 『M Collection 風をさがしてる』で首位獲得。
1994年3月24日、シングル「IT'S ONLY LOVE/SORRY BABY」で自身初の首位獲得。以降、シングルでも「HELLO」 「Message/今このひとときが遠い夢のように」 「HEAVEN/Squall」で首位獲得。
2000年4月26日、シングル「桜坂」で首位獲得。この年を代表する名曲としてロングヒットし、社会現象となる。
2000年10月12日、シングル「HEY!」で首位獲得。
2003年8月27日、「虹/ひまわり/それがすべてさ」で首位獲得。
2005年8月17日、シングル「東京」(CX系ドラマ『スローダンス』主題歌)をリリース。

オフィシャルサイト
RELEASE

milk tea/美しき花
福山雅治
2006/05/24[シングル]
ユニバーサルミュージック
【初回限定盤DVD付き】
\1,890(税込)
UUCH-9016
CDを購入する

【通常盤】
\1,575(税込)
UUCH-5073
CDを購入する