華やかなる伝統の継承者
セダン、ステーションワゴンに続き、「メルセデス・ベンツEクラス クーペ」がいよいよ最新世代へとフルモデルチェンジ。W114以来の伝統を誇る、スリーポインテッドスターのミディアムクーペの実力を、スペインはカタロニアで試した。
メルセデス製クーペの“顔”
怒涛(どとう)のラインナップ拡大を続けるドイツ系御三家にあって、メルセデスはC・E・Sクラスと、クーペ&カブリオレのラインナップをとうとうフルコンプしてしまった。いくらブランド・ロイヤルティーが高いとはいえ、それでなくても狭いマーケットで果たしてどう売り分けようというのか。はたで見ているこっちが心配になる。
もっとも、メルセデスの側にも言い分はあるだろう。ウチが直球のクーペ作らんと、どこがやるんですかと。
恐らく会社の片隅にあるだろうその自負を裏付けるものとして、彼らにはセダンベースのクーペを単なる部品工数削減の廉価版でなく、スペシャルなものに仕立ててポジションを確立したという歴史がある。
例えば「ミディアムクラス」のクーペは68年のW114系から6代にわたって続いてきたシリーズものだ。途中、「Cクラス」のプラットフォームがベースとなったり「CLK」などと違う名前で呼ばれたりもしたが、「Sクラス」からクーペが途絶えた70年代は、W123系のそれが市場での存在感を支えてきた。
ラグジュアリーという視点でみれば「Sクラス クーペ」には当然かなわない。それは「BMW 6シリーズ」とも一線を画し、ベントレーやロールスと対峙(たいじ)するハイエンドモデルだ。が、継続という視点でみれば、真ん中の「Eクラス」こそがメルセデスのクーペの顔だろう。...