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コンビニ各社が「地域限定商品」強化なぜ? “地方で高いものは売れない”を覆すヒットも

  • 各地で販売されたファミリーマートの地域限定商品

    各地で販売されたファミリーマートの地域限定商品

 コンビニで“ファミマ限定”、“セブン限定”など、各店オリジナル商品はよく見かけるが、それに加えて近年、各社が“○○県限定”といった「地域限定商品」の開発を強化している。中には、1年かけて開発するケースも見られる。統一メニューの方が管理はしやすいだろうが、全国に店舗を持つコンビニ業界がなぜ、ニッチなマーケットを狙った商品開発をするのか。昨今、特に「地域限定商品」への注力を見せるファミリーマートにその理由を聞いた。

全店舗の多数を占めるのが“地方”「地方が元気じゃないと、利益が上がらない」

 コンビニと言えば、いつでもどこでも安心して共通のサービスが受けられるというイメージがあるが、実は、「地域限定商品」はかねてから各社が開発・販売してきた。うどんにしても東西でだしを変えており、幕の内弁当であれば東は鮭、西はさばと主菜が異なる。だが、こうした工夫はあまり周知されてこなかったのが実情だ。

 しかし、ここにきて「地域限定」により注力し、全国的なアピールを強化しているのが、ファミリーマートだ。どこに行っても高品質な商品が手に入るようになった今、「より差別化が求められている」と商品本部・地区MD部長の青木寛氏は熱を入れている。

「大切なのはお店のファン作りです。コンビニといえば、消費者にとってはどこもそれほど変わらないという意識が否めなくなってきた中、共感を得る存在にならないと、選んでもらえない。各社が試行錯誤してらっしゃいますが、弊社では“地域に寄り添う”を基本理念に掲げており、より寄り添いの心、またサスティナブルな面において独自性を図っていきたいと考えております」(同氏/以下同)
 以前から地域を細分化して商品開発してきたセブン‐イレブン、「地域密着×個客・個店主義」を昨年の戦略コンセプトに掲げ、様々な取り組みを実施しているローソンと、各社に個性を強める動きが見られる中、サークルKサンクスとの統合等で長らく全国整備に追われていたファミリーマートも、地域ごとの商品開発や取り組みをより一層促進できる体制がようやく整ってきた。

「店舗は首都圏に集中してはいますが、全体的にみると、まだそれ以外の地方にある店舗が多数を占めているんです。会社としても、地方が元気じゃないと、利益が上がらない。地域に寄り添った商品開発で、地域を元気にすることがその地域のためであり、同時に弊社の為でもあるのです」

定説崩すニッチなニーズの地域差割り出し、局地的ヒット呼ぶ「攻め」の商品開発

 そこで昨年から“見える化”を強化し、これまで公式HPには記載されていなかった「地域限定」カテゴリーを追加した。なかでもヒットしたのは、今年1月発売の九州地方限定「資さんうどん」コラボの『資さんうどん監修焼きうどん(ソース味)』。地域の人気店監修のクオリティと話題性から、SNSや地方テレビなどでも拡散され、同カテゴリーで、通常の倍以上の売上を記録するヒットとなった。
 また同4月には、宮城・山形・福島限定向けで開発された贅沢スイーツ『カズノリイケダ監修 シューフレーズ・ピスターシュ』が局所的に大ヒット。地元で行列を成す人気店のパティシエ・カズノリイケダさんと、みっちり1年間かけて開発。いちごとピスタチオの2層のなめらかなクリームをクッキータイプのシュー生地で包み、生地にはいちごのフリーズドライパウダーをふりかけた商品で、価格は1個398円と打って出た。

「地方は高いものは売れない、ボリュームがないと売れないと言われている中、チャレンジでしたが、特に地元の店舗では爆発的に売れました。コンビニのラインナップといえば、万人受けする商品を市場に見合った価格で売るというイメージがあるかもしれませんが、すごく価値がある商品を見合った値段で高く売るという努力もしているのです。例えば、牛肉を使った弁当ですと600円以上でも、地域によっては売れるんです。“都市部、“地方”と一辺倒に区分けするのではなく、ニッチなニーズの地域差を割り出し、商品開発やコンビニ商品の未来を見据えているところです」

 全国発売だとロット数が大きいため、どうしても万人受けする商品が求められるが、地域限定だからこそ挑戦的な商品も開発できるという長所もある。5月には首都圏限定で「マンゴーツリーカフェ」コラボが行われ、『ガパオライス』にジャスミンライスを採用した。ジャスミンライスのような匂いの強いものは他機材に匂いが移るなど、コストやオペレーションの関係で全国展開は難しく、地域限定だからこそ実現した一工夫だ。結果、その本格的な味わい、香りで通常米を使用したガパオライスより売れ行きが良かったという。
 「特別感のある“限定”は、消費者の心を揺さぶります。自分にとって大事な地元、思い入れのある地域限定であれば、尚更。数多く店が立ち並ぶ中で、“自分の地元を愛してくれるお店”と言う印象付けは、選ばれる確度を上げる大きな要素となります」と青木氏の言葉は熱を帯びる。

 ただ、地方限定だからこそ一歩踏み込んだ商品開発ができる反面、ニーズを細かくすればするほど、規模のメリットは取れなくなってくる。

「地方の方の要望を細かく聞いていきたいけれども、すべては取り入れられない部分もあり、全国商品とのバランスや効率、地区MDを担当する組織の在り方といった課題に日々頭を悩ませています。全国の加盟店やスーパーバイザーなど営業部門からの意見を吸い上げながら、日々試行錯誤の連続です」

 5月には、コロナ禍の影響で一時休止していた子ども食堂を3年ぶりに再開。ローソンも、書店や介護相談窓口を併設した店舗を増やすなど、各社「ストア」としての役割に留まらない動きを見せている。統一メニュー、画一サービスを超えて、地域色あふれる店舗が増え、今後、コンビニが“公民館”的な役割を担っていく可能性もありそうだ。


(取材・文/衣輪晋一)

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