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なぜバズる?「異世界転生」「令嬢」「男装」…人気作ひしめくジャンルで読者をつかむ難しさとは
自由であるからこその難しさ、どう「オリジナリティ」を出し読者を掴む
雨宮レイ.さん「自由」なところが描いていて楽しいですね。「異世界恋愛」に限った話ではないのですが、例えば魔法の使える世界、様々な種族の存在する世界、今回の作品のように魔法も剣も存在し貴族階級のある世界…など、作者の自由に世界を作ることができます。いい意味で「決まったルールがない」ので、一から自分の想像(妄想)する世界を好きなように作り上げられるのは描いていて楽しいです。個人的に「異世界恋愛」はそこにキュン要素があるので、より楽しいです(笑)。
――先生は普段小説も書かれますが、昨今、異世界系(ファンタジー)、復讐、男装もの…などを扱う小説や漫画が多い中、物語を進行させていく難しさはありますか?
雨宮レイ.さん正直、難しさはすごくあります。どのジャンルにでも言えることなのですが、「オリジナリティ」を出すことは本当に難しいです。
――そこをどう乗り越えて、読者が求める作品を作り出しているんでしょうか。
雨宮レイ.さん小説やマンガ、映画など、世界には数えきれないほど、たくさんの物語がすでに存在しています。そんな中で「新しさ」を求めることは本当に難しいと感じます。これまで生きてきた中で得た、知識や経験から自分らしさを出すことはできると思うので、私にしか描けないキャラクター、文章、世界観といったオリジナリティの部分を大切に今後も物語を紡いでいきたいです。
こだわりの個性豊かなキャラクターたち「“推し”を作って楽しんでほしい」
雨宮レイ.さん奮闘しているリナリー、めちゃくちゃかっこいいんです!! リナリーには「女性はこうあるべき」と決められた世界の常識を壊してくれる「自由」な存在でいて欲しいと思っています。良い意味で猪突猛進なところもあるので、そういった彼女の行動がこの世界の常識を壊し、彼女らしい未来を進んでくれればな、と託すというよりは見守っている感じですね(笑)。
――暴君皇太子であるディランですが、彼のキャラクターでこだわった部分はありますか。
雨宮レイ.さんディランは「暴君で残虐さを持つ反面、リナリーに対する感情に戸惑う可愛い姿」がこだわりのポイントです。顔を赤くさせ悶々と悩むディラン、可愛くないですか? でもまだまだ序の口なので、今後のディランにぜひ期待していただきたいです(笑)。
雨宮レイ.さん暴君皇太子のディランに自由気ままな性格のカイル、人当たりの良いアーノルドに知的なエルディック。キャラクターそれぞれの個性や、全然性格の違う4人だからこそうまくいっているであろう関係性についてはこだわりました。ファシアス含め個性的なキャラクターが多く出てくるので、ぜひ“推し”を作って作品をより楽しんでいただけたらと思います!
――最近では様々な“令嬢”モノが人気ですが、先生は何が魅力だと感じますか?
雨宮レイ.さん純粋に、かっこいい王子様や騎士様、素敵な貴族男性との恋愛って憧れませんか?(笑)。 もちろんその恋愛の相手が平民の女の子のシンデレラストーリーでも、現代から転移してきた女の子でも、それぞれ設定の良さや面白さはあると思うのですが、「令嬢」という部分に限って言えば、性格や教養がある程度担保されているため、「異世界」という世界観を壊さずに読めるところが魅力なのではないかと思います。
――今作で、他にない“令嬢”を描くために考えたことはありますか?
雨宮レイ.さんこの作品を読んでくださっている方はわかると思うのですが、主人公のリナリーってかっこよさを持つ反面、「超」天然無自覚系ヒロインなんです(笑)。そのギャップがリナリーだけが持つ良さであり、個性の部分であると考えています!
小説とマンガの差とは テンポの維持と加速させ続けるストーリー
雨宮レイ.さん内容の面白さやストーリー展開はもちろんですが、1〜3話で、いかに読者の皆様を引き込む物語にするかという点でしょうか。担当編集様と何度も打ち合わせを重ね、5話くらいまではめちゃくちゃ書き直しました。今ではいい思い出です(笑)。担当編集様には本当に感謝しかないです!
――小説と絵(マンガ)の表現の違いで苦労されたことはありますか?
雨宮レイ.さん結構たくさんあるんですが、あえて1つあげるとしたら「説明口調になりやすい」という点は苦労しました。…いや、現在進行形で苦労しています(笑)。私自身の癖でもあるのですが、小説は文字でしか表現できないので状況を説明するセリフや地の文が必要になるのに対し、マンガでは絵でそのほとんどを表現してくれます。わかっていても、ついその時の状況をセリフとして延々と書いてしまったり、説明口調が続いてしまう…なんてことが今でも結構ありますね。
――読者からの反響で、印象に残る内容などがあれば教えてください。
雨宮レイ.さん嬉しいことに本当にたくさんのコメントをいただき、その全てを読ませて頂いております。「この作品のおかげで月曜日が楽しみになった!」とコメントをいただいた時は嬉しさのあまり泣きそうになりました。
雨宮レイ.さん見どころは、登場を今か今かと楽しみにしていてくださる方も多い、リナリーの婚約者の登場によって、より物語が加速していくところでしょうか。三角関係? いや、それとも…? な展開にぜひ注目していただきたいですし、まだまだこの先の物語で衝撃的な展開をいくつも用意しているので、そちらもぜひぜひ楽しみにしていただきたいです!
――展開を作っていくうえでの苦労はありますか?
雨宮レイ.さんこの作品は、テンポの良さや勢いを大事にしているので、テンポを維持、もしくは加速させ続けるためのストーリー作りは苦労しているかもしれません。ですが、今の時点で今後の流れがある程度できていることもあり、展開が迷子になることがないという点では、そこに必死に向かっていくだけなので多少苦労は軽減されていると思います(笑)。
――本作を連載中ではありますが、今後描いてみたい作品や目標、夢などがあれば教えてください。
雨宮レイ.さん“溺愛系”のお話を書いてみたいです。誰かを愛し、誰かに愛されるって素敵じゃないですか?(笑)。なので、ただひたすらにとにかく愛されて、読んでいてキュンキュンするような幸せなお話を書きたいです! あとは溺愛とは真逆のダークファンタジー系などもいつかチャレンジしてみたいです。実は、好きなんです(照)。