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(更新: ORICON NEWS

佐藤健 SPECIAL INTERVIEW 観終わったあとに残る このざわついた気持ちはなんだろう

日本だけでなく世界で高い評価を受け熱烈なファンをもつ黒沢清監督が、人気実力ともにNo.1の若手俳優・佐藤健と綾瀬はるかをW主演に迎えて描いた、現実と仮想が交錯するサスペンス『リアル〜完全なる首長竜の日〜』。ラブストーリー的な要素もはらみつつその世界を覆いつくすのは、まさに黒沢ワールドの空気感……だけど、次第にそれだけではない不思議な感覚に襲われ、驚愕の展開を目の当たりにする!難役に挑んだ佐藤がまっすぐな瞳で今思うことを語る!!

できるだけシンプルな芝居を心がけました

──アクション映画『るろうに剣心』の次がこの『リアル〜完全なる首長竜の日〜』ということになりますが、まったくアプローチの仕方が違うのではないでしょうか?
【佐藤】 違いますね。『るろうに剣心』の場合は原作の漫画があって、しかも好きなキャラクターだったので、最初から自分のなかに理想があったんですよ。だから、いかに理想に近づけていくか、体現できるか、ということでした。そのために監督に意見を聞いたり、衣装についてのリクエストを出したりしました。今回の場合は、まったく何もない状態から始めました。黒沢監督からは「普通にやってください」と言われただけで(笑)。脚本を読んで、衣装を着てみて、とにかく無駄なことをしたくないなと思いました。脚本の時点ですごくおもしろかったし、黒沢監督の作品に出られるというだけでうれしかったですし。自分が無駄なことをやらないようにした方が、映画はおもしろくなるんじゃないかと思ったんです。省いて省いて、できるだけシンプルな芝居を心がけました。

──そこまでシンプルにやろうと思うのは珍しいことですか?
【佐藤】 そうですね。ここまでシンプルにやったのは初めてです。監督の世界観を壊したくないというか。だから、監督がこうしてほしいと言ってくださるときは喜んでやりましたし、監督が何も言わないときはフラットな状態で芝居をするようにしました。

──黒沢監督は感情面の演出をしないと言われていますが。
【佐藤】 まったくなかったです。でも、そういう手法はあるじゃないですか。悲しくてもあえてそういう芝居はしないという。だから、とくに戸惑うことはなかったです。自分からも監督に質問しませんでした。とりあえずやってみて、何か違うようであれば監督から指示が出るので、それに対応するという感じでした。

──黒沢清監督の作品にはどういうイメージを持っていましたか?
【佐藤】 『トウキョウソナタ』とか、何本か観ていて、すごく日本映画っぽいなという印象を持っていました。派手ではない、でも何かあるんじゃないかと探させるような作品だと思いました。とにかく派手なアクションが目立つアメリカ映画とは対極にあるような映画だと。あと、この作品に入る前に『贖罪』も観ました。

自分が正しいのかという不安を抱きながら

──原作では姉弟という設定だったのが、映画では恋人に変わっていますね。
【佐藤】 恋人に変わったことでラブストーリーの要素も入ったのは間違いないけど、あえてジャンル分けするならやっぱりミステリー、サスペンスだと思って脚本を読みました。とにかく先の読めない展開ですし。ただ、脚本を読んだときと、完成した映画を観たときの印象はまったく違いましたね。

──どう印象が変わったのでしょうか?
【佐藤】 脚本の時点ではもっとわかりやすい、爽快感が残るような作品だという印象でした。でも完成した映画は、観終わったあとに何ともいえないモヤモヤが残る。このざわついた気持ちは何なんだろうという感じで。実は、現場でもそういう印象をなんとなく感じていたんですよ。セットや画の色味とか、なんともいえない違和感を覚えて、ちょっと興奮状態になっていたというか、落ち着いていられなかったですね。自分がやっていることが正しいのかという不安を抱きながらやっていました。完成した映画を観たら、そういう面では反省するところもありましたけど、どこまでいっても黒沢監督という作品になっていたので、その世界観を壊すことなくできたかなという達成感はあります。

──浩市というキャラクターを演じるにあたって、二面性を表現する必要があったと思うんですが、難しくなかったですか?
【佐藤】 どこかで急に変わるという捉え方はしませんでした。追い込まれていって、どんどん変わっていく。グラデーションのように演じ分けられればいいなと思ってやっていました。

──共演者についておうかがいしたいんですが、綾瀬はるかさんとは初共演ですよね? 天然キャラというイメージもありますが。
【佐藤】 天然エピソードを挙げようと思っても、日常すぎて(笑)。もっとおっとりしている方かなと思っていたんですけど、実際は活発な方でした。綾瀬さんも不安を感じながらやっていたみたいで、「私、大丈夫かな?」と聞かれて、「あなたは大丈夫だけど、俺やばくない?」とか、確認し合っていましたね(笑)。他に共演シーンが多かったのは、中谷さん、染谷(将太)くんですね。もっと一緒にやりたいと思いました。中谷さんの芝居を生で見て感じるものがありましたね。

──首長竜も出てきますけど、現場は当然何もない状態だったわけですよね?
【佐藤】 CGですからね。映画を観て、すごくリアルで驚きました。実物を見たことがないから、何がリアルかわからないですけど(笑)。子どもの頃は恐竜が好きだったので、首長竜と共演できて感無量です(笑)。

──昏睡状態の人の意識に入り込むセンシングというものについてはどう思いましたか?
【佐藤】 あながちないともいえない技術だと思うので、おもしろいと思いました。浩市みたいに、いざやるということになったら恐さも出てくると思うんですけど、今はそこまで真剣に考えなくてもいい立場ですからね(笑)。こういう技術ができたらおもしろいだろうなとすごく興味を持ちました。
(文:岡 大/撮り下ろし写真:逢坂 聡)

映画情報

リアル〜完全なる首長竜の日〜

 幼なじみで恋人同士の浩市と淳美。だが1年前、漫画家の淳美は自殺未遂により昏睡状態に陥ってしまう。浩市は淳美を目覚めさせるため、<センシング>という最新医療によって彼女の脳内へ入っていく。「なぜ自殺したのか」という浩市の問いに、意識の中の淳美は「首長竜の絵を探してきてほしい」と頼むばかりだった。首長竜の絵を探しながら、何度も彼女の意識の中へ入っていき対話を続ける浩市。そんな彼の前に、見覚えのない少年の幻覚が現れるようになる…。<首長竜>と<少年>の謎。その謎の先に、15年前にふたりが封印したある事件があった。浩市は淳美を救うことが出来るのか――。

監督:黒沢清
出演者:佐藤健 綾瀬はるか オダギリジョー 染谷将太 堀部圭亮
【OFFICIAL SITE】
2013年6月1日(土)全国東宝系ロードショー
(C)2013「リアル〜完全なる首長竜の日〜」製作委員会

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『リアル〜完全なる首長竜の日〜』映画公式サイト

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