ORICON STYLE

2004年7月9日
ジャンヌダルクの軌跡
ジャンヌダルクはいかにして"ヒーロー"の座を勝ち得たのか!?

  メジャー・デビューから5年、中学・高校時代の同級生で結成されたバンド、ジャンヌダルクがいま注目を浴びている。屈指のメロディ・センス、抜群のチームワークとテクニック、そして極め付けは今なお拡大し続けるファン層と前代未聞のチャート・アクション。バンドに対して人々が抱く先入観を、ことごとく打ち壊してきた“なにわの英雄”、その魅力を探る。

シングル最高位推移グラフ  日本語には“旬”という、鮮度やタイミングを的確に表わす言葉がある。食べ物の旬、鑑賞の旬、そして、アーティストにも“旬”は存在する。旬を長く持続する者もいれば、一瞬のきらめきを残す者もいる。それらを最も的確に表わしているのが、セールス・データだ。旬を過ぎたアーティストのデータはマイナス方向へと動いていくことが多い。ジャンヌダルクは、ヴィジュアル系インディーズの最終兵器という触れ込みで鳴り物入りのデビューを飾る。メジャー・デビュー曲「RED ZONE」は初動だけで3万枚を突破、1st アルバム『D・N・A』では7万7000枚をクリアし、期待に違わぬ船出を飾った。しかしその後、セールスは上昇曲線を描けず、チャートの上位に彼らを見ることは少なくなった。ほとんどの人はそこでジャンヌダルクの“旬”が終わったと感じたはずだ。ところが、ここから状況は一変する。


  2002年1月にリリースされた3rd アルバム『GAIA』がオリコン・ウィークリーアルバムチャートで初登場6位を記録。彼らにとっては、シングル・アルバムを通じて初のトップ10入りを果たし、自己最高の順位となった。これを境にシングルは、アルバムからのリカットシングル以外は必ずTOP10入りを果たすようになる。今年に入って立て続けにリリースされた5枚のシングルも揃って好結果を得ている。2004年第1弾シングル「FREEDOM」がオリコン・ウィークリーシングルチャート初登場4位。その2週間後に発売された「Kiss Me」が同5位。メジャーデビュー5周年記念日にあたる5月19日からは、支えてくれたすべての人たちに感謝の気持ちを込めてサンキュー価格¥390で3週連続リリースしたシングルも、「DOLLS」が同7位、「ROMANCヨ」がシングル最高位となる3位、続く「BLACK JACK」では同6位という結果となった。そんな絶好調の真っ只中でリリースされる最新アルバム『ARCADIA』が、どんな数字をたたき出すのかに注目が集まるのも当然の成り行きだ。そして、これを記している7月9日現在、7月7日発売の『ARCADIA』の2日間のデイリーアルバムチャートがでているが、なんと2日間とも『ARCADIA』が1位を記録しているのだ。

アルバム最高位推移グラフ  では、なぜ彼らはデータ上で再浮上を遂げたのだろうか。多くの人が知るように、作品のセールスが下降に入るとそこから脱却するのは容易なことではない。ところが彼らは、それをいとも簡単にやってのけたのである。その謎を解くポイントは、彼らのファン層にある。通常、ジャンヌダルクのようなバンドは、女性ファン層が中心となる。だが、彼らはそこに男性ファンを上乗せした。
前述のオリコン初登場6位を記録した3rd アルバム『GAIA』を受けての2002年春のツアー以降、男性ファンが激増する。この現象は1年後にリリースされオリコン初登場4位を記録した4th アルバム『ANOTHER STORY』を受けての2003年春のツアーでも加速する。そして、2003年夏に行われたライブハウスツアーのなかで男性限定ライヴ“男尻Night"(ダンジリナイト)を行なうまでに男性ファンを拡大させたのだ。

現段階でファンの比率は男4:女6、しかも中学、高校、大学生、社会人に至るまで実に幅広い年齢を網羅しているという。男性ファンの獲得にここまで成功したのは、ヴォーカルのyasuが言うように「容姿や外見だけではなく、ジャンヌダルクの“音楽”を正当に評価されたから」に他ならない。そして、メジャーデビュー5周年を迎えた今も、飛躍し続けることができるのは、ジャンヌダルクが追求する“音楽”が“ファッション”ではなく“スタイル”だからだ。つまり、彼らから発せられる<メロディ><声><詞><曲><演奏テクニック><ライブ>が普遍的であるということである。
もともとそのメロディアスで口ずさみやすい楽曲には定評があったバンドだが、"ヴィジュアル系"と勝手にカテゴライズされ、先入観と偏見から"聴かず嫌い"という人が非常に多かったことは事実である。しかし、そうした人たちを徐々に取り込み、"ロックバンド"としてその"スタイル"を浸透させたとき、再びチャートが活性化したと捉えることができる。
女性からは“LOVE(憧れ)”を、男性からは“LIKE(目標)”を抱かれるようになったジャンヌダルク。デビュー5周年の記念でリリースされた『390円シングル』や母校枚方西高校でのライヴを収めた青春グラフィティー映画『HIRAKATA』の公開など、貪欲なまでにまだ彼らの音楽との接点がない人々へのアプローチを敢行し続ける彼ら。その輪が広がり続けるかぎり、ジャンヌダルクの“旬”はまだまだ続いていくのだろう。
シングル最高位
  タイトル 発売日 最高位
1st RED ZONE 1999/5/19 15
2nd Lunatic Gate 1999/9/22 11
3rd EDEN〜君がいない〜 2000/1/13 15
4th Heaven's Place/Vanity(1st Album リカットシングル) 2000/4/12 25
5th will〜地図にない場所〜 2000/7/26 19
6th Mysterious 2000/11/8 22
7th Dry? 2001/1/31 22
8th NEO VENUS(2nd Album リカットシングル) 2001/4/25 44
9th seed 2001/7/25 20
10th シルビア 2001/10/24 20
11th feel the wind 2001/12/12 16
12th Shining ray 2002/8/7 8
13th マリアの爪痕 2002/11/20 8
14th 霞ゆく空背にして 2003/1/16 6
15th Rainy〜愛の調べ〜(4th Album リカットシングル) 2003/5/8 14
16th 餓えた太陽 2003/8/20 7
17th FREEDOM 2004/3/24 4
18th Kiss Me 2004/4/7 5
19th DOLLS 2004/5/19 7
20th ROMANC∃ 2004/5/26 3
21th BLACK JACK 2004/6/2 6
アルバム最高位
  タイトル 発売日 最高位
1st D・N・A 2000/3/8 11
2nd Z-HARD 2001/2/28 16
3rd GAIA 2002/1/23 6
4th ANOTHER STORY 2003/2/13 4
ジャンヌダルク特質敵なプロモーション活動
2002.09.07
記念すべき100本目のワンマンライブを2回目となる日本武道館で実施。チケットは即日完売!!
2003.02.13
バンドとして初のコンセプトアルバム「ANOTHER STORY」を発売。
ヴォーカルyasuによるオリジナルストーリーをブックレットと歌詞の世界観と楽曲により表現!!
2003.02.13
コンセプトアルバム「ANOTHER STORY」の世界観をさらに深く掘り下げたヴォーカルyasuによる書き下ろし小説「ANOTHER STORY」を同日発売!!ミュージシャンの描く小説としては異例の3万部を売上げる。
2003.08.21
大阪BIG CATにて初の男性限定ライブ「男尻Night」(ダンジリナイト)を決行!!チケットは即日完売!!
2003.10.04
新宿リキッドルームにて男性限定ライブ「男尻Night」を決行!!チケット1,000枚は即日完売!!
不況に喘ぐ音楽業界のなかで<男>だけを1,000人集められるロックバンドとして、音楽業界関係者を驚嘆させた。
2004.05.01
ジャンヌダルクのコピーバンド大会を渋谷公会堂にて開催!!
世の中には、ジャンヌダルクをコピーしているアマチュアバンドはいったいどれくらいいるのだろうか?というメンバーの素朴な疑問から実現に至る。実に400組のバンドから応募が殺到!!
2004.05
映画「HIRAKATA」公開!!
映画「HIRAKATA」とは、メンバーの母校である大阪府立枚方西高校が2006年3月をもって統廃合となることから、「3学年が揃う最後の年(2003年)なので、ライブに来ていただけないでしょうか?」という在校生からの1通の手紙がきっかけとなり実現。
ジャンヌダルクのメンバーは演技を一切せず、彼らのインタビューと昨年11月に母校で行われたシークレットライブを軸に、彼らに関わる人々の物語を俳優陣が演じるという、ノンフィクションとフィクションが融合した今までの日本映画にはない斬新なスタイルの映画である。
ジャンヌダルクのメンバーが育った街である"枚方"で最初の公開を行いたいというメンバーの思いから、5/8&9に枚方市民会館大ホールにて先行上映を行う。2日間で5,500人を動員。
東京では、5/22から6/4までテアトル新宿にて公開。大盛況大反響のうちに楽日を迎えたため、異例ではあるが、急遽7/24から7/30まで1週間の追加上映が決まる!!
2004.05.19
メジャーデビュー5周年記念日のこの日より、支えてくれたすべての人々に感謝の気持ちを込めて、3週連続でサンキュー価格¥390(税込)にてシングルをリリース!!
2004.07.07
5th アルバム「ARCADIA」を発売するにあたり、大ブレイク街道爆進中のお笑いコンビ『カンニング』に「ARCADIA」のテレビCM出演を依頼。テレビCMの常識を覆す破天荒な内容で各方面より大絶賛される。
音楽評論家市川哲史がジャンヌについて語る

  今年の3月初旬、Janne Da Arcに同月24日発売のニューシングル“FREEDOM”用のインタヴューをしてたら、「実は今、その2週後リリースのシングルのレコーディング中で、2ヶ月後には3週連続でシングル3枚出して、直後にアルバムも出すんですよーっ」と、ヤケクソのように笑いながらyasuに告白されたのを思い出す。そういえば、「しかもアルバム2枚同時に出すかも(泣)」と人間の臨死点を完全に超えるような話もあったなあ。

  実際Janneは僅か2ヶ月半の間に、シングルを計5枚リリースしたことになる。しかもその全てがトップ10にチャートインしたのだから、言っちゃあなんだがかなり驚かされた私である。実はヴィジュアル系時代よりも、売れてるのだ。「え、Janneってそんなに人気バンドだったのか!?」と。すまん。

  もはやヴィジュアル系ブームが沈静化してしまった世紀末に、<最後の大物>として登場し健闘したものの、時代の波に勝てなかった時期もあった彼らだ。ところが地道にというか、「実は元ユニコーン好きの、ヴィジュアル系ではない」5人なだけに、自らの<キャッチーな80年代メタル大好き>体質に忠実に楽曲を重ねてたら、ちゃんとシーンに自分達のポジションを開拓できてたのである。

  マニアックなことやってるのにキャッチーに聴こえてしまう、シングルにおける特異体質。真面目な楽器少年達が客席の4割を占める、いまどき珍しいライヴ。ここ数年のロックシーンでぽっかり空いてた穴に、見事にハマったのである。

  レコード会社の草の根的な戦略も、正しかった。音専誌やタイアップの媒体効果を期待できない昨今だからもうアテにはせず、作品のリリース自体を「プロモーション」として機能させたのだから。

  今年の超過密リリースはまさにその典型だし、数々の「ここまでやるの!?」的なCD特典もそうだろう。バックステージ御招待(!)にトレーディング・カードにピクチャー・レーベル、更にはシークレット・ライヴにだって行けちゃうのだ。ここまで奉仕精神に溢れたロックバンドが、かつていたか?

  そこで改めてセールスの数字を見てみると、累計は勿論だが初動枚数自体も着実に伸びている。こうしたリリースとプロモーションの一体化が、間違いなくJanneのコア・ファン層自体を増やしているのだ。他のバンドがコア層の目減りに四苦八苦してる中、これは異例中の異例だろう。あとはこっから一般ユーザーを取り込んでいけばいいわけで、Janneの前途はまだまだ明るいと見た。

  しかしそれもこれも、「ロックバンドがここまですることはねえ!」的な瑣末なこだわりを持たない彼らだからこその展開なわけで、その音同様カジュアルな世界観を持つバンド自体が偉いのである。

  今後私は敬意を表してこう言おう、「Janne Da Arcは<カジュアル系>だ」と。
ジャンヌダルクALL
ARCADIA 2004.07.07 onSale
  ジャンヌダルクの詳しい情報、携帯オフィシャルサイトについては、オフィシャルWEBサイトにて
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