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2010年09月29日
柴咲コウが、映画『大奥』で初の時代劇に挑み、男女が入れ替わる世界で、美しい男たちが仕える女将軍を演じている。気が強いところが役と共通すると語る柴咲だが、若い男たちの初々しい姿には、自身の女としての足りないところを学んだ!?撮影秘話と赤裸々な思いを告白してくれた!!

非現実的な感覚はなくなじんだ


── 徳川吉宗役が決まったときの心境から聞かせてください。
【柴咲】 最初にお話をいただいたときは、「これは私じゃないんじゃないか」と思ったんです。でも、よくよく話を聞いてみると、「よしながふみさん(原作者)のたっての希望」ということをいわれて。原作コミックを書いている方に「柴咲さんがいい」っていってもらえることは、やっぱり嬉しいじゃないですか。だから、それはもう、私でいいのであれば、いうこときいちゃいます!みたいな感じでやらせていただくことになって(笑)。
── 「私でいいのかな?」と感じた理由は?
【柴咲】 ビジュアルですね。原作のマンガを読むと、もうちょっとすっきりした顔立ちかな?って思っていたんです。ただ、実写となると、マンガよりもシャープに見えやすいし、衣装、メイクなどで近付けられるんじゃないかと思って。あとは、顔の作りではなく、顔つきですね。役に入って、自分が近付けば、自ずと原作の絵面と似たようになってくるかなって思っていました。
── 柴咲さんにとっては、映画出演23作目にして、初の時代劇になります。時代劇にはどんなイメージがありました?
【柴咲】 水戸黄門とか(笑)、テレビでやっているような時代劇の印象しかなかったですね。ただ、いわゆる時代劇というのは、わざと古めかしくしている感があるなと思ってて。でも、当時の人たちにとっては、髪型にしても、服にしても、時代の流れや流行があったと思うんですね。だから、私は、形から入るのではなくて、この人たちは普通に生きていてこうなったんだなっていうことを考える感じでやろうと。例えば、お洋服でも、70年代や80年代のブームが再来した時に、彼らが良かったと感じていた理由はそういうことかって、自分で着てみてわかる感じというか……。
── 着てみてわかったことは?
【柴咲】 和服っていうのはいまだにあって。日常着として着ている人もいるし、夏だと浴衣を着たりするじゃないですか。だから、非現実的という感覚はなく、すっとなじみましたね。逆に、和服を着ると心が落ち着くっていうなにかもあって。それは、頭で考えていることというよりは、和室が落ち着くみたいな、感覚的なものなんですけど。
── 実際に時代劇に初挑戦した感想は?
【柴咲】 もちろん、いつもと違うカッコだし、セリフのいい回しも違うから、普段と違うぞっていう意識のなかでやっていたところはあったんですけど、「時代劇をやるぞ!」っていう覚悟があったわけではなくて。当時、これを普通として生きていた人たちの心情をどう切り取るかっていう方がすごく大事だなって思いましたね。

自分のなかにある強気な感じを


── 8代目将軍である吉宗役をどう演じようと思いました?
【柴咲】 私に足りない部分っていうのが、自分の意思はすごくあるのに、それをいえないっていうところなんですね。実は自分の話をするのが苦手なんですよ。インタビューだと話せるんですけど、例えば、普通に友だちと話をしているなかで、「私はこういう人なの!」っていえるタイプではないんです。そういうところは、自分とは違うキャラクターかなって感じていたんですけど、根底にある情熱は似ているなと思って。自分のためではなく、まず、みんなのためになにができるかを考えたいっていうところは共感できたし、そこをきちっと打ち出していけたらなって思っていました。あと、強気な感じも自分のなかにあるものを利用できるかなって。
── 強気な感じは共通している?
【柴咲】 そうですね。気は強いんですよ(笑)。そして、目的がひとつあると、その目的を達成するために、ちょっと嫌われてもいいから、自分の意見を主張しようみたいなのが出るんですね。ただ、仕事のうえでの目的が一切なくなって、私個人だけになったときに、どう表現していいかわからなくなる。吉宗は、国を治めるだけあって、そんな小さな部分では迷ったりしていないと思うんですけど。
── 柴咲さんの演じる吉宗には、この国を任せたいと思う安心感がありました。
【柴咲】 そう見えて欲しいなって思っていたし、今の政治にも通ずるメッセージ性だったりもするかなって思っていました。そうじゃないと、ただ強気なだけのキャラクターになっちゃうじゃないですか。だから、この映画を観て、こういう人がトップにいる国づくり、町づくりはいいなって少しでも感じてもらえたらと。
── 3000人の男子を目の前にした感想はいかがですか?
【柴咲】 実際は3000人もいないんですけどね(笑)。鈴廊下で男性だけがずらっと並んだ感じっていうのは、なんか不思議な感じがしましたけど、決して公私混同してないですからね(笑)。やっぱり、将軍吉宗として、その場にどう立てるかっていうことばっかり考えていました。
── 不思議な感じっていうのをもう少し詳しく教えてください。
【柴咲】 うーん……私は、もしこういう状況になったら、人はつけあがるのかな?っていうことばかり考えていましたね。しかも、男と女が入れ替わっている状態で、男がひれふしているという構図なので、“しもべ”みたいに勘違いする人もいるだろうなと思いましたね。とにかく、なんか変だったんですよ。“見下ろしてなんぼ”みたいな普通ではないところで生きている人たちでもあるし、政治はちょっと黒くないとできないなって思った瞬間でもありました。
── 最後に、完成した映画を観た感想はいかがですか?
【柴咲】 映画冒頭の男の子たちのキャピキャピしたやり取りは、すごく興味深かったし、新鮮でしたね。自分も撮影では遭遇していないので、どんな画になるんだろうって期待していた部分でもあったんですけど。とくに、ニノと中村蒼くんのやり取りはキュンとなっちゃって。逆に女として、私は足りているんだろうか?って学んじゃったし(笑)。すごくポップな映画になっているんじゃないかと思います。

(文:永堀アツオ/撮り下ろし写真:逢坂 聡)

柴咲コウ
1981年8月5日生まれ。東京都出身。
1998年デビュー。テレビドラマ、映画への出演を重ね、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞、新人賞をはじめとする多数の映画賞を受賞。2003年以降、『黄泉がえり』(2003年)『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)など大ヒット作への出演を続けている。2010年は、『食堂かたつむり』『大奥』などに出演。
また、歌手としても2002年にデビュー。2010年11月3日、シングル「EUPHORIA」をリリースする。

【ストーリー】
男だけを襲う謎の疫病が席巻した江戸、徳川の時代――。日本は、8割の男が死に至り、その数、実に女の4分の1に減少していた。全ての重要な仕事に女が占め、男が体を売る男女逆転の浮世――。そんな世で最も贅沢を尽くした場所。それは、1人の女将軍に、3000人の美しき男たちが仕える女人禁制の男の園、大奥だった。そしていま、ひとりの若き侍が、その扉を開けようとしていた。

監督:金子文紀
出演:二宮和也 柴咲コウ 堀北真希 大倉忠義 中村蒼
2010年10月1日(金)より丸の内ピカデリー他全国ロードショー
(C)2010 男女逆転『大奥』製作委員会

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