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40周年『ビッグコミックスピリッツ』が高い“実写化率”のワケ…骨太作品の裏にある脱アンケート至上主義
周年に歩みを止めず、次世代の『スピリッツ』を支える作家を発掘
例えば、恋愛ドラマの金字塔といわれる『東京ラブストーリー』は、夢のようなキラキラした恋物語ではなく、地方出身の主人公と、都会的でエキセントリックな同僚女性の関係を中心に、東京に生きる若者たちのリアルな姿を描いた物語。また、ドラマ、映画にもなった『美味しんぼ』は、それまでの料理漫画とは一線を画し、リアリティあふれる描写と、友人や同僚に話したくなるうん蓄、食品に関する諸問題など、雑誌らしい切り口で人気となった。
「実写化される作品が多いのは、人間ドラマの新しさと確かさ、エンターテインメントの自由な追求、読者の価値観を揺さぶるようなメッセージがあるからだと思います。ただ、それもまた、作家や編集者が、アンケートだけに頼らず、高い志をもってやってきた結果だと思います」
その“高い志”の中にはこんなこだわりもある。
「“世の中に、心の活動の源となる力を届けたい”“読者が漫画の登場人物のそのときの感情や生き様を追体験することによって、その読者が現実世界に戻ったときの、ささやかかもしれないが確かな力になってもらいたい”という思いを大切にしています」
「この先10年のスピリッツを牽引してくれるような作品、作家との出会いを求めています。個人的には王道のヒーロー物語や成長物語が見つかればうれしいと思っています。最近、編集部内のプレゼンでもそういう作品が少ないので。もし見つかれば、仮に受賞しなくても、お声がけしたいと思います。また、雑誌全体としては、価値観が揺さぶられる人間ドラマやドキドキ、ワクワク、意外な展開で目が離せない、そんな作品を増やしていきたいですね。創刊当時から変わらない方針ですが、きらりと光るナンセンスやゆるい漫画も大切なので、そちらもこだわっていきたいと思います」
時勢に合わせて常に新しい息吹、新しい精神で読者を楽しませてくれている『スピリッツ』から、令和の時代は、どんな作品が実写化され、エンタメ界を賑わわせてくれるのか、楽しみにしたい。
取材・文/河上いつ子
スピリッツ創刊40周年特設サイト(ぐるぐるスピリッツ編集部)
https://bigcomicbros.net/spirits40/guruguru/(外部サイト)
※12月28日よりサイト内で『あさひなぐ展』『バーチャル原画展』『3D本棚』を実施中
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