気鋭の映画作家として注目を集めた板尾創路の監督第2作は、古典落語『粗忽長屋』を題材にし、ファンタジックな騒動を独自の世界観で描き出す『月光ノ仮面』。そんな本作でヒロインを演じる石原さとみと板尾監督にリレーインタビュー!!
──弥生という女性を演じる上で板尾監督からどのようなリクエストがありましたか?
【石原】
『板尾創路の脱獄王』(2010年)を先に観て、漠然とではありますが板尾監督の世界観が理解できていたので、脚本を読んだときからおもしろくなりそうだなって思っていたことを覚えています。最初の打ち合わせでは、「作品のなかで感情が一番動く人物が弥生なので、観客はそこに感情移入するから」と板尾監督から説明を受けました。それと、浅野(忠信)さん演じる岡本太郎さんが溺れているシーンでは、「命綱を手渡す場面が弥生にとって一番重要になる」とも言われていました。
──板尾監督らしいシュールな世界観ですよね。撮影の進め方も独特な感じでしたか?
【石原】
作品全体の説明というよりは、個々のシーンの説明を丁寧にされていました。撮影を重ねていくなかでシーンが変わったこともありました。あるシーンの涙は、「悲しい涙でもうれしい涙でもなくて、悔しい涙だから」と解説をしていただいて。また、お守りを板尾さん演じる主人公にぶつけるシーンでは、「投げつけた後にひと言ほしい」とか、そういう細かい微調整をシーンごとにやっていった感じですね。演じる側にとっても言葉では説明しにくい作品だったので、そういう意味でも初めての体験は多かったと思います。
──板尾監督にお話をうかがいましたが、確かに作品全体の説明はなかったですね(笑)。
【石原】
おそらくイメージが固まってしまうと、人って想像しなくなるからだと思います。ひとつの方向でしか観られないと、もったいないじゃないですか。その人が経験したこと、今抱いていること、今抱えている悩み、そういう想いがリンクして映画を観て初めて、その人なりの『月光ノ仮面』が出来上がる気がします。観た人が意味を想像することが映画の醍醐味だと思うので、それで教えてくれなかったのでしょうね(笑)。
──『月光ノ仮面』を待っている皆さまへひと言お願いします!
【石原】
映画ってこういうものであってほしいなと思いましたね。映画館のスクリーンという別世界のなかで板尾ワールドに集中したときに、このダークファンタジーは何?と驚くと思います(笑)。まさに、テレビドラマや舞台では味わえない作品。そういうことを客席で考えられる映画は、映画館で観る価値がある、映画ならではのおもしろさがあります。映画が大好きな人にはとくに観てほしい、そういう映画になったと思います。
(文:鴇田 崇/写真:金子麻也)
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石原さとみ
第27回ホリプロタレントスカウトキャラバン(2002年)でグランプリを獲得。
2003年、映画『わたしのグランパ』のヒロイン役でデビュー。以降、テレビドラマ、映画、CMなど幅広く活躍する。
2012年は、映画『月光ノ仮面』(1月14日公開)『貞子3D』(5月12日公開)『カラスの親指』(秋公開予定)などに出演している。
ストーリー:
舞台は戦後、昭和22年。戦死したと伝えられた男が帰郷、男の正体は人気・実力ともに認められた落語家“森乃家うさぎ”。戦争で負った傷のため、顔を包帯で包み、一切の記憶を失くしていた。だがかすかな記憶を辿るように、男は空ろな口調で、得意としていた落語“粗忽長屋”をつぶやくのだった―。
監督:板尾創路
出演:板尾創路 浅野忠信 石原さとみ 前田吟
2012年1月14日(土)より角川シネマ有楽町、シアターN渋谷ほか全国公開
(C)2011「月光ノ仮面」製作委員会

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