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日清、33種類の栄養素配合『完全メシ』好調 カレー&油そばで挑んだ新事業に懸ける思い
あえて“健康”イメージとかけ離れた『カレー』『油そば』を選定した理由
「日清食品は、戦後の食料がない時代に、一杯のラーメンを求めて闇市の屋台に並ぶ人々を見た創業者の安藤百福が、自宅で簡単に作れるラーメンを作ろうと思い立ち、『チキンラーメン』を開発したことがはじまりです。それから時代は大きく変化し、世の中に食が溢れ、オーバーカロリーによる肥満が世界的な課題になっています。さらに、コロナ禍で新しいタイプの肥満が急速に広がり、普段の食生活の中で手軽においしく栄養バランスを整えることができる食品に注目が集まっています。そうしたニーズに応える商品として、栄養と美味しさの完全バランスを実現した『完全メシ』を開発しました」(日清食品・清水文恵氏/以下同)
「健康的な食事というと、野菜たっぷりのメニューを想像すると思うのですが、健康とはかけ離れて見えるカレーや油そばをあえて選ぶことで、『完全メシ』の特長を強く訴求できると考えました。健康的な食事は毎日続けていくことに意味があります。美味しくなかったり、我慢しなければいけないと長く続けられないので、いつもの食事を置き換えるだけで健康を目指せるような商品にしました」
インスタントラーメン開発ノウハウを活用、栄養食の“弱点”だった「美味しさ」を追求
「半世紀以上に渡ってインスタントラーメンの開発で培ってきた技術を応用することで、 “栄養バランス”だけでなく“おいしさ”も実現しています。栄養素の中には苦みやえぐみを感じられるものがあるので、『カレーメシ 欧風カレー』ではスパイスや香辛料などをうまく使うことで、おいしく食べられるように工夫しています。さらに、栄養素を配合すると、味だけでなく食感が悪くなってしまったり、生産性が悪くなったりと、いろいろなトラブルが起こりがちなのですが、何度も試行錯誤を繰り返すことで、これらの問題を1つ1つ解決していきました」
今年5月の発売早々、想定の2倍以上の売上を記録し、リピート購入も多く見受けられるという。現在は同社オンラインストアと一部のコンビニエンスストアやスーパーで販売されているが、今後は販売エリアやチャネルの拡大も予定されており、裾野の広がりが期待される。
「30代〜40代は健康のことが気になる方が増える年代だと思います。昔は何を食べても平気だったけど、健康診断で数値が高かったという方も少なくないはずです。そのため、ターゲットを30代〜40代に設定し、実際の購入者も30代の男性が多くなっています。オンラインストアではリピート率も高く、『完全メシ』を生活に取り込んでいただいている方が沢山いらっしゃることを嬉しく思っています。実際に『これだったら続けられそう』『スムージーとか朝飲むのにもいいな』『置き換えてダイエットしたい』といった嬉しいコメントもいただいています」
「おいしさ」「手軽さ」手放せない日清ユーザー、栄養が“付加価値”であることの重要性
「健康に配慮することで美味しさや手軽さが失われてしまうと、日常的に即席食品を好んで食べていただいている方をガッカリさせてしまうと思うんです。良い部分を損なうことなく、新たに“おいしさと栄養の完全バランス”という付加価値をつけていければと思っています。
栄養バランスの良い食事を作ろうと思ったら、たくさんの食材を買ってきて料理をしなければならず、忙しい生活の中で簡単にできることではありません。そんなときに手軽に健康を目指せる商品として、ぜひ『完全メシ』を使っていただけたらなと思います」
(取材・文=鈴木ゆかり)