ジャガーの妙味はアシにあり
ジャガーの2ドアクーペ/コンバーチブル「Fタイプ」に、2リッター直4ターボエンジンを搭載した新モデルが登場。ジャガー・ランドローバーの未来を担う新エンジンの出来栄えと、新しい心臓を得たFタイプの走りを、ノルウェーから報告する。
およそ70年ぶりの直4ガソリンエンジン
ジャガーといえば英国を代表するスポーツカーブランド。戦後、そのイメージが醸成されていく過程で大きな役割を果たしたのが、同社が開発したXK型DOHC直列6気筒ユニットだ。
「XK120」に「Eタイプ」「マーク2」系に「XJ」と、搭載されたモデルを追えば、それ自体がジャガーの輝かしい時代のカタログとなる。幻となったレーシングカー「XJ13」に端を発する12気筒エンジンの歴史も、もとをたどればXK型のエンジニアリングが大きく関与するなど、自動車のエンジン史においてもそれは欠くことができない名機と言って過言ではない。
そんな歴史的エンジンの原点に、6気筒と並んでDOHC直列4気筒ユニットがあったことはあまり知られていないのではないだろうか。XK120と同じシャシー&ボディーにそれを搭載し、「XK100」を名乗ったそのモデルは販売期間も非常に短く、僕自身も現物にはお目にかかったことがない。
思えばジャガーが自前で4気筒のガソリンエンジンを作るのはそれ以来、すなわち70年ぶりくらいのことではないか。同門であるランドローバーとの共用を前提に開発された新しい「インジニウム」ユニットは、「XE」や「Fペース」などに搭載されるディーゼルエンジンとボア×ストロークを同じくする、アルミブロックの2リッター直噴ターボで、内部部品や補機類などの共通化を実現している。また排気量の拡大縮小や、将来的な電動化に対する柔軟性も見越されているなど、同社においてのモジュラー化の要となることは間違いない。それを生産するのは、イギリス中部のウエスト・ミッドランズに10億ポンドの巨費を投じて作られた新しいエンジン工場だ。...