2011年 映画興行ランキングTOP10

1位 ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 96億円
7月15日公開
監督:デビッド・イェーツ
出演:ダニエル・ラドクリフ

2位 パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉 88億円
5月20日公開
監督:ロブ・マーシャル
出演:ジョニー・デップ

3位 ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 68億円
2010年11月19日公開
監督:デビッド・イェーツ
出演:ダニエル・ラドクリフ

4位 コクリコ坂から 44億6000万円
7月16日公開
監督:宮崎吾朗  声の出演:岡田准一

5位 劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ/ビクティニと黒き英雄 ゼクロム/ビクティニと白き英雄 レシラム 43億3000万円(2本計)
7月16日公開
監督:湯山邦彦  声の出演:松本梨香

6位 トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン 42億5000万円
7月29日公開
監督:マイケル・ベイ
出演:シャイア・ラブーフ

7位 SPACE BATTLESHIP ヤマト 41億円
2010年12月1日公開
監督:山崎貴  出演:木村拓哉

8位(暫定) ステキな金縛り 41〜45億円(推定)
10月29日公開
監督:三谷幸喜インタビュー
出演:深津絵里

9位 GANTZ 34億5000万円
1月29日公開
監督:佐藤信介  出演:二宮和也
松山ケンイチインタビュー
PART.1 / PART.2

10位 SP 革命篇 33億9000万円
3月12日公開
監督:波多野貴文  出演:岡田准一
真木よう子インタビュー

※2011年1月〜11月までの推定興行収入

厳しい映画界を象徴する3D不振

 さあ、大変なことになった。映画界が緊急事態である。映画界全体の2010年の興行収入が2207億円。2011年は、なんと2000億円を大きく下回り、1800億円前後になりそうなのだという(それ以下もありえる)。入場人員で言えば、昨年の1億7435万9000人から、1億4000万人台となる公算だから、大変な事態である。

 はっきりしていることがある。3D映画(正確には3D版)の興行に黄色信号が灯ったことだ。昨年の作品別興収上位10本(邦画、洋画)のうち、6本が3D映画。3本は、100億円を超えた。しかし、今年は上位10本中3本が3D映画であったが、100億円を上回った作品は1本もなかった。しかも、上位の3本はこれまで実績のあったシリーズものばかり。3Dということでの恩恵は、極めて限定的であった。

 『グリーン・ホーネット』『カンフー・パンダ2』『グリーン・ランタン』『マイティ・ソー』などの3D映画は、いずれもヒットの手ごたえからは程遠い作品ばかりだった。4位の『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』など、まずまずの成果を収めた作品もあったが、総体的に3D映画のへの関心が弱くなったことは、上位作品ばかりではなく、他の作品の低興収からも明らかであった。

邦画がみせた新しさと成果

 邦画に目を向ければ、こちらもやはり大変な事態(すでに3回目の“大変”)。50億円を超えた作品が1本もなかったからだ。強い興行力の作品が少なかったと言ってしまえばそれまでだが、要は人々の観たいという意欲を強くそそるような作品の数がかなり限られたということだろう。

 テレビ局主導の邦画製作作品を振り返れば、こちらの原因も実にはっきりしている。昨年大ヒットの『海猿』や『踊る大捜査線』に匹敵しえる強力作品がなかった。『ステキな金縛り』や『GANTZ』2部作、『SP 革命篇』などがかろうじて面目を保ったが、期待はずれに終わった作品も多かった。20億円に届かず、前作の興収から大幅ダウンした『アンダルシア 女神の報復』。おもしろい試みであったものの、目標に届かなかった『あしたのジョー』。NHKドラマの映画化である『セカンドバージン』や『劇場版サラリーマンNEO(笑)』なども、厳しい結果に終わった。

 これらテレビ局主導の作品や、テレビドラマの映画化作品と比較して、大手映画会社3社から今後につながる意欲作として、『モテキ』『八日目の蝉』『探偵はBARにいる』などが登場したのは、まことに頼もしい現象であった。異色恋愛ドラマ、感動的要素を併せもつサスペンス、コミカルな探偵ものと、それぞれ中身は違うが、いずれも己々のジャンルにおいて新しさが垣間見られ、しっかりとした興行の成果をみせた。

2012年の映画界を大きく左右するアニメ

 邦画のこのような作品群に、洋画の『ブラック・スワン』『猿の惑星 創世記』『英国王のスピーチ』などのヒット作を並べてみると、人々が関心をもち、観たがっている作品の外観が、少し明らかになってくる。新鮮さ、意外性とともに、主要映画賞での受賞なども大きなポイントとなっているのがわかる。ただ、そうした作品はとくに洋画で少なくなってきたのが、今の映画界の大きな問題として立ちはだかる。

 アニメも、重要な位置づけを構成している。昨年の『借りぐらしのアリエッティ』の成績からは大幅ダウンしたが、スタジオジブリの『コクリコ坂から』をはじめ、『ドラえもん』や『名探偵コナン』など定番アニメの興行的な安定感は健在であった。2012年の正月作品として、この12月3日から公開されたばかりの『映画けいおん!』も好調な出足をみせ、来年はさらに『サマーウォーズ』で知られる細田守監督の新作『おおかみこどもの雨と雪』や、『エヴァンゲリヲン』の新作が登場することから、アニメの今後は、映画界の動向を大きく左右するとさえ言っていい。

 さて、来年であるが、今年の大幅な落ち込みに歯止めがかかるのか。いや、この落ち込みはさらなる映画界暗黒時代の幕開けに過ぎないのか。どちらに転ぶにしろ、その動向は大注目と言って差し支えない。邦画、洋画合わせた映画の質的転換、観客の嗜好の多様性など、言葉にすると何ほどもないが、両者のその行く手のなかで、映画は大転換のときを迎えたのだ。まさに大変な時代が到来した。

(映画ジャーナリスト・大高宏雄)



『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1,2』2011 Warner Bros. Ent. Harry Potter Publishing Rights (C) J.K.R. Harry Potter characters, names and related indicia are trademarks of and (C) Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.『コクリコ坂から』(C)2011 高橋千鶴・佐山哲郎・GNDHDDT『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』(C)TR3『劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ』(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C) Pokemon (C) 2011 ピカチュウプロジェクト『ステキな金縛り』(C)2011フジテレビ 東宝『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(C)2010 SPACE BATTLESHIP ヤマト 製作委員会『GANTZ』(C)奥浩哉/集英社(C)2011「GANTZ」FILM PARTNERS『SP 革命篇』2011「SP」プロジェクトチーム

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