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1年で会員数日本一のchocoZAP、急成長のカギは“破壊なくして創造なし”「社内から批判の声もあった」

瀬戸健社長

 パーソナルトレーニング文化を根付かせた『RIZAP』が手掛けるコンビニジム『chocoZAP(ちょこざっぷ)』が、わずか1年で国内フィットネスジムの会員数日本一となった。月額3278円(税込)の24時間無人ジムという『RIZAP』とは料金からシステムまで真逆ともいえる業態だけに、社内から厳しい声もあった。過去の成功体験から抜け出せない社内の風土を変え、24時間ジムの後発でありながら、いかにして成功へと導いたのか、その裏側をchocoZAP事業責任者の村橋和樹さんに聞いた。

後発ながら1年で会員数日本一 背景に低価格と徹底して初心者向けに特化した環境作り

コンビニジム『chocoZAP(ちょこざっぷ)』事業責任者の村橋和樹さん

コンビニジム『chocoZAP(ちょこざっぷ)』事業責任者の村橋和樹さん

――昨年7月にchocoZAPブランドをスタートし、今年8月15日時点で会員数80万人を突破。国内フィットネスジムで会員数日本一になりました。この1年の成果をどう見ていますか?

村橋和樹さん わずか1年で日本一を達成するスピードで成長できるとは、正直なところ想像していませんでした。予想以上にchocoZAPのコンセプトが世の中のニーズにマッチし、多くの方に運動のきっかけとして利用していただくことができたと実感しています。

――24時間ジムとしては後発になります。1年での大きなシェア獲得となる成功の要因をどう考えますか?

村橋和樹さん 1つはスポーツジムのハードルを下げたことが大きい。いままでのジムは、朝や仕事帰りの1〜2時間という、まとまった時間を作る必要がありました。一方、chocoZAPは服装もシューズも自由なので、スーツや普段着のまま、靴を履き替えることなく5〜30分というスキマ時間にフラッと来て、いつでも気軽に運動ができます。もう1つは、月額3278円(税込)で全店舗使い放題という従来ジムの半額ほどの料金設定もあります。お客さまの声を常にヒアリングし改善するなど、その結果が、いまに繋がったと捉えています。

コンビニジム『chocoZAP(ちょこざっぷ)』

コンビニジム『chocoZAP(ちょこざっぷ)』

――新しい市場の開拓に成功しているのでしょうか?

村橋和樹さん 日本のトレーニング人口は約3%と言われていました。一方で運動をしないといけないのはわかっているが、一歩踏み出せない層が一定数います。その方々がいま少しずつ動き出しています。そことは異なる全く興味のない層をいかに動かしていくかは、今後のチャレンジで未開拓の市場は大きく広がっていきます。

――初心者だけにターゲットに絞ったジムという点が、先行する他社との差別化になっているのでしょうか?

村橋和樹さん 例えば、他社の24時間無人ジムの客層はトレーニング経験者の20〜30代男性が大半を占めています。それとは異なる初心者の女性や高齢者が来やすい場所を作りたいと考えていました。店舗にはフリーウエイト(ダンベルやベンチプレスなど)を一切置いていません。そうなると中・上級者は物足りないから来ない。chocoZAPの会員は初心者や初級者であり、マシンの使い方にも慣れていない。それが周りを安心させます。

――初心者の女性や高齢者が、安心して通える環境とは?

村橋和樹さん 例えば、中の様子がわかるように路面にあります。店内は、明るくマシンも白に統一するなど、無人でも女性や高齢者が不安を感じにくくしています。また、運動初心者の方が多いため、周りを気にせず、気軽にご利用いただいております。その結果、chocoZAPの会員層は、20〜30代が50%、50代以上は25%、男女比が半々くらいです。

chocoZAPとRIZAPは対極のサービスではない「寄り添い方が、人かデジタルかということ」

コンビニジム『chocoZAP(ちょこざっぷ)』

コンビニジム『chocoZAP(ちょこざっぷ)』

――RIZAPは、パーソナルトレーニングの中でも最高級ブランドとして知られています。そこに対極の低価格ブランドのchocoZAPを作り、24時間無人型ジム市場に参入。これまでは真逆の業態を行うことに、社内から反対の声はなかったのでしょうか?

村橋和樹さん 「24時間ジムが多数ある市場になぜ?」「わざわざ厳しいとわかっている市場に進出する理由は何ですか?」という声もありました。しかし、chocoZAPがRIZAPの対極のサービスという認識はありません。RIZAPの強みは、トレーナーがお客さまに1対1で寄り添って結果を出していくところ。その寄り添い方が、人ではなくアプリというデジタルに置き換わったのがchocoZAPと考えています。

――人ではなくデジタルに置き換えるというのは、どういうことなのでしょうか?

村橋和樹さん やりたかったのは、RIZAPで培ってきた膨大なデータをもとにするトレーニングメソッドをより多くの人に広げることでした。もちろん、RIZAPで大事にしてきたものはchocoZAPでも同じようにしたい。人に寄り添うRIZAPのメソッドを、デジタルに置き換えてどれだけチャレンジできるかということです。

コンビニジム『chocoZAP(ちょこざっぷ)』事業責任者の村橋和樹さん

コンビニジム『chocoZAP(ちょこざっぷ)』事業責任者の村橋和樹さん

――RIZAPのトレーナーやスタッフに、自身の雇用や、chocoZAPが主幹事業になっていくことへの不安は生じませんでしたか?

村橋和樹さん RIZAPで成長してきた会社なので、正直なところ新しいものに変わっていくことへの不安や焦りはあったと思います。ただ、美容機器や健康食品の「健康コーポレーション」からRIZAPに移っていった時にも社内で同じ経験をしているので、社員を不安にさせたり士気を下げるようなことは繰り返さないように動いてきました。

――RIZAPスタッフや社内の士気を下げないためには?

村橋和樹さん RIZAPとchocoZAPは一体運営しており、RIZAPのトレーナーはchocoZAPでも力を発揮しています。RIZAPはほぼ全国に店舗があるので、近くのchocoZAPで何かあればトレーナーが向かいます。また稼働に空きがあれば、chocoZAPでトレーニングのサポートもします。それはchocoZAPの満足度を上げることにつながり、補完関係ができています。chocoZAPが事業として立ち上がった時、不安はゼロではなかったと思います。しかし、運営がスタートして実際に関わることで、いまでは当初の不安などは解消されています。

“月額3000円でコンビニ超え店舗数”に舵を切ることで社内空気が一変

24時間365日利用可能な無人のコンビニジム『chocoZAP(ちょこざっぷ)』

24時間365日利用可能な無人のコンビニジム『chocoZAP(ちょこざっぷ)』

――“破壊なくして創造なし”といったように、RIZAPの成功体験を壊して次へ進むことにもなると思います。旧来のRIZAPブランドの打破へ一枚岩で結束していたのでしょうか?

村橋和樹さん やはり最初は新規サービスを始めることへの社内の動揺や不安、反発といった不穏な空気は感じました。ただ、それはどの会社でもある、保守的なものです。一方、それによってRIZAPのブランドイメージが落ちるといったサービスに関するネガティブな声はありませんでした。

――統括者として社内を1つにまとめていく苦労もあったと思いますが?

村橋和樹さん コロナ禍が1つの契機になったと思います。緊急事態宣言が何度も続き、RIZAPのお客さまが激減した時に、新しいチャレンジをしないといけないという強い思いで結束し、スタートしました。もし、順風満帆な経営の中だったら、chocoZAPは生まれていなかったかもしれない。次の一歩を踏み出さないといけないという意識が、経営陣を始め全社的にあったので、新しいことをチャレンジしやすい環境でした。

――とはいえ24時間無人ジムは、全国的にも定着したサービスでした。

村橋和樹さん 当初のマーケティングでは、他社のように月額6000〜7000円で24時間ジム場に参入するモデルでしたが、chocoZAPは後発になるので厳しさを痛感しました。しかし、瀬戸社長の「RIZAPでやってきたことを広めるためには、月額3000円くらいでやろう」という言葉で目標が定まり、不安やネガティブな感情が吹き飛びました。先行サービスの半額となる月額3000円で、目指すのはコンビニを超える店舗数と利用率。そうなるには、全国で2〜3万店舗必要であり、スポーツジムという枠を超えないといけない。そこからプロジェクトスタッフたちと共に業界に風穴をあけて、新しい価値を世の中に作り出すという志を共有する一体感が生まれました。

RIZAPとchocoZAPはライバルではない…スポーツジムからの逸脱が次の目標

セルフエステもできるコンビニジム『chocoZAP(ちょこざっぷ)』

セルフエステもできるコンビニジム『chocoZAP(ちょこざっぷ)』

――RIZAPとchocoZAPはライバル関係にはなりませんか?

村橋和樹さん RIZAPの3ヵ月メニューが終わった後、他社のジムで自分でトレーニングを続ける方がたくさんいます。その受け皿となるサービスにもしたかった。RIZAP会員は全国のchocoZAP店舗を無料で使えるので、店舗が増えることは会員のメリットにもなります。一方、chocoZAPには運動と縁遠かった方が多く、運動することや体の変化の楽しさを知ってもらうことで、違った自分と出会えるRIZAPも経験してほしい。ハードルは高いのですが、少しずつ実例ができています。エントリーモデルのchocoZAPと上級モデルのRIZAPが相互に補完しあう関係性になっています。

――いま競合としてベンチマークしているジムはありますか?

村橋和樹さん 特にありません。Amazonプライムのように、いろいろなサービスがあって生活の中に当たり前にある存在が、目指す姿に近い。chocoZAPには、さまざまなサービスがあり、ジムはその中の1つ。コンビニのようにいろいろなものが手に入る空間に、これからどんどん変えていきたいです。

――これからの課題は?

村橋和樹さん 2つあります。いまのお客さまに100%のサービスが提供できているかというと、マシンの故障や清掃などで厳しい声をいただいていることを認識しています。そこを真摯に受け止め改善していくこと。もう1つは、お客さまに飽きさせず、幽霊会員を作らないこと。いまのサービスをブラッシュアップするのと同時に、新しいサービスを導入する。お客さまの声からのPDCAを繰り返し、改善、改革を続けます。後発は必ず出てくるので、常に一歩先にいることがこれからは大事です。

セルフ脱毛もできるコンビニジム『chocoZAP(ちょこざっぷ)』

セルフ脱毛もできるコンビニジム『chocoZAP(ちょこざっぷ)』

――お客さまの声から実際に改善したことはありますか?

村橋和樹さん 2023年5月時点では、機材の納品遅延等もあり一時的にマシンの故障率が約7%という状況もございましたが、そこから全国のRIZAPトレーナーもマシン修理対応を行うような体制を構築し、マシン故障率を1%未満まで下げることができました。ただ、最近はマシン故障状態をアプリ内で提示したこともあり、これまで以上に故障のご報告をいただき、9月13日時点では1.86%まで上昇しております。この状況を真摯に受け止め、今後の故障率改善にさらなる努力と注意を払っていきます。

――今後もフィットネス以外のサービスを増やしていくのでしょうか?

村橋和樹さん すでにセルフエステ、セルフ脱毛、ゴルフブースを一部店舗で導入していますが、新たなサービスを準備中です。この1年でまずジムとして広く認知していただいたので、ここから先はサービスを増やし、どれだけ速くジムという存在から逸脱できるか。ジムに全く興味を示さない層にリーチできるサービスに変わるための次の課題でもあります。

(文/武井保之)
◆chocozap(ちょこざっぷ)公式サイト(外部サイト)
◆chocozap(ちょこざっぷ)Twitter(外部サイト)

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