ORICON STYLE

2005年08月03日
ayumi hamasaki SPECIAL ISSUE
fairyland c/w alterna
【初回限定盤】

浜崎あゆみ
2005/08/03[シングル]
\1,890(税込)
エイベックス・トラックス
AVCD-30808/B
fairyland c/w alterna
【通常盤】

浜崎あゆみ
2005/08/03[シングル]
\1,050(税込)
エイベックス・トラックス
AVCD-30809

心に蘇りそうな色彩豊かなナンバー

 浜崎あゆみの新作はまぶしすぎるほどの夏のきらめきの後に訪れる、ほろ苦い思い出と現実の狭間で生まれる戸惑いを鮮やかに描いた「fairyland」と、変化の中で失うものと得るものにしっかりと向き合い、そこから一歩踏み出そうとするパワーを詰め込んだ「alterna」の超強力カップリング。表記上は「fairyland c/w alterna」となるそうだ。両A面なら「fairyland/alterna」というのが普通なのだが……と思いつつ、曲を聴いてみて、この表記の意図がわかった。

 「fairyland」と「alterna」の2曲に共通して登場する要素に“喪失”がある。人は年齢を重ねるにつれて何かを得、何かを失っていくものだ。かつての自分が輝いていればいるほど、現在の自分とのギャップに目を伏せ、思い出に“思い”を馳せてしまうこともある。「あの海へと続く道のり 無邪気に笑い転げて走り抜けて行った 遠い夏の日」(fairyland)は過去であって、現実ではない。それがわかっていてもそこにしがみついてみたくなることもある。そんな人の弱さを諭すように励ますようにあゆが歌う。「残ったものは残したもので 偶然なんかじゃないよ」と。その上にしっかりと自分の脚で立って前へ進むことが大事なんだ、と語りかける。なぜなら「僕達は今 最も永遠に近い場所にいる」のだから。「fairyland」のサウンドを包むキラキラ感が、思い出を淡く包み、ちょっとほろ苦い思いもさせてくれる。夏が来るたびに心に蘇りそうな色彩豊かなナンバーだ。

心の襞(ひだ)にまで振動を起こさせる強烈なアジテーション

 一方の「alterna」では、いきなり「変化を恐れるのなら 離れたとこで見ててよ」と突き放すことで、変化に戸惑う人にショックを与える。変化に対して人は躊躇してしまうものだ。変化前の状態がその人にとって心地よければよいほど、なお一層のこと。求めるものをすべて手に入れたことへの満足感からくる、変化に伴うマイナスへの恐怖心。しかし、それに対しても彼女は、「本当に大切で 必要なモノなんて ほんのちょっとだけで 後は大抵飾りだった」と真理にズバリと切り込んでくる。トドメは「運命でも宿命でも変えてってみせようじゃないこわいモノならもうじゅうぶん見尽くして来たんだから」と言い放つ。感情の表面だけを煽るのではなく、心の襞(ひだ)にまで振動を起こさせる強烈なアジテーション。恐ろしいまでにロックだ。正直、浜崎あゆみがここまでのロック・シンガーになっているとは思わなかった。

 そんなふうにこの2曲を並べて聴いていると、“失うことの苦しみ”よりも“前へ進むことで得るもの”を重視したくなってくる。得るためには動かなくてはならないし、変わらなくてはならない。その重要性を浜崎あゆみは、1曲ではなく、2曲の異なるシチュエーションで伝えたかったのではないだろうか。だからこその、1曲1曲が独立した「fairyland/alterna」ではなく、「fairyland c/w alterna」なのだ。

 この夏、あなたは何を手に入れ何を失うのだろうか。でも、決して失うことを恐れないでもらいたい。もしも戸惑ったりためらったりすることがあっても心配はない。僕達にはこの浜崎あゆみの歌があるのだから。
(文:田井裕規)
1998年4月8日、シングル「poker face」で、デビュー。
1999年1月1日、アルバム『A Song for ××』で首位獲得。
1999年7月14日、シングル「Boys&Girls」で首位獲得。
以降、リリースの度大ヒットを記録。
日本レコードセールス大賞、日本レコード大賞、日本ゴールドディスク大賞等、数ある賞を次々と受賞。
また、“ベストジーニスト”と抜群のセンスにより音楽の枠を越えファッションでも注目され、若者のカリスマ的存在となる。
2004年12月15日、アルバム『MY STORY』で首位獲得。
2005年4月20日、シングル「STEP you/is this LOVE?」で首位獲得。
2005年8月3日、シングル「fairyland c/w alterna」をリリース。
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